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斜め上から見た美しい世界〜間違ったのは誰?正しいタスケル出来たのは誰?  作者: RiderLisa


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30/50

30話 桂女さん

幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。


ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た


現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!


地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!


ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。


月といえばお饅頭!


うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。


ルンルンでタスケルするのです!


タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで


うさぎとかぐやは、


大切な人を助けるとはどういうことなのか?  


自らの過去と向き合い、深みのある存在へと成長していく。


かぐやは、なだらかな低い丘を下っていき


桶を持っていた女性の元に向かいました。


村の中は、運動会というよりお祭りのような雰囲気で


『こんなに人が住んでいるの!?』と、驚くくらい

たくさんの人々で賑わっていました。


村人たちは、かぐやと目が合うと笑顔で会釈をしてくれました。


「ふふっ

やっぱり良い人たちが多い村みたいねっ!」


友好的な態度に嬉しくなりました。


村の子供たちも、かぐやを見つけると手を振ってくれました。


桃子を抱っこしていたので、右手を顔の前で小さく上げて、素敵な笑顔をお返ししました。


桶の女の人がいたところへ向かう途中、


笑いながら走り回る子供たちの様子を見ていると

更にいい気分になりました。



「いらっしゃい!」


「いらっしゃい!」


威勢のいい声が聞こえてきます。



「じようきょうそう〜

せきどめにもいいよ〜」



「いたいた!」

かぐやは前方に、桶を頭に乗せた年配の女性を見つけて駆け出しました。


「いらっしゃぁ……ぃ」


かぐやと目が合うと、女性は急に困惑した様子で桶を下ろし、胸の前で抱きかかえました。 



「ごきげんよう!私もお菓子が欲しいの!いただける?」

かぐやも元気よく話し掛けます。

 

「はっはい!」

女性は、素早く桶を道に下ろすと、丁寧にお辞儀をしました。


「作法もわからず…すみません。

あの…

こちらは飴にございますが…召し上がりますか?」


ぎこちない返答に、かぐやも少し困惑しました。


「うん!

……えっと

………駄目かな?

一応お金は持ってるんだけど」


かぐやと桃子は、

桶の中にある小さいお菓子を見つめました。


「勿論!大丈夫でございます!

こちらは、桂女飴でございます」


「へーーそうなんだ!

飴大好きだよ!

これで何個買えるかしら?

出来たら全部食べたいわね!」

 

手の平に乗っているレトロなお金たちを見て、

女性はギョッとしました。


「あの!!

これは……

これはいくらなんでも貰いすぎでございます」


「そうなの?

別にいいのよ!

貰って貰って!!」


かぐやは、お金を渡そうとしました。


「頂けません!!」

女性は後退りをして、大きな声で断りました。



「えぇー!!それはこっちも困るのよ!!」

絶対に飴を食べたいかぐやも大きな声で言いました。



「私はお腹が空いてるの!!!

もしかして売らない気??」


お腹が空いて、イライラしてきました。



女性は、桃太郎と同じ困惑を極めた表情で黙っていました。


「受け取らないなら、タダにしてよ!」


人通りの多い、村の大道で意味不明な理論が炸裂していました。


度々、何事?と立ち止まる子供たちの目線も気にせず、かぐやは《飴をよこせ》と言わんばかりに、堂々と仁王立ちをしています。


女性もこの一言で観念したのか、分かりました…と小さい声で了承してくれました。


屈んで、すぐに桶の飴を掬おうとしていましたが

その手は止まります。


そして、かぐやのことをじっと見つめているのです。



「……私の顔に飴でも付いてる?」


「え!?

いえ!!

左様なことはございません!!

その…

何か椀などはございますか?」


「え??

あーそういうことね!

なんにも持ってないわ…

あっ

着物にポケットはあるけど…

全部は入らないわね…」


なんとしても全部食べたいかぐやは、

頭を悩ませました。



「もし…

よろしければ

私の椀をお使いになりますか?」



「え!いいの??」



「勿論でございます。

では…こちらへどうぞ」


女性は桶を抱えて 立ち上がりました。


「すみません。

私は桂女でして、椀などは知り合いの家に置いてあります…ここから少し歩きますが」



「うん!大丈夫よー!

