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三連装砲の魔女  作者: ディープタイピング
第二部 戦線拡大編
29/39

#29 防戦

 バハナ王国の周辺海域は、シンドゥと同様のねっとりとした熱気に包まれていた。 ルマク王国での独立支援、そしてチェルナイ沖での三つ巴の戦いを経て、我々第二艦隊は、束の間の休息を得る間もなく、新たな戦場へと呼び戻されていた。


『敵艦隊、視認! 方位二七〇、距離三万!』


 観測員の鋭い声が、戦艦「震洋」の伝声管越しに響き渡る。 僕は第二砲塔の中で、その報告を聞く。隣には、サヨがいる。彼女は固い表情で、手元の宝玉を見つめていた。


「また、来たか……」


 スザキ大尉の声が詰所に響く。 今回の敵もまたバリャールヤナ艦隊。その数、四十隻。 前回の敗走からまだ日が浅いというのに、奴らは執念深く戦力を再編し、再びこのバハナ王国を狙って現れたのだ。バハナで産出される希少金属は、高性能な機関の製作に不可欠だという事情もある。とはいえ、バリャールヤナでも算出できる物資だ。だから、どちらかといえばスラヴィア共和国に対する嫌がらせのため、この国を狙ってきた、というところか。


「今回、数ではほぼ互角なのね」


 サヨがポツリと呟く。 今回の我々の戦力は、第二艦隊の残存十四隻に加え、同盟を結んだスラヴィア共和国第七艦隊の二十四隻。合わせて三十八隻。敵の四十隻と真っ向からぶつかり合えば、十分に勝機はある。

 だが、海上に展開した敵艦隊の様子が、明らかに異様だった。


『敵艦隊、停船! 単縦陣を敷いたまま、錨を下ろし居座ってます!』

「つまり、またあれか……」


 僕は思わず舌打ちをした。そう、前回の戦いで我々を苦しめた、あの「見えざる壁」だ。敵はまたしても、艦隊を停止させ、防御陣形を敷いて待ち構えているのだ。

 だが、攻めてきた敵が防御陣形とは、何の意味があるんだ?


「スラヴィア艦隊、攻撃を開始します!」


 血気盛んなスラヴィア艦隊が、先手を打って発砲する。オライオン級戦艦の巨砲が火を噴き、数トンの鉄塊が敵艦隊へと吸い込まれていく。 だが、その結果は見る前から分かっていた。

 まるで遠雷のような音が響き、敵艦隊の手前で爆炎が広がる。 砲弾が、何もない空中で弾け飛び、あるいはその手前におちて水柱を大量に上げる。どちらにせよ、敵艦は無傷のままだ。


「やっぱり……またあの壁だったな」


 僕は唇を噛む。あの物理的な砲弾すらも通さない、不可思議で鉄壁の防御。アーティたちシンドゥの魔女が使う「防壁」の術を、バリャールヤナが何らかの方法で模倣し、機械的に展開しているものだと考えられる。


「全艦、撃ち方待て! 無駄弾を使う羽目になる!」


 スザキ大尉の命令が飛ぶ。 スラヴィア艦隊も、数度の斉射が無意味であることを悟り、砲撃を中止した。 海の上で、二つの大艦隊が対峙する。波の音だけが響く、奇妙な膠着状態が訪れた。


「どうするつもりだろう、敵は」

「動かないってことは、向こうも撃ってこれないってことだよね?」


 サヨの言う通りだ。あの壁は、敵自身の攻撃をも遮断してしまう「諸刃の剣」だ。奴らが壁を張っている限り、こちらに被害が出ることはない。 だが、健在な敵に居座られては、バハナ王国を守ることはできない。敵がジリジリと圧力をかけてくる中、我々は手出しができずにいる。

 やがて両者は対峙したまま時間が過ぎ、太陽が水平線の彼方へと沈んでいった。 熱帯の海に、急速に闇が訪れる。


『夜襲をかける。裏側に回り込めば、敵を攻撃できるかもしれない』


 夜になり、スザキ大尉から新たな作戦が伝達された。 あの壁が、以前のシンドゥの魔女の術と同じ原理なら、展開するには相当なエネルギーと集中力を要するはずだ。となれば、一方向にしか展開できないという弱点があるかもしれない。


「敵の裏をかく。全艦、微速前進。夜陰に乗じて敵艦隊の背後へ回り込む」


 我々第二艦隊は、灯火をすべて消し、月明かりすらない闇の中を慎重に進む。機雷を設置している可能性はあるが、その場合はサヨが何かを察知するはず。スラヴィア艦隊には正面から敵の注意を引きつけている間に、我々は暗闇を側面から背後へと迂回する。

