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テスト  作者: ワニ
エリア5『死の街』
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『女王との再会』

「まさかまたアルマと会えるなんて思わなかったわ〜もぐもぐ」


ルビーはアルマからもらったパンを頬張りながらそう話す。よっぽどお腹が空いていたのだろうか…携帯食の減りが尋常ではない。少なくともあと三日は大丈夫だったはずだが、これは一日持つか怪しくなってきた。まあ食糧問題については後で考えるとする。アルマは周りの警戒を怠ることなく、様子を見て安全だと判断。


「僕も思わなかったっすよ。エースさんだけでなく、ルビーさんもいるとは」


クリフサイド本部に無敵の騎士団長ことエースもいたが、今度はルビーも出てくるとは。自分はウサギに好かれてる体質なのかもしれない、おろちばーすでもウサギの暗殺者に命を狙われたことはあるし。


「あら、エースも見かけたのね?なら、私と一緒にここに来たはずのアリスもいたりするかしら?」


「ごめんなさい…アリスさんはまだ見てないっすね」


「————そう…」


エースのことだから大丈夫とはルビーも思っていたが…問題は、本来はこの世界に一緒に来たはずのアリスである。アリスは人間くらいなら余裕で返り討ちにできるが…相手が魑魅魍魎となると話は変わる。なのでルビーは自分の可愛い従者の安否を気にしていたのだ。しかし…


「ルビーさんはあんなところで倒れてて何やってたんすか?」


「それが…」


ルビーはこう話す。まず彼女たちの居住地である『みかづきわーるど』にて例のポータルが発生。ルビーとアリスはそれに吸い込まれ、この地獄、『死の街』へと来たわけだ。

ルビーとアリスは襲いかかってくる大量の雑兵たちは捌くことができた。しかし…


「何者かに不意打ちされて意識を失った…っすか?」


「そうよ。全く、顔も見せないなんて礼儀がなってないわね」


アリスはともかく、ルビーもかなりの強者である。元の世界ではあまりその実力を発揮することはないルビーであるが…魔法の腕は一級品で身体能力も抜群。


————そんな彼女すら足元にも及ばない絶対強者がこの街にはいるというのか。


後のことはまるで夢でも見ていたかのように朧げだという。顔すらも覚えていない集団の中に加わり、この街を守るべく辺りを闊歩していた…ということだけしか覚えていないようだ。


「…トキさんと同じく、洗脳されていたと考えるのが妥当っすね」


クリフサイド本部へと軽く襲撃をかけてきたトキとシャドウロイド、その他量産機兵たち。トキも洗脳されており、意識を失わせることによって何とか洗脳から解放することができた。


しかし…


「じゃあ何でルビーさんは洗脳解けてるんっすか」


要点はそこである。アルマはルビーを見つめながらそう疑問を口にする。クリフサイドや他の生存者たちに助けられたわけでもなさそうであるし…自力で洗脳から逃れたとしか思えない。その方法がわかれば、かなりの進歩となる。

アルマはそう考え、ルビーに質問するも…現実は残酷であった。


「それが…お腹がすいたから何かご飯がないかと思って、"集団"との進行方向から逆走しちゃったらしいのよ〜」


「?」


基本"洗脳"は本能をも従え、ガンダーラ軍のためだけに動くおもちゃの兵隊と化す…というのが共通見解だったはずだが。彼女は何を言っているのだろう。


「そしてしばらく歩いて、気づいたら意識を失っちゃってて…その拍子に洗脳も解けたみたいね」


「?」


本当にこの人は何を言っているのだろうか。いや、人ではなくてウサギであるけれども。まあ、一つ明らかになったことはこの方法はイレギュラーすぎるため基本当てにならないということか。


「ところで、まだ何か食べれるものはないかしら?」


「もうないっすよ……」


3日分は持つと思っていたはずの食糧が、全てルビーの胃袋の中に入ってしまった。しかも、恐ろしいことにまだルビーは満足していないようだ。非常にまずい、まずすぎる。


「これは…この街の攻略は、短期決戦で行かなきゃならないかもっす」


アルマはそう結論に辿り着いた。まあ…この時は知る由もなかったのだが、短期決戦でないとこのエリア5の攻略は不可能であったから、結果的にルビーのこの食欲がアルマたちを救ったのだった。

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