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斜め上から見た美しい世界〜間違ったのは誰?正しいタスケル出来たのは誰?  作者: RiderLisa


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32/53

32話 まともなかつらめさんはどこ

幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。


ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た


現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!


地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!


ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。


月といえばお饅頭!


うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。


ルンルンでタスケルするのです!


タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで


うさぎとかぐやは、


大切な人を助けるとはどういうことなのか?  


自らの過去と向き合い、深みのある存在へと成長していく。


「ねぇ、ちょっといい?」


後ろにいた若い桂女に、ズカズカと近寄って行き

声を掛けました。


「え?!

はっはいぃ!!!!!」

魚が入った桶を抱えていた桂女は、お決まりのように驚きました。



「あなた達ってなんなの?なんでみんな同じ格好なの?」

 


「えーー…と?申されますとぉ?」



「かつらめさんって名前だと思ってたのに…」



「え?

あっあぁ…

私たちは魚や飴を売る桂女ですぅ

えぇっと…

高貴な身分の方と接したことがないんですぅ

…すみません」



「飴を売ってたかつらめさんで、

赤ちゃんを抱っこしてるおばさん見てないかしら?」



「え?へぇ?……えっと

………………なんですか?」



「赤ちゃん抱っこしてる

飴のおばさんよ!!!!!!!」



「ひゃあ!ごめんなさいぃぃ!」


かぐやの大きな声に驚いて

桶の中の水が上下にジャプン!!!!と撥ねました。



「自慢じゃないけど私は高貴な方じゃないのよ!

普通に話してくれないかな?!」


うまく話が通じないので、イライラして強めな口調になってしまいました。


「ひぃいぃ!

すみませーーーん!!!」

若い桂女は、恐怖に慄いた顔をして

逃げていってしまいました。



「え!!?

ちょ!!ちょっと待ってよ!!!!?」


ヘンゼルとグレーテルのように

道に桶の水を溢しながら


すごい勢いで走り去っていく

若い桂女の後ろ姿を見送りました。



「なんなの……」


かぐやは、しばらく呆然としていました。

 

すると、


「やっぱり姫ってあぁいうかんじなんだねぇ」

「…ろくなもんじゃないよ」


耳が遠くなってヒソヒソ声が大きくなってしまった

道の端っこにいる老人ふたりは、かぐやに冷ややかな目線を送っていました。


「ねぇねぇ!!!」


老人たちは、目が合うと「ヒィィ!」と声を上げて、すぐにその場を立ち去りました。


「失礼なお爺さんたちね!」

かぐやは、頬をぷぅぅと膨らませました。


そして、キョロキョロと村の中を見回しながら

再び歩き出します。


「良い人たちだと思ってたのに

変な人ばっか…なんなの?」


まともな《かつらめさん》と桃子が恋しくなってきました。



うしろ

ひだり

と探していると…


大道から外れて、草むらを越えた広場に村人が集まっているのが見えました。


人々は円になって並び、歓声を上げています。


「さっきより人が少ないのは

あそこに集まっていたからなのね」


何かを囲むように、円形をつくって村人たちは立っていました。


目が良くても、

たくさんの村人たちが、ピッタリとくっついて並んでいるせいで、何をしているのか全く見えませんでした。


かぐやも草むらを越えて


そこまで歩くことにします。



「かつらめさんと桃ちゃんもいるかもしれないわね!」



少し離れた後ろのほうから、子供たちの声がしました。


「すもうだぁー」

「おれの父が一番つよいんだぞ!」

「いやーおれのだぁー!」


数人子供たちが走ってきて、かぐやを抜かして行きました。


一人の男の子が、走りながら振り返って

微笑んでくれます。


かぐやは、ニコッとして小さく手を振ると


その男の子は、ニカッ!と笑いました。


前歯が抜けていて、少しだけ間抜けな表情になっているのが、とても愛おしいと感じました。


「かわいぃぃ〜ふふっ」



かぐやは、たくさんの人が賑わっている場所から


少し離れたところで立ち止まりました。


また、すみませーーーん!!だとか…

ヒィィ!だとか…


煩わしい声が嫌だったのです。


幸い、村人たちは背中を向けている上、円形の中心を見つめることに忙しく、かぐやには気付いていません。


前屈みになり、隙間を探しました。


「なにやってるのかしら?」


腰に手をあてている村人を見つけて、その間から円形の中を覗くと、男性ふたりが取っ組み合いをしているのがチラッと見えました。


「はぁ?

……あっプロレスかな?

なんだっけ?

カンガルーさんが好きそうなやつね」


「おりゃー」


「うりゃー」


村人たちは争う二人を眺めて、

本当に楽しそうに歓声を上げています。


屋台などは無くても、

まさにお祭りの賑やかな雰囲気でした。



「…意味不明だわ」

かぐやは呆れて、今度は村人たちの中にかつらめさんと桃子がいないか探しました。



「うーーーーーーーん……


いないなぁ…


たぶん


いないわよねーーー


まぁ…


どーせ会えるんだけどね…?」



かぐやは、この場所に二人がいないと分かると

すぐに立ち去りました。



「一回リアル森のカフェに戻ろうかな…」


かぐやは両手を上げて伸びをしました。



そろそろ、うさぎたち起きたかしら?