 それから三時間の緊張の後、我々は敵艦隊の真後ろにつけた。


『攻撃用意! 魔導砲、および通常砲、一斉射撃!』

『第一から第三砲塔、撃ちーかた始め!』


 艦長に続く砲雷長の号令と共に、暗闇が昼間のように照らし出された。 僕らの「震洋」を含む全艦が、敵の無防備な背中へ向けて牙を剥いた。


八百万(やおろず)の神々、闇と殻に隠れし卑劣なる敵を殲滅させたまえ、清めたまえ!」


 サヨが叫び、魔導砲のトリガーとなる宝玉に魔力を叩き込む。 青白い閃光が闇を切り裂き、敵艦へと殺到する。

 青い光の筋が、敵艦隊のど真ん中に向かって放たれる。他の艦も、一斉に通常砲、魔導砲を放つ。が、その直後に、耳をつんざくような、まるで金属同士を弾いたような硬質な音が響き渡った。

  光が、弾かれた。 それはつまり、敵艦隊の背後にもあの「壁」が存在していたことを示す。


「えっ、嘘……後ろも!?」


 サヨが愕然とする。あの壁は、全方位防御だったのか。それとも、複数の艦で連携して死角を消しているのか。いずれにせよ、こちらの砲撃はすべて虚空で弾かれた。魔導の光は反射され、実砲弾は砕かれて海面に無数に落下するのみ。


「しまったな、前回と同じく、一点集中砲撃で壁を砕くべきだったか」


 一方で敵は、反撃すらしてこない。ただ不気味に、そこに「在る」だけだった。何発撃っても、敵には届かない。やがて夜明けが近づき、我々は一旦、距離を取らざるを得なかった。

 翌朝。 太陽が昇っても、状況は変わらない。 バリャールヤナ艦隊は、昨日と同じ場所に、同じ陣形で鎮座している。まるで、海に浮かぶ要塞のように。


「じれったいな……」


 スザキ大尉が詰所でそう呟くが、やや離れた位置にいるスラヴィア艦隊からも、どこか同じ苛立ちが聞こえてくるようだ。 世界最強を自負する彼らにとって、目の前の敵を叩けない屈辱は耐え難いものだろう。


『スラヴィア艦隊、突撃します!』


 痺れを切らしたスラヴィア艦隊の一部が、命令を待たずに突進を開始した。 距離を詰め、ゼロ距離射撃で壁をぶち抜くつもりか。

だが、結果は悲惨だった。 接近した巡洋艦が放った砲弾は、やはり直前で弾かれる。弾かれた弾の一部が一隻に当たり、それが火災を起こして後退する羽目になった。


「ダメだ、物理攻撃じゃラチがあかない」


 スザキ大尉が、詰所で決断を下す。


「トウゴウ伍長、それに魔女殿。こうなったら、壁を撃ち破るぞ」

「やるって……昨夜も弾かれましたが」

「前回と同じ手だ。全艦の魔導砲を一斉に一点へ集中させる。いかに強固な壁といえども、許容量には限界がある。そこで空いた穴に、二艦隊による実砲弾を集中させる」

「やはり、それしかありませんか」

「そうだ。そろそろ魔力も回復した頃だろう。他の艦の魔導砲もすべて、敵艦隊中央に照準に合わせ、一斉砲撃を仕掛ける。スラヴィア艦隊にも、暗号通信で知らせる」

「わ、分かりました。砲撃準備、入ります!」


 サヨが気合を入れ直す。 シンドゥの魔女たち——アーティたちは、今回も甲板に待機している。彼女たちの援護も借りれば、威力はさらに増すはずだ。


『全艦、魔導砲用意! 目標、敵旗艦一点! 震洋の射撃に合わせろ!』


 号令が下る。 サヨが宝玉を握りしめ、祝詞を唱える。


八百万やおろずの神々よ……偽りの障壁を、祓いたまえ! 清めたまえ!」


 「震洋」の三連装砲が咆哮する。同時に、僚艦からも無数の青い光条が放たれた。 それらは空中で束ねられ、巨大な光の槍となって敵旗艦へ突き進む。

アーティたちの琥珀色の光も加わり、その輝きは太陽すら凌駕するほどだった。

バリバリッ、という、何かが砕けるような音が響き渡る。十数本の光の槍が、見えない壁に突き刺さる。火花が散り、空気が歪む。 そして、ガラスが割れるような甲高い音と共に、空間に亀裂が走った。 壁が、割れた。


