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テスト  作者: ワニ
エリア5『死の街』
19/42

『対等な蹂躙』

「クラゴア。別に私は増援など必要なかったのですが…」


真剣勝負に水を差され、先ほどまでとは一転不機嫌そうな声色に変わる。バーディアはいつまで経っても一人の戦士にすぎないのだ。


「バーディア殿、目的を忘れてるんじゃあないか。我々の任務はボスに仇なす愚か者たちに制裁を加えること。早く処理できたらできたでそれに越したことはねぇですぜぃ」


バーディアの不服そうな声に対しクラゴアは侵略者二人と向き合いながらそう返す。彼らの目的はあくまで侵入者の処理、戦いを楽しんでる暇などないのである。そしてクラゴアの意見がこの場では的を得ており、渋々バーディアも戦闘を再開する。


「では、お待たせいたしました。戦いを続けるとしましょう」


バーディアもまた戦闘態勢に戻り、斧を構え、個人的な会話で待たせてしまった挑戦者二人に対しそう告げる。


「さっきまでは数的有利は取れてたわけだがこれで五分五分……単体戦闘力を考えるとこちらの方が圧倒的に不利だな…」


「あのタコさんは最弱と聞いたけど…それでも敵の主力を二人同時、それもアルマが欠けてる状態となるとかなり厳しいわね」


ノアとルビーもそれぞれ剣と杖を構えるが…クラゴアの強さにもよるとはいえ、あまりにもこちらが劣勢すぎる。

バーディア&『八つ裂き』クラゴアvsノア&ルビー、開幕である。


「まずはこんなんなんてどうよぉ!?」


「…!図体の割に動きが速いな!?」


クラゴアは背中に生えている羽で機敏に飛び回り、隙を窺って八本の触手がルビーへと迫り来る。八本にも連なるその触手はゾウですら一瞬で八つ裂きにしてしまうほどの威力がある。当然、ルビーに当たりでもしたら内臓なんてぐちゃぐちゃに飛び散ってしまうだろう。あくまで当たれば、の話であるが。


「タコ焼きにしたら美味しそうねぇ」


「あっちゃあああああああああああ!??」


触手がルビーの体を貫こうとしたが、ルビーが纏っている不可視の炎によりそれは防がれる。否、防がれるだけではない。その炎は、クラゴアの触手をも焼く。


「お、俺の足から美味しそうな匂いがしてきたぜぇ…!」


「言い忘れていました。クラゴア、ウサギのお嬢さんは炎魔法と光魔法を扱うことができて、その練度は私よりも上なので気をつけてください」


「それを早く言ってくれですよぉ!でもまさか、バーディア殿より魔法の練度が上の人間がいるとは」


クラゴアは涙目になりながら燃えた自分の触手を見て、そして自分に対して注意をしてきたバーディアに対しそう返事をする。

しかし…あのウサギがバーディアよりも魔法の練度が高いということにクラゴアは驚愕する。流石に光と炎以外はバーディアの方が強いのだろうが…その二つだけでもバーディアに勝っている人物をクラゴアは今まで見たことがなかったのだった。


「ニンゲンなんかと一緒にしないでくださる?不愉快よ」


「…こっちにも刺さってきたな」


人間扱いされ腹が立ったルビーと、そのバカにされてる方の人間ノアは言葉でこそ余裕を感じさせるが…内心、彼らはかなり焦っているのである。


「バーディアですら二人がかりでなんとかって感じだったのに、そこにクラゴアも加わるとなると厳しすぎる…!」


ノアは剣で迫り来る触手の攻撃を捌くが…そのうちの一つが頬に掠ってしまった。しかし問題ない、ノアは回復魔法を扱うことができるのでこれくらいの傷なら無問題だ。ただ、それはクラゴア一匹だけに限る。


「隙を晒しましたね」


「く…!」


バーディアが一気にノアに対し距離を詰め、斧を振り下ろす。流石のノアもこれには対応できない。その斧によりノアは一刀両断されその命を…


「ニンゲン、私が時間を稼ぐから今のうちに体勢を立て直して!」


「すまない、ルビー!」


バーディアの攻撃に対応できなかったノアを庇うように、ルビーは光の薙刀で斧による攻撃を受け止める。ルビーはこう見えて人間の腕なんかは軽々しく折れるほどの腕力がある。だが、一つ誤算があるとするならば。


「っ…腕が…!」


目の前の騎士は隻腕でも自分より遥か上の力を有していたことだ。2秒抑えるので限界だと判断したルビーはすぐに離脱し、後方へと退避する。そして、振り下ろされた斧により地面はひび割れ軽い衝撃波が発生する。あのままやっていたら、今頃おそらくは…


「なーんて感傷に浸ってる暇もないぜぇぇー??」


「もう!このせっかち!」


クラゴアの触手がルビーへと襲いかかり、防御のための炎魔法を行使する時間はないと判断したルビーは回避へと専念する。触手が地面を貫き、大地が揺れていく。


「あなたの剣の才能は非常に高い。ここで消してしまうには非常にもったいないほどに」


「お褒めの言葉ありがとうよ…!」


どこかバーディアに脆い部位がないかとノアは思考を凝らしながら剣を振るうが、残念ながらこのバーディアにそんなものは存在しない。魔龍の右腕に、決して弱点は存在しないのである。


「ほらほらどうしたぁ?全然あたらねぇなぁ!」


「ちょこまかと…!」


ルビーは大量の光球を生み出しそれを飛翔しているクラゴアに当てて墜落させようとするが…ものの見事に全て当たらない。

ハクジャは再生、ガルゼドールは無効、バーディアは防御。それらに対し、クラゴアが得意とするものは『回避』であるのだ。


「おうおう、直接触手をぶつけにいったら焼かれちまうだろ!?ならこんなんなんてどうよぉ!」


「あら、せっかちな上に乱暴だなんてっ…!」

クラゴアは触手で瓦礫を持ち上げそれをルビーに対し投石する。瓦礫となると話は別だ、炎魔法を使ったとしても防御することは不可能。

故に、ルビーは逃げに徹させるを得なくなる。


バーディアとクラゴアの連携力は非常に高く、この2体を同時に相手取って勝つのは無理に等しい。


「だから、あとは任せろっす!」


「アルマ、やっと帰ってきたか!」


ここにアルマジロのパラディン、アルマ帰還。そしてアルマは、大きな声でこう宣言する。


「バーディア!!僕と、タイマンするっす!!」

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