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斜め上から見た美しい世界〜間違ったのは誰?正しいタスケル出来たのは誰?  作者: RiderLisa


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36話 孤独な一本道

幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。


ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た


現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!


地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!


ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。


月といえばお饅頭!


うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。


ルンルンでタスケルするのです!


タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで


うさぎとかぐやは、


大切な人を助けるとはどういうことなのか?  


自らの過去と向き合い、深みのある存在へと成長していく。

里道に入ると、風景は少しずつ変わっていきました。


背の高い木が徐々に増えていき、伸びた草たちが密集して生え重なって、奥に進むにつれ視界を遮る壁のように広がっています。

足元の土には苔がまだらに生えていて、落ちた葉っぱで埋め尽くされていました。

かぐやは、人の手が離れた自然を感じていました。


それでも、いつも誰かがこの道を通っているのは明白です。


道の真ん中に落ちている葉っぱは、踏みつけられて

跡が付いているし、粉々になって散っている状態のものもありました。

苔には動物の足跡が残されていて、濃い緑色や黒色に変色しています。


先程より光が少なくなった空間でも、まだハッキリと観察できました。


「まだまだ〜

大丈夫よ!」


かぐやは張り切って前へ進みました。


すると

「ポタッ………ポタッ」と、水滴が着物に当たる音がしました。


雨だと分かるまで数秒


もっと激しくなっていくと分かるまで更に数秒……


地球で《時間》の次に厄介な《天気》に落胆の声を上げます。


「やだぁあ〜!最悪すぎるーー!!」


かぐやは走り出しました。


あと、どれくらいの距離で神社に辿り着くのか見当も付きません。


「うわ〜!濡れるのやだよー!」

着物の裾を持って一生懸命走りました。


一瞬、觔斗雲を使おうと思い、月のネックレスに触れました。


觔斗雲に乗っていけば速く進めるし

それか、傘みたいにすれば濡れなくて済むと思ったのです。


けれど、

やっぱり使わないことにしました。


「無責任かもしれないよね…


……看板…見つけなきゃ!」


走りにくい着物で頑張って前に進みました。


村から出てしばらくは不便を感じなかったものの、

右へ曲がると格段に歩きにくい道になりました。


気をつけないと滑って転んでしまいそうです。


急ぎつつ…

でも滑らないように小またで走っていると


「あれ!!?看板だわ!!!」

道のすみっこに小さい看板が立ててありました。


觔斗雲に乗っていたら、きっと気付きませんでした。

かぐやは少しだけ嬉しくなりました。


《神社

この先》

そう書かれた板は、道の右側に立てられていました。


「……?」


看板の横は、相変わらず木や草が生い茂っていますが

一箇所だけ草を掻き分けて、人が進んだ跡がありました。


じっとその場所を見つめると、


草の中の道は、ここよりも光が当たっていて明るく、

地面の草も固まっていて比較的歩きやすそうだと感じました。


「ここ…?」


看板は間違いなくこの道を指し示していますが、

おいねさんは「行き止まりまで進む」と言っていたはず。

里道はまだ続いています。


かぐやは、行き止まりに看板があると思っていたのです。


「どっちだろ…」



「えぇ……どっち……?わかんないよ」


迷っている間も、雨は待ってくれません。

ジワジワと濡れていき前髪からポタッと雨粒が落ちました。


看板が間違うわけないけれど、おいねさんが間違ったことを言ったとも思えません。


「てことは…私が聞き間違ったのかしら?

記憶違いかな…

きっとそうかも。

うーん…」


どうしても、この看板のある明るい草の中の道を

進む気になれませんでした。


とりあえず

行き止まりまで、真っ直ぐ進んでみることにしたのです。


「間違ってたら…また戻ってくればいいわよね?!

行き止まりまで行ってみよ!」


正解かもしれない明るい道を通り過ぎて、

不安の残る真っ直ぐな道を、小走りで進みました。


進めば進むほど…

同じ景色は続きます。


森の中にあるただの里道は、孤独な一本道でした。


看板のある明るい道を行った方が、正しかったのかもしれないと感じるほど、鬱蒼としている陰の多い通過点なのです。

きっと爽やかな朝でもここは薄暗いはずです。


かぐやは、それでも歩き続けました。


自信があるわけではありません。

なんとなく、やっぱり間違っている気もするのです。


看板までの道のりは簡単そうだと思って、油断していました。

自分の耳で聴いた、今日の記憶すら疑ってしまいます。

かぐやは、考えれば考えるほど

おいねさんが、何を言っていたのか思い出せなくなっていきました。


「看板の指示に従ったら、行き止まりにたどり着く、その先は道がなくて…けもの道で…池があって…

だったかしら…」


そうしたら、やっぱりさっきの看板のあった明るい草むらの道を行かなければいけません。


「もうわからないわ…

でも…

この道でいい気がするのよ」


うさぎみたいに、ノートとペンを持ち歩いていれば

おいねさんから聞いた道順をメモ出来たのに。


やっぱり自分は駄目だなと思いました。

なぜこんなに簡単なことすら

忘れてしまうのか、かぐやにも分かりませんでした。

今度からノートとペンを持ち歩くことにしようと決めました。


しかし、


どんなに間違っているのかも…と感じていても

引き返すことはしませんでした。


かぐやが濡れる事を気にしなくなった頃、

行き止まりに辿り着きました。


そこは本当に道が無いのです。

ただの森でした。

見慣れた草と木なのです。


道は、《自然》とぶつかって止まりました。


「この先は進めないわね。

明らかに行き止まりだわ…あれ……」


かぐやは、看板がどこにも無いことに気付きました。


「そんなはずないよ

どこ?!