「やった! 抜けた!」


 僕が叫んだ、その直後だった。味方とスラヴィア艦隊の通常砲が、一斉に火を噴く。

 が、なんと言うことか、先ほどよりは内側に届いたものの、やはり弾き飛ばされてしまう。


「なっ……!?」


 つまりだ、二枚目の壁があったと言うことになる。


「二重……だと?」


 スザキ大尉の声が震えた。 敵は、壁を破られることを想定していたのだ。一枚目が破られても、二枚目を張っておく。先の戦いで撃ち破られることを前提に、


「そんな……もう一撃、一斉射撃だなんてできないよ……私の砲だけじゃ、あれは貫けないし」


 サヨががっくりと膝をつく。もう一度、魔導砲の一斉射撃を撃つことはできない。となれば、あの壁はすぐには破れない。この事実は、艦隊全体に絶望的な空気を広げた。


「しかし……妙だな」


 甲板上で、スザキ大尉が双眼鏡を下ろさずに呟いた。


「妙、ですか?」

「ああ。敵はこれほどの防御力を持っている。ならばなぜ、攻めてこない? 壁を展開しながら前進すれば、我々を押し潰せるはずだ」


 確かにそうだ。 二重の壁があるなら、それを盾にして距離を詰め、一方的に攻撃すればいい。 だが奴らは、頑なにその場を動こうとしない。いや、もしかして動けないのかもしれない。

 これまでの敵の動きから推察するに、あの壁はどうやら動かせないとしか思えない。なればこそ、誘い込むしか方法がない。スザキ大尉の言うような戦術が可能であれば、とっくにしているはずだ。


「なんでしょうね、守りに徹する限り、単なる時間稼ぎにしかならないですよ」


 僕は思わず、スザキ大尉の横でぼそっとそう呟いた。が、それを聞いたスザキ大尉がふと何かを思いついたように双眼鏡を下ろし、こう告げる。


「待てよ……時間稼ぎ?」


 スザキ大尉は、僕の顔を見た。


「動かないことで、我々をここに釘付けにしているとしたら、どうだ? 我々の注意を、この『壁』だけに引きつけているとしたら?」


 その時だった。 伝声管から、悲鳴のような報告が飛び込んできた。


『緊急入電! スラヴィア艦隊後方で爆発多数! 水柱が上がっています!』

「なんだと!? 敵の砲撃か!?」

『いえ、砲弾にあらず! 水中からの攻撃、魚雷と思われます!』

「もしかして、潜水艦か!?」

『こちらからは、確認できません!』

「対潜ソナー室! 何か探知できないか!?」

『現在、爆発音多数を聴知! 潜水艦の特定は、不能!』

「艦長、全艦に回避運動を指示するよう進言いたします!」


 戦場は一瞬にしてパニックに陥った。壁に気を取られ、水中への警戒が疎かになっていたのだ。つまり敵は水上艦隊を囮にして我々を釘付けにし、その間に海中から潜水艦部隊を接近させていたのだ。

 スラヴィア艦隊の方角で、次々と水柱が上がる。 回避運動もままならない密集隊形の中、魚雷が食い込む。 戦艦一隻、巡洋艦二隻、駆逐艦二隻に命中し、戦艦以外の艦は、腹を割かれて傾いていく。


「なんてことだ……!」

『雷跡視認! 艦隊後方、五時方向! 数、二十以上!』


 今度は我々に、水中からの牙が向けられた。と同時に、今まで彫像のように動かなかったバリャールヤナの水上艦隊が、ついに動き出した。


『敵艦隊、前進開始! 全砲門を開いています!』

「くそっ、これが狙いだったのか!」


 スラヴィア艦隊は、潜水艦の奇襲を受けて大混乱に陥っている。隊列は崩れ、味方同士で衝突しかけている艦もある。 そこへ、無傷のバリャールヤナ艦隊四十隻が、牙を剥いて襲いかかろうとしているのだ。