………かつらめさんっていうのね!

私の名前は、かぐやよ。

よろしくね!」



「えぇ………こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。」


女性は、かぐやよりかなり歳上でしたが

桶をヒョイッと、軽々頭の上に乗せていました。


小さい飴といっても

お祭り用なのか?かなりの量が桶の中に入っていました。


「重くないの?」


「え?

いいえ。

どうってことないです

私は力持ちなんです

娘をよく抱っこしていたので

鍛えられました。」



「子供がいるのね!」



「はい

お嬢様と同じくらいでしょうか」


かつらめさんは、桃子を見てやさしく微笑みました。


歩きながら話していると、


桃子のことを娘だと思われていることに気付き、森の向こう側で里親と住む子供だと話しました。


かつらめさんは、たびたび振り返り優しい表情で

話を聴いていました。


村の真ん中にある大きい道をまっすぐ進んでいくと、

なにを売っているのか分からない小店に辿り着きました。


店の正面は、取り外せる板がいくつか嵌め込まれていて、壁の役割を果たしています。

歪んだ古い板も数枚、立て掛けられていて

強い風が吹くと倒れそうでした。


暖簾が垂れ下がっている場所が出入り口で、

「少しお待ちください」と言い残し、かつらめさんは店の中へ消えていきました。



その間も、かぐやのお腹はグーグーッと鳴っていました。


「はぁーお腹空いたーー」

かぐやも怪力ですが…桃子を抱っこし続けて、腕も少し疲れてきました。


「疲れたーーーーーーーー………」


かつらめさんは、期待通りすぐに戻ってきてくれました。


「お待たせしてすみません!」


椀の中には、溢れそうなほど飴玉が盛られています。


「おかわりも出来るわよね?!

ここらへんで座って食べてもいいかなぁー?

本当にお腹空いちゃったのよー早く食べたいの!」



「え!

いや…それはどうでしょう。

御衣装が汚れるかもしれませんので…

ここは知り合いの小店ですが、

今は祭りで留守なので…良ければこの中へどうぞ」


「わー!ありがとう!!!助かるー!」


かつらめさんは、親切に店の中へ招いてくれました。


店と言っても……

月の住人のかぐやには

どうしてもここがお店には見えませんでした。


人の温もりが感じられる建物なのは分かりますが…


お世辞にも『素敵!』とは言えない日本の家屋なので、かぐやは黙っていました。


暖簾をくぐり、すぐ右に人がひとり寝られそうな

生活スペースがあり、かぐやはそこに腰掛けました。


竈がある、今で言うキッチンのような場所から

かつらめさんは二個目の椀を持ってきました。



「私が言うのもなんですが…

散らかっていてすみません

飴をすぐにご用意致します!」



桶から、おかわり用の飴玉を掬い上げ、丁寧に数個ずつ椀に移しました。


「わぁぁ〜ありがとう!!」


かつらめさんは、喜ぶかぐやを見てニッコリと微笑みました。


「……えへへ

さっきはお腹空いてて…つい怒っちゃってごめんなさいね」


美味しそうな飴玉が乗せられた椀がふたつ

手渡されると、かぐやの気分はとっても良くなりました。


「お気になさらずに。

桃子ちゃんを抱っこしていますので。

どうぞ召し上がって下さい」



「ありがとう!!」

かぐやは上機嫌な声で感謝を伝えると、

すぐに桃子を預けました。


いっただきまーす!!と大きな声で挨拶して

飴玉を何個も口の中に放り込みました。


その姿が面白かったのか…

かつらめさんは「ふふふっ」と声を出して笑いました。


かぐやは気にせずに、やさしい甘さの不揃いな飴を

ガリガリッガリガリッ!!と、噛じって食べ始めました。


すると、

その美味しそうな咀嚼音に応えるように、桃子も

「オンギャァァァア」と泣き始めたのです…。



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