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斜め上から見た美しい世界〜間違ったのは誰?正しいタスケル出来たのは誰?  作者: RiderLisa


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26/50

26話 犠牲にして突き進む道は地獄だ

幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。


ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た


現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!


地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!


ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。


月といえばお饅頭!


うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。


ルンルンでタスケルするのです!


タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで


うさぎとかぐやは、

大切な人を助けるとはどういうことなのか?


自らの過去と向き合い、深みのある存在へと成長していく。

挿絵(By みてみん)




「かぐや…


あれは真実の物語だったんだよ


僕…きっと解ってたんだよ


僕にとって必要なストーリーだったんだ…」



うさぎは目を閉じ

フカフカの胸を両手で押さえました。


かぐやがまた大事なときに側にいないことが残念でなりません。



大殿…


絵師の娘……


火をつけられ燃やされて死んだ残酷な運命……


うさぎの心に問いを残した物語 【地獄変】


そのときの薄っぺらいうさぎでさえ

作り話とは思えない感覚で、あの世界にのめり込みました。


「僕にとって重要な作品だった…」


他のひとにはわからない

自分にとっての真実。



うさぎが没入した

日本の文豪が遺した、疑問を抱かせる悲惨な物語。


内容はこうだった…


大切な娘に火を着けられ殺された


天才絵師 良秀。


娘が燃やされたにも関わらず、


その姿を絵にしたのだ


見事に完成させたイカれた父親。


彼が最期に見たのは


まさに地獄だった……。



人に火を着けることができてしまう、人間の皮を被った鬼のような愚か者 大殿。


どうしてそんなに酷いことができるのか


良秀の娘は、大殿に火を着けられて殺されたのだ。


うさぎのお爺さんは、そのカナシイ娘の魂だったのです。



「たまにいるんじゃよ〜


神の話を書いちゃう地球人」



サンタの声は、うさぎと温度差があるフワフワしたライトな声でした。



「おぉ!!やっぱり!!


ツキペディアにも書いてあるわい!!


ワシってば記憶力いいのぉ」




「………」




「帝釈天はな〜


おぬしが炎の中に飛び込んだとき


父のことを解りたい!という、渇望は解けたんじゃ。


解ったんじゃ


おぬしが燃えて死んでしまった後じゃが…。


うさぎとふたり、幸せに暮らす道もあったはずじゃ


父と同じく間違ってしまったと、泣き喚いておった」





「僕は…


……………


わからないや」




「それでよい。


しかし…


爺さんもおぬしを愛しておったんじゃ


それは友人として伝えておきたい」




「………」




うさぎは


じっとして…


動かずに…


ただそこに立ち尽くしていました。


何も言わず


夢の中でも目を閉じていました。



お爺さん…つまり神様の帝釈天…


そして、


燃やされ殺されてしまったカナシイ娘でもある存在。



月に転生しても忘れられず


なぜそうなったのか?

理解したい思いが暴走したのでしょう。


解りたい!と飢え、怨み、突き進む道は地獄だ。


そのあと目にしたものは、まさに父と同じ地獄絵図だったのだから…。




サンタは、夢の中のフワフワを掴んで


今度はおにぎりを握るように丸を作ります



「かぐやにも会おうと思ったんじゃがな。


あの子には、アクセス出来なくてなぁ」



丸なのか、三角なのか…よく分からないカタチのフワフワを上に向かって、かる〜く投げました。


サンタは御手玉みたいなことをし始めたのです。


一つ

二つ

三つ

テンポよくホイホイ〜と投げています。


ほんの少しのあいだ、うさぎは宙に舞う丸いフワフワを目で追っていました…


 


「友達が困ってるんだ」



「ウェッ?


……ぬ?


友達?」




「うん。地球のタイヘンな子供で


食べ物もないし、一緒に住んでる爺さん婆さんは意地悪だし。


しかも!その子、棒で叩かれて


顔がボコボコになってたんだ。


僕が月へ帰ったら


生きれるかどうか…。


だからサンタがそばに付いててあげてよ!


あの子たちには友達が必要なんだ!」



うさぎは、話題を無理矢理変えました。


真実を認める為に時間が必要だったのかもしれません。


お爺さんのことを許さなければいけない気がして

辛かったのかもしれません。


お爺さんの経験は、自分よりも遥かに悲惨で惨たらしい。


その地獄を経験したひとを憎む自分が、浅くて未熟すぎると感じて、恥ずかしいのです。


自ら炎に飛び込むような、間違った選択をすることと、火をつけられて殺される現況は違いすぎる。


選択肢がない不自由な状況に置かれ続け、最期は焼け死んだ。


非道な人間を前に何を感じたのだろう

うさぎには想像もできませんでした。


お爺さんは間違えることすら出来ない、真っ直ぐ決められた生を生きたのだ。


そこに何があったのだろう?


うさぎには、選べる余地がまだあったのだから。


行き着いた地獄

そこで何を感じたのだろう?