このままでは、スラヴィア艦隊は全滅する。そして次は、我々の番だ。


「砲雷長! どうしますか!?」


 僕が叫ぶ。 スザキ大尉は目を閉じて考えた後、こう叫ぶ。


「第二砲塔、バリャールヤナ艦隊に向けて、長距離砲撃を仕掛ける」

「えっ!? この乱戦の中でですか!?」

「敵の先頭集団を叩く。奴らが動き出した今、壁はない。先頭を叩いて足を止めれば、スラヴィア艦隊が立て直す時間を稼げる」

「しかし、魚雷が飛び交う中、照準を合わせるのは……」

「タイミングは伝える。その前に、シンドゥの魔女たちを集めなければ」


 スザキ大尉の気迫に、僕は頷いた。 そうだ、今はやれることを、やるしかない。


「アーティ! 聞こえるか!」


 僕は甲板にいるアーティたちに向かって叫んだ。 甲板にいるアーティたちも、事態の深刻さを理解していた。


「分かった! 我ら、導く!」


 アーティが叫び、三十人の魔女たちが第二砲塔の上に登り始める。 サヨが、震える手でラムネを飲み干し、宝玉を握りしめた。


「狙うは、敵艦隊先頭! あいつらの足を止める!」

「了解!」

『目標、敵先頭集団! 距離、八千!』


 距離は近い。だが、戦場は混乱の極みにある。 燃え上がるスラヴィア艦、逃げ惑う駆逐艦、迫りくるバリャールヤナ艦隊。 その隙間を縫って、あの一点に当てる。


「ナーナ、タラ、ヤン……」


 アーティたちの詠唱が始まる。 琥珀色の光が、第二砲塔の砲身を包み込む。回避運動で揺れる艦上で、彼女らは必死に踏ん張り、舞でその琥珀色の光を維持する。


「敵魚雷が、途絶えた! 今だ!」


 スザキ大尉の号令と同時に、サヨは宝玉を握りしめる。勝敗を左右する一撃が、まさに加えられようとしていた。そして、サヨの祝詞が砲塔内に響く。


「八百万の神々よ! 卑劣なる敵を食い破り、清浄なる光を放ちたまえ! 清めたまえ!」


 二発目の三連装魔導砲が、再び咆哮する。と同時に、琥珀色の魔力が青い閃光を導き、戦場の空気を切り裂いて飛翔する。

 それは、燃え盛るスラヴィアの巡洋艦の脇をすり抜け、水柱の間を縫い、一直線にバリャールヤナ艦隊の先頭集団へと突き進んだ。

 ドーンという大きな音と共に、先頭を走っていたネヴィリーム級戦艦を含む三隻に、光の矢が直撃した。 巨大な爆発と共に、その三隻の艦上部が吹き飛ぶ。 制御を失ったその艦艇は速度を落とし、後続の艦の進路を塞ぐ形になった。


「命中! 敵先頭艦、三隻、撃沈確実!」


 バリャールヤナ艦隊の進撃が詰まる。後続艦は衝突を避けるために急減速し、綺麗な陣形が一気に崩れた。


「今だ! スラヴィア艦隊、立て直せ!」


 スザキ大尉が叫ぶ。 その声が届いたかのように、混乱していたスラヴィア艦隊が息を吹き返した。このわずかな時間のうちに、体勢を立て直した。


『スラヴィア駆逐艦隊、反転! 敵潜水艦へ突撃します!』


 怒りに燃えるスラヴィアの駆逐艦たちが、海中にいる敵潜水艦に向けて猛然と襲いかかる。 すでに魚雷を撃ち尽くしたと思われる潜水艦に、スラヴィア駆逐艦隊からのすれ違いざまの爆雷攻撃が続く。次々とバリャールヤナの潜水艦が、鉄屑となって沈んでいく。


「我々も続くぞ! 足の止まった敵艦隊を叩け!」


 我が艦「震洋」の第一、第三砲塔が火を噴く。 陣形を崩し、動きの止まったバリャールヤナ艦隊は、今や格好の的だった。まさかの魔導砲による攻撃で、作戦が失敗。動揺する敵艦隊は、もはや戦う意志を失っていた。


「退いていく……」


 サヨが、砲塔の隙間から外を見る。バリャールヤナ艦隊は、傷ついた仲間を置き去りにして、蜘蛛の子を散らすように敗走していく。どうにかしてバハナ王国への侵攻は、食い止められた。

 ただし、味方の損害は大きい。特にスラヴィア艦隊は四隻を失い、一隻がほぼ戦闘不能。戦闘が可能なのは十九隻だ。一方の我々も、魚雷により駆逐艦一隻を大破させられた。こちらも十三隻となる。

 犠牲を伴いながらも戦いが終わり、静けさが戻った海上で、僕はサヨの肩を抱いた。 彼女は消耗しきって、僕の胸に顔を埋めている。


「勝った……のかな、今回も」


 だが、僕の心にあるのは安堵ではなかった。

 二重の防御壁。 潜水艦との連携による、高度な囮作戦。

 バリャールヤナ軍は、確実に進化している。 魔女を持たない彼らが、技術と戦術で、我々の「魔導砲」という優位性を覆そうとしている。


「さて、次はどうくるんだろうな」


 僕はふと呟いた。 敵は今回の失敗を教訓に、次はさらに厄介な手を打ってくるはずだ。これではイタチごっこだな。魔導砲が万能でなくなる日は、そう遠くないのかもしれない。


「次なる一手……か」


 僕は、遠くの空を見上げた。 アーティたちの「舞い」や、サヨの「魔導砲」。 これらを組み合わせるだけでは、もう勝てないかもしれない。 何か、根本的に新しい力、あるいは戦い方が必要になる。

 そういえば、あの安国神社の巫女が言っていた「秘策」とやらは、これのことだったのか。それとも、まだ序章に過ぎないのか。そして、アーティが頑なに隠す「秘伝」とは……。

 考えれば考えるほど、思考は迷宮に入り込んでいく。 だが、立ち止まるわけにはいかない。 僕らの背中には、多くの命と、国の命運がかかっているのだから。

 僕はサヨの手を強く握り返した。 その温もりだけが、今の僕をつなぎとめる、唯一の確かなものだった。

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