『もういちどごはんを食べてリラックス!』
メガロとジンベイ。この二人はかなり強く、とくにメガロに関してはエリア5外で戦ったらまずこちらが負けるだろう。しかし問題ない、対策済みだ。
オチムシャ。こいつもメガロと同じくらいの脅威であり、エリア5外で戦ったらまず敗北するのは自分だ。しかし問題ない、対策済みだ。
暴走したアースなどもそれなりの脅威にはなるだろうか。まあ、問題ない。全て対策済みだ。
忌々しい聖龍も、全部、全部対策済みだ。
全て計算済みのはずだった。しかし…アルマ、ルビー、ノアの脅威度はそれぞれC+、B、B -。
彼らこそが自分を唯一倒すことのできる切り札だったことに、グレイドは気づけなかった。
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あれからしばらく経ち…なんとか元気を取り戻したノアを引き連れ、また勇者たちは進軍を再開する。
「どんどん進軍するっすよー!僕に続けっす!」
「全員返り討ちじゃ!!」
アルマが丸まって弾みながらモノ・セラノイドやオルタナリース、アイアンハチドリヘイの3体に強烈な体当たりをお見舞いする。ハチドリヘイは一発でダウンしたが、他2体はまだまだやれるようだ。
しかし、よろめいてしまった時点ですでに手遅れ。
「それじゃあ生き残れないよ」
「「!?」」
なんとか体勢を立て直したものの、既に迫ってきていたノアの対処まではできず、なすすべもなく斬られてしまった。まあ、量産機兵は能力こそ強くても戦略的な方でダメダメなので結果的には弱い。ところで…
「あれ、ルビーさんどうしたんっすか?」
アルマは戦闘に参加しないルビーに対して疑問に思いそう問いかけながら後ろを振り返る。ノアに対しての人間アレルギーがとうとう限界を迎えてしまったのだろうか。これからが本番だというのにそれは…
「おなかすいた…」
全然そんなことはなかった。
「というわけで第2回アルマの手料理クッキングっすよ〜」
「アルマの手料理ってかなり美味しいから好きなのよね〜お城で雇いたいレベルよ」
「見てばっかりじゃ悪いし俺も少しは手伝うとすr…」
「ニンゲンはそこに座ってて」
「はい」
ということで、このコーナーも第2回となる。意外と多才なアルマにとっては料理くらいおちゃのこさいさいだったりするのだ。また、例に漏れず今回も被害の少ない適当な民家に不法侵……お邪魔させてもらっている。
さて、まず大事なのは材料だ。ルビーが調達してきたものは…
「えーっと…パセリにバター、この魚は…ヒラメっすかね?それで醤油とミニトマト、白ワイン……あの、このキノコなんすか」
「落ちてたからもしかしたら食べれそうだと思って拾ったわ」
「とっとと捨てるっす!!!」
「なぁ、前々から思ってたがその魚とかはどこから調達してきたんだ…?」
まあ細かいことはいいだろう。とりあえずこの材料から作れるものとなると…
「ま、この材料なら無難にヒラメのソテーになるっすけど…それで大丈夫っすか?」
「私はアルマが作るならなんでもいいわよ〜」
「俺も同じく」
作るものは決まった。では、早速作っていくとしよう。アルマはいつも両手に盾を装備しているのだが、この時ばかりはその大事な盾を外し材料を仕分けていく。
「まずはこのヒラメを捌いていくっす。とりあえずこのウロコを取るっすよ」
「前も思ったけど、アルマが包丁持ってるの違和感すごいな」
「新鮮味があるわよね」
包丁でヒラメの鱗を取り除き、丁寧にヒラメを捌いていくアルマを見てノアとルビーはこの時ばかりは意見が合致する。この調子なら案外、剣を持たせてもかなり強そうなのだが。
「僕はあくまで盾専門。そういうのはプライドが許さないっす」
アルマは二人の内心を察してそう返しながら、ヒラメの頭を落とし内臓を取り除いて、腹の中にある血ワタを掃除してペットボトルの水で水洗いする。
続いて、ヒラメを5枚下ろしにしていくとしよう。
「美味しそうな匂いがしてきたわね〜」
「早くないか?」
「ちょっとまだ早いっすね」
あまりにも先走りしすぎてるウサギの女王様は置いておき、とりあえず背身と腹身の境目の側線に切れ目を入れ、さらに尾の付け根にも縦に切れ目を入れていこう。
そしてアルマはヒラメの向きを変えて、今度は側線の切れ込みから包丁を入れ、中骨の上を刃先でなでるような気持ちで少しずつ切り開いていく。これで5枚下ろしは完了。次はエンガワを切り取るとする。
「あ、エンガワ食べたい人いるっすか?」
「じゃあ私にいただけるかしら」
「了解っす」
そんな会話を繰り広げながらではあるが、とりあえずヒラメを切り身にはした。
「あら、もう完成?それじゃ、いただきま…」
「全然まだでしょ」
とりあえずルビーの制止はノアに全部任せておく、流石にそこまで対応するのはアルマにはちと荷が重い。まあ、ここまで来たらあとは簡単である。
「まずは魚の切り身の水気をキッチンペーパーで吸い取ってブラックペッパーを小さじ2分の1、両面にまぶしておくっす」
魚の水分というのは臭みの原因になる。まあそれでも食べれないことはないのだが…どうせなら食事くらいは楽しく取りたいものだ。
「えーっと…フライパンを持って…バターとニンニクを入れて、ヒラメを焼いていくっすよ!」
ここまで街は破壊されているが、それでもガスはまだ機能しているようだった。それはありがたいのだが、なぜ機能してるんだ。
ヒラメを両面とも焼き終え、あとは弱火にして白ワインと醤油を入れて5分蒸し焼きにしておけば完成である。
「さ、あとは待つだけっす」
「これは楽しみね〜この前食べたのは野菜料理だったから今回はまた別のベクトルで美味しいものが食べれそうだわ〜」
「この前の野菜スープだけでも中々美味しかったからな」
さ、そんなことを話してる間にも完成である。アルマは皿にそれぞれヒラメのソテーを盛り付け、それぞれに渡していく。
「じゃあ、いただきます〜」
「ほうこれは…バター醤油が中々ヒラメにフィットしていてかなり美味しい」
ルビーとノアはヒラメのソテーを味わいながらそう話す。ヒラメの淡白とした味わいにバター醤油が非常に合っており、なるほどこれは確かに美味い。
「満足してもらえたみたいでよかったっす。このエリア5はかなり危ないけど、今くらいはゆっくり休憩するっすよ!」
アルマも予想以上に上手く仕上がったヒラメのソテーを頬張りながらそう話す。
このエリア5は超危険区域だが、これからもこの3人で力を合わせて攻略しようではないか。