こっちで良いはずなのに…

なんで?」


今いる場所をキョロキョロと見回しました。


雨は霧雨になっていましたが、相変わらず止まることはありません。


来た道を引き返さないといけないかも…?

そう思うとゾッとしました。


そんなはずは無いと思っても、看板も無いのです。


歯を食いしばって音が鳴りそうでした。

だんだんと目頭も熱くなってきました。


柔らかい月の藁で編んだ、歩きやすい草履を履いていても、足はもう限界でした。


かぐやは少しの間、

目を閉じて雨と涙を瞳から追い祓いました。



『ねぇかぐや

私はこっちだと信じたんだよね

私がこっちって決めたんだよね

信じた道を来たんだよね


間違っちゃうときもあるし

うさぎみたいに完璧に出来ないし

無責任?なのかもしれないけど。


それでも…

私は信じちゃうんだ


大丈夫って


きっと大丈夫だよ。』


その声は、助けることを後押しした声と同じでした。


目を開けて

あたりを見回すと


地面に凹みがあるのを見つけました。


「あっ…」


しゃがんでよくよく観察すると、四角い何かが

深く土に刺さっていた跡がありました。



「あーーー!

これ看板の跡じゃないの?!」


かぐやは叫びました。


「やっった!!」


何度も「よっしゃぁ!!」と跳び上がって喜んだあと、 ダサいガッツポーズをしました。


雨でびしょ濡れになった着物姿の女の子は

気を取り直し、ツンとした表情で背筋を伸ばしました。


「看板どこにいったのかな?」


更に周囲を観察すると、


「あ!」


歩いてきた道の左側に、明らかに草の倒れ方が不自然な場所がありました。


草が根元から折れていて

何とか人がひとり入っていけそうになっています。


かぐやは近付いて覗き込みました。


四方八方、草ばかりですが

人が歩けそうな小道が確認できます。


「あっちもこっちも草だらけね…でも…」


大きな木は切られていて、この中の空間は整えられているようでした。


奥の方は真っ暗で何があるのか

かぐやのところからは見えませんでした。


「きっと、この先に池があるのよ」

迷わず足を踏み入れました。


屈んで身体を小さくして草の入り口を進みます。


「かつらめさん…あ、岩田さんだったわね。

桃ちゃんをだっこして

本当にこんなところに入ったのかしら?」



中へ入ってみると、なぜか少しだけ身体が軽くなった気がします。


「空気が美味しいね…」


木々や草たちは自然に果てしなく広がっていますが、

歩く人を邪魔しないように、扇状に森が拡大しているイメージでした。

鬱陶しい雨も此処には届きません。


光の届かない暗い場所のはずが…

何故か全体が見渡せるくらい、ほんのりと明るく

神秘的な印象を受けました。


この一本道は、神社へ繋がっているはずだと感じました。



「……カ……エッテヨォ」




「……カエッテヨォ」



「え?」



「カエッテヨォ!!」



「えぇ!!!?」



道の真ん中に、タヌキが立っていました。



「……は?」



「おねがいです!かえってよぉ!」



「えっ……………

………………」


ずんぐりむっくりの灰色タヌキは、お目々がまん丸の可愛らしい顔をしています。


かぐやのことを、じっと見つめて言いました。



「かんばん、かえたのに!なぜきたんですかぁ?!」


タヌキは、木の棒を手に持っていました。



「あ!!!!

それ!!!

看板!!!!!」

かぐやは指をさしながら叫びました。

  


「ひゃあ!デカいこえ!」

タヌキは、両手で耳を押さえました。



「あっ…ごめんね」



タヌキは看板を道の上に置いたまま

走り出しました。



「待って!!タヌキさん!!」



「え?」

タヌキは、あっさり立ち止まって

振り返りました。



「えっ

あぁ…

…………

……えーっと」

かぐやはタヌキの様子に拍子抜けしました。



「タヌキさんじゃなくて…タヌちゃんです…」


タヌキは両手を合わせて、上目遣いで言いました。



「え、

あーーーそうなの?

じゃあ

タヌちゃん…ちょっと話せるかな?」




「………いいですけど。」



タヌキにゆっくりと近付いて行き、看板のことを尋ねました。



「わたしは…みてのとおりのタヌキです…

だれにもあいたくないんです…だからカンバンをぬすんだり、べつなところにたてたりしてます。

こっちにきてほしくないんです」




「そうなんだ

神社に住んでるタヌキさんなの?」



「いえ!まさか!

だって わたしタヌキですよ!?

いけにすんでます。

さいきん、ひとやどうぶつがよくくるようになってしまって。

いやなんです!」



「そうなんだーなんで嫌なの?」



「え?

だって

……みんないじわるですから」


タヌちゃんはションボリして

歩き出しました。



「えっ

タヌちゃんどこに行くの?」

かぐやは尋ねました。



「タヌちゃんはおうちにかえります…」



「そっか…

私も行っていいかな?少し休みたいの…」



「えぇ!!!

タヌちゃんちにくるんですか…?!」



「うん、駄目かな?」



「いっいや!いいですよ!

いけ ですけど…いいんですかぁ?」



「うん、良いよ!」


タヌちゃんは、かぐやの返事を聞いて

にっこり微笑みました。


ついてきて!!と言うと、走って先に行ってしまいました。



「あぁー!タヌちゃん待ってぇ〜

走らないでーーー!!」



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