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斜め上から見た美しい世界〜間違ったのは誰?正しいタスケル出来たのは誰?  作者: RiderLisa


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45/49

45話 ねぇ全部聞こえているよ

幸せで豊かな【月の中】で暮らしている

うさぎとかぐやは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た、現代も大昔も不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!


地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい! 


ふたりは、サンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。


月といえばお饅頭!

神様に許可をもらって、地球旅行へ出発しました。


ルンルンでタスケルするのです!


タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで、

大切な人を助けるとはどういうことなのか?   


かぐやとうさぎは、自らの過去と向き合い、地球で磨かれ、深みのある存在へと成長していく。

まさか、この狸がうさぎの後ろ姿を追いかけるなんて……。


うさぎに会わないようにする為に、たぬき池に隠れて独りで生きてきたというのに…


うさぎの駆け足に、なんとかついて行きました。


少しでもスピードを緩めると、すぐに差が開いてしまいそう…

そんなの悔しいので、頑張って走ります。


涼しい顔を作りながら

なんとか耐えて…一緒に進むのです!


しばらく真っ直ぐ行くと、うさぎが振り向きました。


「ちょっと止まるねー!」


うさぎは徐々にスピードを緩めました。


良かった…

はぁ…

もう

無理だ


狸はもうヘロヘロでした。

それでも、顔に出さないようにして、ゆっくり停止すると、うさぎから離れました。


はぁ…

はぁ…

くそ

くそ


うさぎはあんなに涼しそうな顔をしているのに。

狸は足元にも及ばない!


辺りを警戒して、二本足で立っている後ろ姿は

最高にキマっています。


羨ましい立ち姿でした。


「なんなんだろ…何があるんだろ…?」

今度は、地面の土に鼻をつけてクンクンッと匂いを嗅いでいます。


「どーせ何もありませんよ」

狸は何も感じないのです。


「いや…なにかあるよ

あっ!タヌちゃんあんまり離れないで!」


「ダイジョブですよー

いつもとおなじです。

かわったところなんてありません」


狸にだって分かりますよ

それくらい


あんたみたいに立派な耳を持っていなくたって

目は二つ付いているんだから

指図するなよ

馬鹿うさぎめ


疲れていたこともあり、フラフラと歩いていました。

すると、木の近くの草むらに赤い実がなっているのを見つけました。


あっ

あれでも食べて

このくだらない時間を少しはマシなものにしよう



うさぎにはあげないよ。


草むらの近くで、赤い実を口に入れると

すぐ、次に手を伸ばします。 


パクパク食べ続けていると、

草の奥に、木の実がたくさんなっているのが見えました。


足を踏み入れた途端、


バチンッッ!!!!!!!!!!と大きな音がしました。



マズイと思った時にはもう遅く


ヒュン!!!!!と木が高速で風を切る音が響きました。


そのあと、

すぐに狸の細い足にギリギリッ!!!と縄が締まったのです!


痛いと思う暇はありませんでした。


終わったと思ったのです。


それでも恐怖と驚きで、大声を上げます。


「ぎゃあああああぁぁぁ!!!!!!!!」

聞き慣れた、なんとも情けない狸の叫び声でした。


うさぎは、罠を踏んだ音で気付いたらしく

狸の側にすっ飛んできました。


「タヌちゃん!!!!!!!!!!」


「いやぁぁあああ!!!!!だすげでぇええええ!!!」

これまた情けない状態なことは、パニックをおこした狸の頭でも分かっていました。


「タヌちゃん!落ち着いて!大丈夫だから!」


うさぎは、あたふたしているように見えましたが

狸に話し掛けながら、太ももに手を突っ込んでいました。


は?

コイツなんなんだ?

うさぎの太ももには巾着袋のようなものが

付いてあって、そこにフカフカの手を突っ込んで

なにか探しているようなのです。


その間も、足に絡まったくくり罠の縄は、固く

狸の足にめり込んでいます。


「ひぃぃぃ!!!!!!!!おたすけぉぉ

いたいぃぃ〜」

とんでもなく情けない姿なのです。


死を目の前にすると、憎い相手にさえ命乞いをする…

それが狸というものだ。


「うっうっ…ひっく!

いたいぃぃぃぃぃぃ

なんてツライ

タヌせいだったことかぁ~

ひっく!うぅ……」


「タヌちゃん待っててね!大丈夫だよ!

僕、月のナイフ持ってるから」


あった!と、ようやく何かを取り出しました。

それは…

ギラッ!!と妖しく光る小刀のようなものでした。


「うわぁぁあああ!!!!!ころされるぅぅ!!!」


「え!?なんでそうなるの?!」


狸がギャーギャーー騒いでいるのを、呆れた様子で眺めているうさぎは、縄の絡まった足をグイッと持って

小刀を近付けました。


「もー!うるさいな!

