27話 誠を尽くせ
幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。
ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た
現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!
地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!
ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。
月といえばお饅頭!
うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。
ルンルンでタスケルするのです!
タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで
うさぎとかぐやは、
大切な人を助けるとはどういうことなのか?
自らの過去と向き合い、深みのある存在へと成長していく。
『これは善行だ!』と叫ぶお爺さんの声を思い出しました。
『炎に飛び込むことが善行?そんな訳ない!
褒めるなんておかしいよ!』
うさぎの感じたことは、その通りでした。
お爺さんはわかっていたのです。
あれは善き行いではありません。
自分を燃やしてしまうことは、功徳ではありません。
自分を犠牲にするタスケルは、自分を傷つけるとても罪深いことだったのです。
しかし、
お爺さんはうさぎを深く愛していました。
地獄ではなく
天国のような幸せな月に転生させる為
声高々と
自分の行為はさも正しいとばかりに
うさぎは尊敬されるべきだ!
信じられないほどの善行だ!と叫び続けたのです。
一粒
二粒
三粒
涙を流したのです。
お爺さんの姿は、
あの気難しい月の神様さえ納得させてしまいました。
住人たちが安全に過ごせるように
顔をグルグル回して監視している、愛の深い神様がいるところです。
本来なら、地獄行きだったはずのうさぎを匿うのに、とても都合のいい場所です。
うさぎの幸せは確保されたも同然でした。
確かに
お爺さんは嘘つきな神様なのです。
ほんとうに。
神という立場を利用した自分勝手な神様でした。
「僕…薄っぺらいうさぎだ
本当に馬鹿だった
なんにもわかってなかった
深みのあるうさぎじゃなかった」
「………おぬしは確かに深みのあるうさぎじゃよ。
まちがいない」
サンタは、俯いているうさぎに向かってウインクしました。
すると、
それが合図だったかのように
夢の中のピンクのフワフワが、
少しずつ黒色のフワフワに変わっていきます。
それを見たサンタは残念そうに言いました。
「おや〜?
………そろそろ行かねばならんかぁ
まだ話したいことあったんじゃが。
地球は時間って奴がいるから
ほんと厄介じゃ
うさぎや!
かぐやのところに急ぐんじゃ」
「え!なにこれ!
サンタ!!!!?」
黒色のフワフワしたのが大きくなって、
サンタとうさぎの間にフワフワ〜と入り込んできました。
あっという間に、
黒色のフワフワは大きくなりサンタの姿は見えなくなりました。
「また会える
大丈夫じゃよ
かぐやのところに急ぐんじゃ」
サンタの声だけは、うさぎの耳にハッキリと届きました。
「サンターー!!!
待ってよ!!!!!」
うさぎは手を伸ばし叫びました。
「もし駄目だと思っても大丈夫じゃ
どっちにしても大丈夫じゃ」
月の住人は、目がとても良いのですが
黒色のフワフワは分厚いのか、
ほんとうに黒色しか見えませんでした。
うさぎは、手を振り回しました。
「サンタ!どこ!!!?
ねぇ!
また会える!?
かぐやがどうしたの!?」
「大丈夫じゃ
どっちにしても大丈夫じゃ
……深みのあるかぐやになる挑戦じゃから
これは変えられん」
「なにそれ!!?」
再び、サンタ!と叫ぼうとすると
目を閉じて真っ暗になるのと同じような
ほんとうに何もない空間から
微かに
小さい、やさしい声が聞こえてきました。
「うさぎ………誠を尽くせ」




