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テスト  作者: ワニ
エリア5『死の街』
33/42

『神への挑戦』

瀕死の魔龍と傷だらけの勇者たちの死闘は未だ衰えを知ることはない。そしてこの戦いこそが世界の運命を決めることとなり、そはそれぞれに負けてはならない理由があるのだった。

それは、目の前の魔龍も同じである。


「グォォォォォォォ!!!」


グレイドは両拳を地面に叩きつけ聖龍の波動と相反する赤き色合いの波動を発生させ、それは全てを破壊しながらアルマたちに迫る。


「各自避けるっす!当たったら致命傷は免れないっすよ!」


アルマたちはこれは防ぎきれないと判断し各自その命を刈り尽くす弾劾の波動から避ける。まあ、その波動から避けたところで…


「グァァァ!!」


迫りくるグレイドの追撃を避け切ることはできまい。グレイドはその圧倒的な威力を持つ打撃でまず一人、ルビーを殺そうとするが…


「なんとか間に合ったっす」


「ッ!?」


「しーるどばっしゅ!」


グレイドは渾身の威力を誇る拳を防がれて驚愕する。それだけではない、お返しにシールドバッシュも喰らってしまった。ダメージこそ特に喰らっていないが…これは由々しき事態である。だが、何も問題はない。


「…まずいっす!」

「魔法も間に合わないわね…!」


グレイドは至近距離から繰り出す死の吐息で、ひとまずルビーをダウンさせようと画策する。アルマをこのブレスでダウンさせるのは厳しくても…ルビーは直撃すればただでは済まないだろう。


だが、背後がガラ空きである。


「そら!!!」


「グァ!?」


ノアがグレイドの背後から忍び寄り全力の光の剣による一太刀を浴びせる。今までグレイドに対して光の剣による斬撃はほぼ効かなかったが、今回は確かに効いた。


グレイドの翼に僅かながらではあるが剣による切り傷ができ、痛みと、そして…ノアの斬撃が自分に効いたことによる驚きでグレイドは死の吐息を暴発させてしまった。


「そこだ!」

「隙ありっす…!」


怯んだ魔龍に対してノアとアルマは追撃を仕掛けようとするが…ルビーは違和感を覚える。


「ダメ、退きなさい!」


「ぬぉ!?」

「どうしたルビー!?」


ルビーはノアとアルマの首根っこを掴み、そのままグレイドから距離を取る。そして、次の瞬間…


グレイドにより空気が殴られ、周りに衝撃波が発生する。そしてすぐに、まるで赤いシャチのような異形の幻影がグレイドの身体から現れ、全てを薙ぎ払う。


——強者たちのデータは、既に収集済みだ。

グレイドは決して鍛錬を怠ることはない。グレイドは相対する強者の能力を取り込み、いずれはその能力を同等レベルまで扱えるほどになる。

『小さな太陽』を見よう見真似で再現してみせたのだ。時間さえかければこのくらいどうということはない。


そしてそれは…この場でグレイドを仕留め切らないと、今度こそ誰も打ち勝つことのできない最強の存在として君臨することを意味する。


「グォォォォォォォ!!」


体制を整えたグレイドが三人を睨みつける。グレイドは自らの肉を切らせて骨を断とうとしたのだが…そう簡単に物事はうまくいかなかったようでご立腹のようだ。


「さ、お返しにこんなプレゼントはどうかしら?」


ルビーは杖から大量の光球を発生させ、負けじとグレイドも紅の砲弾を発生させる。光と魔の球は互いに相殺…はしない。光が多少劣勢である。だが、ほとんどは相殺することができた。これなら…


「そりゃ!どりゃ!よいしょ、っす!」


アルマが盾で残りの迫りくる紅の砲弾を防ぐことも可能というわけである。しかし、グレイドも負けていられない。まずは一人邪魔者を排除する。


『飛んで火に入る夏の舞』


「ぐっ…!」


グレイドは不意打ちを仕掛けようと自らに近寄ってきていたノアに対して、風の力を纏い突撃し返り討ちにする。ノアはグレイドの突撃をまともに喰らい倒れ込む。


グレイドは自分が技を見よう見真似でコピーできるということはあまり知られたくない。その情報を敵に与えてはどんな対策を仕掛けてくるかわからないからだ。

また、当たり前ではあるが技のない者の技をコピーなどできない。そして神聖な魔法、例えば回復魔法も無理であるし、武器を使ったものも基本できない…先ほどの「ハグロオー」の技は武器なしでもなんとか再現できたが。


まあそういうわけで少なくともこの闇の世界ではコピー技をほとんど使ってこなかったが…もはやそんなことは言っていられない。コピー技とコピー技を組み合わせて、何がなんでも勝利をもぎ取ってみせる。そして、そういう意味でもグレイドの目の前の三人は天敵なのだ。


アルマは無能力者、ノアは回復魔法が使えるがグレイドの体質上コピーは不可、ルビーは光と火の魔法が使えるが…これは、デフォルトで似たような技をグレイドも使えるためコピーしても意味はないのだ。


まあ…それらは一旦置いておこう。


「グォォォォォォォ!!!」


グレイドは体制を崩し隙だらけのノアに、全ての命を脅かすツメでとどめを刺そうとする。しかし…


「ルビー、今だ!やれえええええ!!!」


「!?」


思わぬノアの掛け声によりグレイドは驚き、そしてまさかと思って後ろを振り返る。だが、もう遅すぎる。


「あの騎士さんの魔法、私なりにもっと味付けしてみたの。お口に合うといいけど」


ルビーの光魔法は基本大量の光球を生成するスタイルである。しかしバーディアはそれをベースにアレンジし、光球の数は一つだけになったが…その代わり極太になり、威力を段違いに上げた。


なんとルビーはさらにそこから改良を加え、極太の光球を三つも生成することに成功したのだった。三つの極太の光球は目にも止まらぬ速さでグレイドに襲いかかり、そして爆発音が木霊する。


「追撃っすよー!」


そしてアルマが球の姿となり、どんどん加速しながら転がっていく。そして反応が遅れたグレイドに対して最大級の威力を誇る突進が直撃した。



—————これで倒せたとでも思ったか。


『メガバイト』の完全再現はまず不可能…もしかしたらもっと訓練すればできるようになるかもしれないが、まあとりあえず現時点では不可能である。だが、そんな純度50%の紛い物のメガバイトでも十分な威力を誇る。

グレイドはすぐさま反撃として電流…そしてさらに炎と風を加えて結晶化させた刃を四本作り出し、その一つ一つを念動力で操り、『キロバイト』を放つ。


ただ、今回はルビーに指摘されずともグレイドの異様な雰囲気を察知し、アルマとノアは退いていた。そしてその判断は正解である。

キロバイトが放たれた地点は爆発し、その余波はノアとアルマをも吹っ飛ばす。


確かに『キロバイト』はメガバイトと比べたら練度はあまりにもお粗末であるが…一つお忘れではなかろうか。


『飛んで火に入る夏の舞』


グレイドの強みは、強者と強者の技を掛け合わせることが出来るという点であることを。


「ぬぅぅぅぅ!?」

「なっ!?」


グレイドは四つの結晶化された刃を操りメガロとハグロオーの技を掛け合わせてアルマとノアを切り刻む。幸いアルマがなんとか防御に成功したので致命傷にはならなかったが、それでも手酷いダメージを負ってしまった。アルマとノアは一度ルビーのいる後方へと下がり、体制を整える。


さて、この魔龍討伐戦もそろそろ終わりが近づいてきたようだ。

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