16話 かぐや 月に戻って、服屋に行く!神様には内緒だけどね!
幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。
ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た
現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!
地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!
ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。
月といえばお饅頭!
うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。
ルンルンでタスケルするのです!
タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで
うさぎとかぐやは
大切な人を助けるとはどういうことなのか?
自らの過去と向き合い、深みのある存在へと成長していく。
かぐやは、急いで月に戻りました。
桃太郎と桃子の着替えを選ぶ為、
いつも通っている服屋さんにやって来ました。
その名もm.u〈むーゆー〉です。
月には色んな存在がいますから、人間っぽいのから
うさぎみたいに動物用っぽいのまで、様々な服が用意されています。
かぐやのお気に入りは、日本の着物です!
浴衣や下駄なども大好きです。
最新版の日本のファッションには目もくれず、
レトロな日本ゾーンに直行です!
毎回、素敵な新作着物たちに釘付けなのです。
「えへへ〜これこれ♡」
思わず、自分好みの十二単に目がいってしまいます。
「かわいすぎる〜!!!やばーい!」
白と紫で彩られている
m.uオリジナルの十二単
一番上に着る袖や丈が短い唐衣は、鮮やかに光り輝く濃い紫色で、まん丸の月のマークが丁寧に刺繍されています。
最も目立つ衣の表着は、薄い紫色でラメのように細かく光っていて、唐衣を引き立たせていました。
m.uのオリジナル感が全面に出ていながらも、
日本の高貴な女性が着ていそうな雰囲気はしっかりと残っています。
「ふわぁぁ……………♡♡♡
いい!!
いい!!
いい!!
………………………………ハッ!!!!!」
かぐやは涎が垂れそうになって、我に返りました。
「いけない、いけない!早くしなくちゃね!」
かぐやは、日本男子のレトロコーナーにドタバタと走っていきました。
桃太郎の着替えは、あっという間に決まりましたが………
「桃ちゃん、どの色が好きかな?」
桃子用は、アレコレ悩んでしまってなかなか決まりませんでした。
「はー♡これも可愛い…♡どーしよーーーー!!
迷うーーーーー!!!
あっ…別に1枚じゃなくても良いわよね!?」
カゴには、桃子の服ばかり
一枚
二枚
三枚と………
たくさん増えていきました。
「ハッ!!!!そうだ!!!!」
かぐやは、大切なことを思い出しました。
【時間】です。
月に戻っている間、地球の時間は止まりません。
かぐやは、持っていたピンクの服をカゴに突っ込んで、外へ出て走り出しました。
月でのお会計は、貢献で支払われます。
貢献を使い果たした住人は、お店が見えなくなるそうですが……
そんなことは稀でした。
貢献は簡単だからです!
大好きなお菓子屋さんでお手伝いをして
たまにつまみ食いをしたり
サンタ工場で梱包のお手伝いをして、プレゼントを貰ってきたり
好きなことをして貢献します。
とっても楽チンなのです!
地球の人間のように、
貢献できる才能や体力がない…自分には何も出来る事がない!と、頭を悩ませることはありません。
かぐやは服屋さんのお手伝いをして
たくさん貢献ポイントを貯めていたので、
着替えをたっくさん買えたという訳です。
「ヤバいよぉ〜あの時代、風邪ひいたら
大変だった気がする…急がなきゃ!」
かぐやは、カゴの服が落ちないように逆の手で押さえながら走りました。
地球と関わっている間、時間が発生するので
どうしても【焦り】が生まれてしまいます。
この【焦り】について、
MoonTubeで頻繁に取り上げられていました。
当初は、とても美しいもののイメージでしたが…
地球に旅行し、
実際に【焦り】を体験する月の住人が増えると
【地球の七不思議】に認定されました。
時間は【大変すぎる設定】と感じる住人が多かったのです。
月の住人は、のんびり屋さんが多いですからね。
普段、月では焦ることのないかぐやも、実際に体験してみると、その七不思議にすっかり呑み込まれていました。
(これから神殿に行って神様の許可をもらうとなると、すごく時間掛かっちゃうわよね…)
通常、月と地球の行き来は、神様の許可を取らなければいけません。
初めて地球に行くときは、うさぎが手続きをしてくれました。
実は……
前回戻ってきた時もその前も。
桃太郎に月の食べ物を渡すために、月と地球を行き来しましたが、神様に許可を取っていませんでした。
とにかく早く、カナシイ桃太郎に月の食べ物をあげたかったのです。
バレなければいいよね…?と、軽い気持ちで
ルール違反をしていました。
地球特有の焦りは、確実にかぐやの判断を鈍らせていました。
「うさぎにバレたらどーなるのかしら?」
かぐやは独り言を呟きました。
「でも…大丈夫よね…?
急いでいるし…また今度でいいわ!
うさぎには神様の機嫌が良くて、運が良かったって言えばバレないわよ!」
かぐやは、
月のネックレスから觔斗雲を取り出しました。
フカフカもちもちと弾力のある雲に飛び乗って
出入り口に向かいます。
觔斗雲の最大スピードは、マッハ11以上!
走れメロスの、メロスのスピードを超えるのです!!
「セリヌンティウスを待たせる気持ちは
きっとこんな感じだと思うわ!」
「誰も気にしないから大丈夫よ!タスケル為だもんね!」
かぐやは、超高速で月から出て行きました。