「あたしだって…眠いんだからね…」


高貴な方とは思われなさそうな、

ダラダラした歩き方で大道に戻りました。




かぐやは少しだけ


ほんのちょっぴりだけ


不安でした。



「飴はいかがー?

かつらめあめだよーーー」


遠くにいるガラガラ声の桂女の声が響いています。



「かつらめさんの声じゃないよね


どこにいったんだろ…?」



村の反対側にいるのかな…

きっとそうだよね?


だって月では絶対に会えるもん。


うさぎが図書館に行ってても

カフェに行ってても


どこかで必ず会えるんだから。


そうなっているんだから

大丈夫よ


かつらめさんは良い人そうだったし


変なことにはならないはず!



変なこと…?


かぐやは立ち止まりました。


変なことって………?



地球の人間が制作した

娘が悪者にさらわれて母親が必死で探し回る

カナシイ物語を思い出しました。


その映画は斬新で、ずっとPCやスマホ画面、監視カメラの映像越しでストーリーが展開するのです。


とても印象的な撮影の仕方で、忘れずに覚えていました。


娘を助けるため

血だらけで走り回る母の姿は

痛々しく

何が何でも絶対に見つけ出そうとする

鬼気迫る表情が、

ほんとうに起きたことじゃないかと

勘違いしてしまいそうなくらいリアルでした。


うさぎとふたりで毛布にくるまりながら、

『面白いね!』と感想を言い合いました。


最後はどうなったのか、ハッキリと思い出せませんが


たぶんありきたりなラストシーンだったはずです。



「再会したはずよ、確か…。

……うさぎ

そろそろ起きたかな?

うさぎがいれば、音が聞こえるし…

きっと大丈夫よね」


少し急ぎ足で村の反対側に向かいます。


そして、


子供なら、逃げずに話を聴いてくれるかもしれない!


そう思ったかぐやは、小さい子たちを探しました。



「早くしなきゃね

……でも大丈夫よ

大丈夫

たぶん再会したもん」



かつらめさんが桃子を連れて行ってから、

かなり時間が経っている気がしました。


腕時計を持ってくればよかった…

かぐやは後悔しました。


月では使用することがないので、サンタ工場へ発注しなければいけません。


m.uですら取り扱いがないのです。


ポイントを沢山使うので、時計を手に入れることはしませんでした。



「時計があれば…


かつらめさんと桃ちゃんと待ち合わせできたのに。


あっ

でも、それって二つ必要ね


この時代の人に腕時計を渡すわけには

いかないもん


やっぱり仕方なかったのよ


……だから大丈夫よ」



「おひめさま かわいぃー」


「ねー!かわいいねぇー」


すぐ近くで

小さな女の子の可愛らしい声がしました。


かぐやは俯いて

自分の足元を見ながら歩いていたので

声がするまで気付きませんでしたが、

すぐ横に

前髪がすごく短いオカッパ頭の女の子と

ほっぺの赤い二つ結びの女の子が立っていました。


目が合うと


「わぁぁ!!かわいいー!!」

ふたりは嬉しそうに歓声を上げています。


「ごきげんよぅ〜」


「わぁぁ!!おひめさま!はじめてみたよ!」

女の子たちは、ピョンピョン跳びはねて喜んでいました。


「あっあのね!

ちょっと教えてほしいのー

みんな教えてくれなくて」



「どーしたのぉーー?」


「おひめさまもわからないことがあるんだねっ!!」


ふたりはニコニコ笑顔で言いました。



「そうなの〜

あのね!

赤ちゃんを抱っこしたー…

桂女を見なかった?」



「みたよ!」


「うん!みた!」



「え!!!!本当に!!!!?」



「うん!みたよ!」


「ね!あっちにいったよね!」


「うん!いった!」


かぐやは安心して

一気に肩の力が抜けました。


座り込みそうになりながら言いました。


「ありがとう…泣きそうよ…」



「えーー?どーーしたのぉー?」



「かなしいのー?なんでぇー?」



「いっしょにいったげるからね!!」


オカッパ頭の女の子は、かぐやの手を取りました。


「うん!あたいもいったげる!」


二つ結びの女の子も、かぐやの手を取りました。



「二人とも…ありがとう…」

かぐやは女の子たちの

温かい手のひらに触れて、涙が溢れました。


「かなしーのー?」


「だいじょぶぅ?」


手を握ったままふたりは心配そうに

かぐやのことを見上げていました。


「大丈夫よ!

姫だもの!」



「ひめさま、あめあげるよ」

二つ結びの女の子は、小袖の合わせ目から飴を取り出しました。


「あげるよぉ」

もう一度、女の子は可愛く言いました。


直に入れていた飴には、小さいゴミが沢山付いていて、とても美味しそうには見えませんでした。


「たべなぁ」



「うん、食べるね!」

小さい手から飴を受け取りました。


「おいしいね

優しくしてくれてありがとう」


口に飴を入れたままお礼を言いました。


「いーよー

かなしいときあるもん」


「うん

かなしいときあるよ」


「いつー?」


「うーん、あめがないときー」


「もうないもんねー」


「うんー」


かぐやにあげた飴が最後だったのか、

落ち込んでいる女の子たちが面白くて

かぐやは微笑みました。


「ふふふっ」

 

「あー!ひめわらってるー!!」


「あーわらってるー!!

なんでー?」



不安は、優しさと面白さで包まれました。


かつらめさんは優しい人だったから

大丈夫。


かぐやは信じているのです。


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