ここまできて、なんでそーなるの?!」


狸はさすがに黙りました。


「ほんっとに信じられない

この感じで、僕が君の足を斬りつけるとでも

思ってるわけ?」


「うっ…」


「どういう神経してんだよ」

うさぎは珍しく怒っていました。

普段からあまり怒ることが無さそうな風貌なのは

目に見えて分かります。

あのかぐや姫の親友なのだから、安全なうさぎなことは間違いありません。


分かっているのです

それでも

狸という奴は……


ほんとに。


「すみません…」


うさぎは、明らかに不機嫌そうに

いいよと言いました。

明らかに良さそうではありませんでした。


その小刀は

キラキラ輝いていて、目貫のところに

満月のマークが描かれていました。


ほんとうに月の兎なんだ…


うさぎが注意深く、くくり罠を切っていると

硬そうな縄は徐々に裂けていきました。


狸は、口をポカンと開けっぱなしの阿呆な顔をして

眺めているだけでした。


本当に

何もできない

罪な狸ですこと…


うさぎはあっという間に、狸の足を傷つけることなく罠から解放してくれました。


うさぎはムッとした顔をして

だから歩き回るなって言ったじゃん、いい加減にしてよ!と怒っていました。


狸は本心から謝りました。

ほんとうに自分が馬鹿すぎて嫌になっていたのです。


それに、

少しうさぎのイメージは変わりました。


怒るとは思わなかったのかもしれません。


近くに猟師がいるかもしれない…と告げると


うさぎは、じゃあもう行こうとぶっきら棒に言いました。


走り出したふたりは、辺りを警戒しながら進みます。

しかし、案の定罠にかかったほうの足が痛くなってきました。


狸はそれでも頑張って進みました。

ついていくことが出来たのは、うさぎの速度がとてもゆっくりだったからです。


「あのぉ…」

遠慮がちに足が痛いことを告げると

うさぎはまだ怒っているようで、不機嫌そうでしたが

ほら!と言って、狸をおんぶしてくれたのです!


かなり重そうにしていましたが、それでも怪我をした狸が走るよりは速く、うさぎは案外力持ちなのか!と

驚きました。


そんな馬鹿な…


まさか、この狸がうさぎの背中におんぶされているなんて……。


うさぎに会わないようにする為に、たぬき池に隠れて独りで生きてきたというのに…。



本当にイカれています。


こんなときでさえ、今ならうさぎの首を噛み切って殺せるだろうか?と考えてしまうのだから…。


本当に救いようのない狸です。 


いいところが一つもないんだから。


なんの為に生きているんでしょう?


そんなことを考えていると、足は更にズキズキと痛み始めました。

縄が食い込んだだけにしてはオカシイ…。


以前、森の中で同じような、くくり罠にかかった鹿を見つけたことを思い出しました。


仕掛けたのは、あの村の住人です。


なんとも不気味な顔をした男で、縄のなかに小さい刃物を幾つも仕込んで、鹿を苦しめながら殺していたのです。


信じられない光景に、狸は鹿を哀れみながら手を合わせました。

どうか、安らかに逝けますように…と。


その年の冬に笠を作りました。

近くのお地蔵さんに被せて、鹿のことに想いを馳せたのです。

鹿はあの世で楽しくやっているのだろうか

あの世も雪は降るのだろうか?

あんなふうに苦しんで死んだ鹿の魂は、何処にいくのだろう?


狸は生きていることに初めて感謝しました。


次の日、笠は盗まれてしまいました。

きっとあの不気味な男が盗ったに違いない!


人間に化けた狸が、笠を探しに村へ行ったときのこと

その不気味な男が、髪の毛を二つに結んだ、小さい子供を連れているのを見つけました。


狸の作った笠を持っている様子は無かったけれど、

あんな凶暴な奴が父親なのかと、さすがの狸も驚いたのです。


たぶん…狸のかかった罠は、あの男が作ったものだろう。

足は明らかに切れています。


たぶん、血がたくさんでているはずです。


うさぎは丁寧に縄を切っていました。


うさぎが足を傷つけた訳はない…

あの不気味な男め…

化け狸のときに脅かして

ぶっ飛ばせば良かった…


狸の頭はフワフワしてきました。

たぶん

このまま死ぬのでしょう…


あの鹿みたいに

諦めるしかないのでしょう…


しかし、鹿とは違います。

狸は

本当にイカれているのです。


うさぎを道連れに出来なかったことを悔やんでいるのだから…


くそ…

狸ばっかり

狸ばっかり損をする


うさぎが踏めば良かったんだ!

うさぎばっかり得してズルイ!!


「ねぇ…

タヌちゃん

君はほんとに大変な思いをして生きてきたんだね」


フワフワした狸にうさぎはそう言いました。


「聞こえてるよ

君の音」


え!!!

聞こえているの!?

この醜い狸の声が!?

なんてこと!


「いつも皆から嫌な扱いを受けてきて

怒っているんだよね?」


そう…

そうだよ…

みんなが狸のこと邪悪だって決めつけて

くるんだよ…

タヌちゃんは、本当は優しくて

賢いんだから…。


うさぎみたいに、ただみんなと仲良くしたい子なんだよ?



「うん、分かってるよ

かぐやも分かっていたよね」


そうです!!

かぐや姫はそういう人なんです。


タヌちゃんの話聞いてくれました。


石を投げつけてきたりなんてしなかった


あぁ

そうか…


あなたもそうでしたね。


タヌちゃんに石なんて投げてないですよね


あなたはカチカチ山のうさぎじゃないのに。


ごめんなさい


意地悪なのはタヌちゃんの方でした。


「いいんだよ」


そうですか…


じゃあ…



一緒に死んで下さい




「アッハハハッ!!!おもしろーい」


おもしろくないですょ!

本心です!

うさぎばっかり得してズルいです!


一緒に死んで下さいよ!


「無茶なこと言わないでよ〜

僕は死ねないんだよー

月の兎だから」


じゃあとりあえず首噛んでみていいですか?


「駄目だよ」


ケチ!

うさぎはケチだ!


「アハハッ!

なんなんだよー君。

面白いなぁ

とりあえず頑張って死なないでよ!

かぐやが救急セットもってるはずだから」



まだこの世界で生きろと?


冗談でしょ?


でも…


もし死んでしまっても

また狸に生まれ変わりたいです


今度は自分のこと好きになりたいから。



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