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斜め上から見た美しい世界〜間違ったのは誰?正しいタスケル出来たのは誰?  作者: RiderLisa


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39話 随縁不変

幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。


ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た


現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!


地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!


ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。


月といえばお饅頭!


うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。


ルンルンでタスケルするのです!


タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで


うさぎとかぐやは、


大切な人を助けるとはどういうことなのか?  


自らの過去と向き合い、深みのある存在へと成長していく。

ふたりは、神社に続く道をお喋りしながら

歩きました。


タヌちゃんは、一人で生きてきたとは思えない位

話題に事欠かないのです。


繊維になりそうな植物を見つけて、膝掛けを編んだことから始まり、


最近は、果物を探すひとり旅に出掛けて、沢山食べたこと。

そしたら、ちょっとポッチャリしてしまってウエストが気になっていること。


タヌキ池に枯れ葉が落ちるのが気になるので

一生懸命そうじをしていたことや、

去年の冬は、笠を作ってお地蔵さんに被せてあげたこと。

しかし、次の日には笠が無くなっている事に気付き

誰かに盗まれたと落ち込んでしまったことなど…


失敗したこと

成功したこと

楽しそうにウキウキと話していました。


タヌちゃんはかぐやを見上げて、

かぐや姫のことも聴かせてほしい!とニッコリしました。


好きな本を読んで、そのあとお茶しに行った話をすると、

タヌちゃんは『いつか自分もご一緒したい!』と、喜んで聴いていました。


かぐやは、なんて言ったらいいのか分からなくて

胸がズキッと痛みました。


それでも、明るく楽しそうな様子を見ていると

幸せを感じたのです。


さっきまで、カチカチ山のタヌキだから…と繰り返していたというのに、

今はあれをしてみたい!これをしてみたい!と、未来への希望を語っています。


計画を聴くことに集中していて

足の痛さも、寒いこともあまり気にならずに歩けました。


神社への一本道、タヌちゃんの存在に助けられたのです。


会話が一段落すると


「かぐやひめ…

じんじゃ、そろそろだとおもいます…」


立ち止まり、不安そうな顔でタヌちゃんが言いました。



「そうなのね?

そろそろ隠れていて良いわよ」



「…………。

いえ…

…よければ、そばにいてイイですか?」



「え?

うん!

もちろん良いわよ!

だけど大丈夫?」


タヌちゃんは、真剣な顔で前方を見つめています。


「…ダイジョブです」



この先のことを考えると、少しだけ不安になりました。


タヌちゃんもソワソワしながら、かぐやの少し後方を歩いています。


「大丈夫だからね」


「はい!ダイジョブです!」



少しずつ前へ進んでいくと


暗闇から鈴らしき音が聞こえてきました。



シャランシャラン…

シャランシャラン…


シャランシャラン…

シャランシャラン…



「……これは よくきこえるおとです!

じんじゃのすず

これをきくと

おちつきます」


タヌちゃんは、この音は神霊の発動を願う目的で鳴らされていること、

人々の祈りは神様に届くという、言い伝えを教えてくれました。


かぐやは、目を閉じ

耳を傾けます



「…タヌちゃんは まいにち いのってました」



「…………………綺麗な音ね。


……いま何か言った?」



「いえ!

なんでもありません!

