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テスト  作者: ワニ
エリア5『死の街』
12/42

『勇者たちは諦めない』

リヴァが家の屋根から家の屋根へと飛び乗っていきながら安全な場所へと移動していくのを見て、アルマたちも行動を再開する。

ことごとく蹂躙されてしまったが、このエリアのボスが誰であるか…という情報を手に入れられた時点で収穫はゼロだったというわけではない。


そう、この『死の街』の頂点に君臨するのは魔龍グレイド。かつてディノスとメギドラが互いに協力し、町の被害を最小限に抑えて討伐することができた魔龍である。ディノスがグレイドの"カラクリ"を打ち破き、グレイド自身はメギドラと激突していたはずだ。

——まさか、生きていたとは。


「まあ確かに、あの後もいろいろゴタゴタあって生死を確認できなかったのはこちらの不手際っすけどね…!」


魔龍大罪騒動のあとも一悶着あったのである。そしてそれは、今のこの状況をも超えるほどの絶望であった。まさか、最強組が…おっと、この話は関係なかった。話を戻すとしよう。


「それで、目的地は…まあ、変わらずだね」


「これだけ赤黒いのが集中してたらすぐわかるわね。——街の中央に、あのカイブツはいるみたいだわ」


この死の街の中央、『龍の巣』に魔龍グレイドはいる。それはノアとアルマにも一目瞭然であったが…ルビーはさらに付け加えて核心に迫っていた。この赤い物体ひとつひとつに、魔力の乱れを感じる。ルビーは普段のほほんとしているが魔法の達人…………人、と言うのは少々彼女に失礼かもしれないな。


魔法の達兎は、この魔龍グレイドの"カラクリ"に薄々気づき始めていた。しかし…


「…ん〜、お掃除するのは骨が折れちゃいそうね」


赤黒い物体はこのエリア5のほとんどを覆っている。これらを排除しようとしても年単位でかかるだろうし、その間にグレイドに見つかって終わりだ。この赤黒い物体が何かしら良くない方向へと作用してるのはよくわかるが、その事実がわかったところでどうしようもないというのが厳しい現実だ。


「どうしたルビー、何か考え事か?」


「ニンゲンが私を気安く呼び捨てで呼ばないで。———ちょっとね」


人間に対しての嫌悪感も凄まじいが、それすらも薄れるほどルビーの胸の中にこれからへの不安感が溜まっていった。しかし、安心して欲しいものだ。


この高貴なるウサギの女王が魔龍グレイドにとっての最大の誤算であり、他のどの最強格すらも成し遂げられない多大な功績を残すのだから。まあ、まだ先の話なのだが。

とりあえず今は目の前のことに集中である。なんてったって…


「怪異がなんでここに…!?」


「カイイだけじゃないっす、いかにもゴーレムっぽいものまでいるっすよ!」


アルマたちの目の前に現れたのは、グレイドが異世界から無理矢理連れてきて力で従属させた雑兵たちだった。


「ゴォァァ!!」


「でもこれくらいなら対処は容易いっすね…!」


怪異の一種である目も鼻も何もない口だけの生物がアルマに襲いかかる。最後に何か食べたい、と餓死していった食欲の怪異だろうか。しかし、ハクジャやグレイドなどと違って圧倒的に攻撃は軽い。さて、お返しにこんなのはどうだろう。


「しーるどばっしゅ、っす!」


「ゴォァァ!?」


アルマの盾によるカウンターが怪異に襲いかかり、怪異は倒れ込む。しかしこれぐらいでやられるようではと起きあがろうとするものの…


「今、楽にしてやる」


「ゴォ…」


ノアがその隙を見逃さず剣で斬りかかり、怪異は真っ二つに分かれる。これで彼も食欲の苦しみから解放された…と願いたいものだ。


「貴方如きが私の道を阻むだなんて…冗談はよして頂戴?」


「…!!」


ずっしりとした古代の機械兵が、大量の光の球になすすべなく壊されていく。本来この機械兵も強いはずなのだが…まあ、いいだろう。負けたやつに用はない。


「…!」


灯台の形をしたタカンデラというモンスターが彼ら3人の目をくらまし隙を作ろうとするが…


「させないっすよーそりゃそりゃ!」


アルマが盾で壁を作りタカンデラに突進した。よろめいてしまい、逆に隙をつくられてしまったタカンデラは光の剣で切られてその生涯を終えた。

これにて、雑兵戦はなにも問題なく終えることができた。まあ、100体くらいいてもこれなら問題はないだろう。さらに勇者たちは進軍を…


「ゲギャギャ!」


「ん、あのコウモリ…みたいなのはなんっすかね」


どうやら雑兵の中に生き残りがいたようだ。あれの名前は確か…テツバット。アルマは道中で軽く耳にしたが…あれはエリア3を侵略しようとするガンダーラ軍とは別の勢力、『テツオウ』の配下だったはずだ。なぜ雑兵の中に紛れて…いや、まあいいだろう。


「襲いかかってこないけど…どうする?ニンゲン、アルマ」


「念には念を入れて処理すべきかもしれない。グレイドの遣わした偵察要員かもしれないし…でもあれが…?」


「まあちょっと可哀想ではあるっすけどね…」


ルビーやノア、アルマがテツバットをどうするかで悩んでいる。テツバットはかなり貧弱であり、そしてただ迷い込んできただけで敵意がないなら脅威にもならないしそのまま放置でもいいのだが、万が一を考えると…


「ギィ!」


そんな彼らを前にテツバットは懐からあるアイテムを取り出す。その名前は『テツマリン』。願いを現実にする奇跡のカケラ(諸説アリ)である。さて、テツバットはそれを翳し、彼の姿はみるみる虹の光に包まれていき…


「ルビー止めろ!!!!」


「言われなくてもわかってるわ!!」


「こりゃまずいっす…!」


距離的にもノアとアルマでは間に合わない。ルビーは大急ぎで光の魔法を行使し、大量の光球がテツバットへと襲いかかるが…


「オゥゴォン!!!」


時すでに遅し、である。神秘的な虹色の光が解き放たれ、ルビーが生み出した光球を全て掻き消した。さらに光の産声がルビーやノアに襲いかかるも、それはアルマが防いでみせた。さて…


「ゲギャギャァ!!」


ゴールデンテツバット、ここに降臨である。


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