ーーー

ーー


「そばに付いてはおれんよ〜


この時代にワシいるのヤバイじゃろ〜」



少し時間が経ってから

サンタは変わらず、夢の中のフワフワと同じように

ライトに言いました。



「平気かぁ〜?」



「うん…………大丈夫…。」



「みんな間違うんじゃ」



「うん……わかってる…大丈夫。」



「全然大丈夫じゃなさそうじゃなっ!」



うるっさいな、と言おうとして

『大丈夫』を繰り返す桃太郎を思い出しました。



「……………サンタはすごいよね」



「ふぉっふぉっふぉっ」

サンタは髭を触りながら、控えめに喜びました。



「………その笑い方ほんとにするんだ」



「ふぉ?

ふぉっふぉっふぉっふぉぉぉ"〜」

最後の方はゴフゴフ言いながら笑いました。



「サンタは…誰かを目指してた?」




「ふぉ?………………いや……」


サンタは、ヒゲを触りながら目玉を上に向けて

わざとらしく考えるポーズをしました。



「実はな……



うむ



あれじゃ」




「だれなの???」




「……」


「……」


「……」


「忘れたんじゃ」



「はぁ!!??」


うさぎのツッコミの早さに、サンタは眉を上げて

ふぉぉぉふぉっふぉっふぉっ!!!と大きな声で笑いました。



サンタはお馬鹿なのかなぁ?と呆れましたが、

変な笑い声が面白くて、うさぎもニヤッとしました。


サンタの『ふぉぉぉふぉっふぉっふぉっ』の変な音に影響をうけて


うさぎの固く結ばれた心のリボンがふわふわっとゆるんで、少しほどけた感覚になっていきました。


緩んだリボンが外れて

プレゼントの箱が開くように…です。



うさぎはふと思い出しました。


お爺さんと過ごした【月の兎】の物語を…。



うさぎのために用意してくれていた野菜のかけらは、


いつもいつも


お爺さんが食べる量よりもずっと多かったこと。


お爺さんは大好きなカブも、うさぎに渡していました。


そのときのうさぎは、いつもお腹が空いていて


つい全部食べてしまっていたこと…


「次こそはお爺さんに食べさせてあげるんだ!」


決意していたことも思い出しました。



桃太郎のように、硬い棒で叩かれたことなんてありません。


シワシワの手でいつもフカフカを撫でてくれました。


悪い手を持つ人がたくさんいる時代に、


お爺さんは、優しくする為に手はあるのだと


教えてくれたひとです。


優しい眼差しと温かい手のひらは


うさぎにとって、


大切な


大切な


唯一無二のプレゼントでした。




うさぎが月のノートに書き記した通りです。


おじいさんはサイコウだったのです。



うさぎは言いました。


「僕…愛されてた」



「お爺さん優しかった」



「お爺さん大好きだった…」


うさぎの大きな目から、大粒の涙が溢れました。




「僕、愛されてた」


薄々気が付いていたことを口にしました。


「お爺さんは僕に火を付けたりしなかった

絵にしたりしなかった……」


一粒


二粒


三粒


うさぎの涙は流れました。


お爺さんから


与えられた愛を


一つ


二つ


三つ


たくさん思い出しました。




「ワシの友達に愛を送ってくれてありがとう

ほんとうに感謝じゃ」




うさぎは、


炎に飛び込み


あまりの苦しさに


何故それを選んだのか忘れてしまいました。




カブを盗むくらい、なんてことなかったのです。


お爺さんの為なら盗ってやる!


お爺さんが幸せになれるなら何でも良かったのです。



そのときのうさぎは、


炎に飛び込むくらい


そんなこと大丈夫さ!!!やってやる!!


そう思わせてしまうくらい


重く、深い愛が在ったのです。




今のうさぎは気が付きました。


たしかに


すべて自分で選んだことでした。




そして、


大切なこともあと一つ…




「おぬしは既に深みのある存在じゃから話しておこう。


自分を犠牲にして


誰かをタスケルやり方は


本来、地獄変相なんじゃぞ。」




「………え?」




「爺さんは、愛するうさぎを地獄へ送るなんてことはできなかったということだ」




「え?……………そんな………え……」



夢の中のうさぎは、目を見開きました。



お爺さんを助ける為に奮闘し、

貢献をしたから月へ転生できたと思っていたのです。



だって善行と言ってくれたんだもの

だって褒めてくれたんだもの


「なんてこと…」


うさぎはフカフカの手で顔を覆いました。


とんでもない勘違いをしていたのです



本来ならうさぎは、閻魔様に『自分を傷つけた罪』で裁かれるはずだった…ということなのでしょう。



しかし、

閻魔様に会うことも

地獄の受け付けに行くこともありませんでした。


お爺さんが、炎に飛び込んだうさぎの行動を

【善行】と称え、月に転生させてくれたからです。




確かに、神様は嘘つきでした


ルールを破る勝手なことをする神様でした。





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