いきましょう!かぐやひめ!」



「どーしたのー?急に元気になって」



「タヌちゃんの いのり

とどいたんだな!って

おもいだしたんです!」


タヌちゃんは、果物を食べ過ぎて少しタプタプした

お腹を揺らしながら、前を走って行きました。


すぐに振り返って、二カッと笑います。


愛らしい姿に、かぐやも自然と笑顔になりました。



「タヌちゃん、ほんとにプヨプヨね」

呟きは、本人に届かなかったようです。



しばらくすると、

朱色の大きい門が見えてきました。


「これ とりいです!」


先に行っていたタヌちゃんは、二本足で立ちながら

手招きしています。


「うわぁ」


鳥居は、MoonTubeで見たことがありました。

しかし

実際に目の前で見ると感動が違います。


確かな風格を感じるのは、大きいから…では無いと思いました。


月の神様の神殿にも柱が沢山あるので、

この鳥居も、聖域を守るために建てられているのだと伝わってきます。


神聖な区域に入っていく為に、心構えをもつ目印になる場所なのかもしれません。


かぐやは、一度お辞儀をしてから

鳥居のなかに入りました。


「お邪魔しまーす」


キョロキョロと辺りを見回しました。


「ダイジョブですよね…?」


タヌちゃんも同じようにキョロキョロとしています。


抱っこする?と聞くと

ニッコリ笑って、かぐやの背中にふわっと飛び乗ってきました。


かぐやの肩にしっかりと掴まって

ふたりは先へ進みました。


鳥居の内側に入ると、神社へ続くルートには石がたくさん埋められていて、そこが道になっています。


加工された石というより

自然の石をそのまま使って、丁寧に敷き詰めているイメージです。


タヌちゃんが、

「これは ふじょう から まもるためらしいですょ」と教えてくれました。


「ふじょう?」


「そうです!

くさやドロは《ふじょう》らしいです」


「へーー」


どうやら、草や泥は不浄とみなし、神前を守るために石が敷かれるらしいのです。

巫女が話していたのを聞いたと、タヌちゃんは言いました。



「凄いわね…」


「はい、そうおもいます」



位置や角度が決まっているパズルのように

いろいろな形の石は、カチッと固定されて嵌っています。


ピースになる石たちは、元々決められていたかのように、在るべきところに在りました。


美しく、丁寧な道のうえを進んで行くと


神様の住む建物が見えてきました。



「わぁお…」


「すごいですよね!」



神社の周りは、より一層空気が澄んでいました。


白い砂が敷き詰められていて

明かりの源は何処にあるのか

目に見えない光が淡く広がっているようでした。


思わず、拍手を忘れてしまう程の神聖さが鎮座しています。


月の神殿のように派手さはありません。

キラキラしている訳でもなく、建物の色は本当に地味でした。


所々、金色は使われていますが

殆どが木だということがすぐに分かります。


屋根は、曲線状の構造をしているにも関わらず

寸分の狂いなく左右対称で、真ん中にある神社の出入口の扉は、細い木が格子状に重なり合っていて芸術作品のようでした。


神社には、歪んでいたり

長さのおかしいところなど無いのです。


かぐやが縫い付けたポケットのように

歪なところなど一つも見当たらない、真っ直ぐな建物でした。



「わー…すごいわぁ

初めて生で見た!

動画でなら見たことあったけどね!」



「どーが?」



「うん…………

あっ!

いや!

気にしないでね!」



「………ねんぱいのじょせー、いないですね?」



「そうね

岩田さんと桃ちゃん…どこに行ったのかしら?」



「あ!だれかのこえがしましたよ!」



タヌちゃんは、神社の出入り口を指差すと


かぐやの背中にピッタリとくっつきました。



「ほんとに!?

タヌちゃん大丈夫よ!私が付いてるわ」



「ひぃぃ……」



かぐやは、誰がいるのか分からないので

一応身構えながら、ジリジリと少しずつ神社の目の前まで進んで行きました。


神様の住む建物の扉の前には、小さい階段があります。


そこまでたどり着くと

そーっと

一段目を上りました。


二段目に足をかけようとしたとき

「だぁぁ〜〜!!!!」という声がハッキリ聞こえました。


この神社の中から


すぐそこから聞こえました。


間違いありません。



「桃ちゃんの声よ!!!!!!」


「ひゃあ!デカいこえ!」


「あっごめんね」


タヌちゃんは、かぐやの背中でブルブルと震えています。



すると、


目の前の神聖な入り口が開きました。


中から出てきたのは

桃子と桂女の岩田さんでした。


扉が開くとき

ちょうどよく「だぁ!!!」と両手を上げて叫ぶ

桃子の姿を目撃しました。


タイミングが良すぎて、かぐやはプッと笑ってしまいました。


岩田さんは、驚いた表情で階段にいるかぐやを見つめています。


そして、

「どうしてこちらに?」と言いました。


「あ!!

わたしったら大変だわ…

ここに来ることを言わずに来てしまって…」


岩田さんの顔は急速に血の気が引いていき、

その場にへたり込んでしまいました。


「なんてこと…

わたしったら。

…つい

なんてこと…」


桃子を抱いたまま

「申し訳ございません!」と頭を深く下げました。


かぐやは一気に緊張が解けて、力がすっと抜けていきました。

フゥとやさしく息を吐き出すと、

ブルブル震える岩田さんの横にそっと座りました。



随縁不変とは、状況に応じて柔軟に対応しつつも、自分の本質は変えないという心のこと。

いつも自分らしさを失わない、私の創ったかぐや姫を表す言葉です。


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