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賢者様、貴方をパーティーから追放させてください!  作者: 鳥路
第3章:常夜都市「ミドガル」/蜜月にナイトメア

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27:作戦会議

念のため、ノワに結界を張って貰って私たちは互いの情報を交換する。

ノワとエミリーの動向。

これまでの勇者後援旅団の動き。

そして、この都市にいる存在の情報。

今のところ把握できていることは話せたと思う。


「新聞でも見たけれど…悪魔がこの都市に紛れ込んでいるのね」

「うん。だから私はミリアを待っていた」

「浄化魔法を使えることはエミリーから聞いているのよね?」

「そういうこと。戦力としてもだけど…私の先生になってほしくてさ」

「…先生?私が使える魔法を、貴方が使えないなんてことはないでしょう?」

「浄化魔法、実は下手くそ気味でさぁ。プロのご指導を頂きたく…」

「そ、そう!貴方にも手ほどきができることがあるのね!私が手取り足取り、できるまで」

「私、模倣が超絶得意だから。一度見せてくれるだけでいいんで」

「…貴方、性格最低のクソ野郎ってよく言われない?少なくとも私はそう思うわ。そういうこと、思っていても面と向かって言わない方がいいわよ」


確かに…彼女なら一度見たら完全に魔法を再現できるだろう。

けれど、言い方に問題があると思う…色々と。

窘めるミリアの正面で同意するように何度も頷くパシフィカと、思うところがあって頷きを返す私は…少なくともそう思う。


「私もそう思っていますよ、ミリア」

「そう聞かれることは多いけど、実際に言ってきたのは二人が初めてだよミリア、パシフィカ。君もなかなかいい性格をしているよね」


とりあえず、いつも通り失言をして話を逸らしていくノワの足へ無言の一発を食らわせ、話の軌道を元に戻して貰う。


「まあとりあえずそういうわけだから。見せてくれる言質も取ったし、後でちゃんと見せてね」

「はいはい…わかったから。本当に横暴よね、この賢者。勇者様、本当に道中大丈夫だったんですか?」

「なんだかんだで大丈夫でした。むしろ、私の方が迷惑をかけていたぐらい」

「あれは砂が悪いので、あまり気にしない方がいいですよ。アリア」

「パシフィカぁ…ん?」


パシフィカに抱きつくと、そこには覚えのない感覚があった。

改めて思いだそう。精霊は無性。性別がない。

けれど、パシフィカには、パシフィカにはスメイラワース滞在時になかったものが今、ついているのだ。


「…パシフィカ?なんで胸があるの?」

「そ、それはかくかくしかじかというわけで、性別を手に入れて…」

「そうだったの」

「・・・ミリア、私は事情知りだから理解しているけど、かくかくしかじかで理解できた?」

「ええ。パシフィカが何かと精霊の混血で、片親の性質を継げる能力を得ているのよね。で、それを使って性別を手に入れた」

「すげぇな「かくかくしかじか」」

「説明、簡潔にまとまっていたわよ?何を驚くことがあったのかしら」

「いや、そこまで話しているとは…」

「?」


ノワがなぜか驚いている。彼女も知らなかったのだろうか。


「パシフィカ。性別を手に入れてから不便なことはある?」

「なぜ、そんなことを?」

「いや、貴方の詳細な年齢ば知らないけれど、長年生きてきて、つい最近まで性別がない状態で生きてきたでしょう?今までと同じようにはいかないだろうから、なにか苦労をしていることがあれば、手伝えるかなと」

「そうですね。今のところは問題なく。ご心配ありがとうございます、アリア」

「それはよかったわ。大事な友達な貴方が苦労をしていたら大変だもの。これからも何かあったら気軽に相談してね?」

「あ、アリアぁ…!」


パシフィカが嬉しそうに私を抱きしめてくれる。

無性でも、女性でも、パシフィカは、彼女は変わらない。

いつも通り、優しくて強い精霊なのだ。


「これからもよろしくね、パシフィカ」

「ええ。よろしくお願いします!それで、これからアリアはどうするのですか?それに、私たちは何かできますか?」

「そうね…」


私が考えるより、ノワに決めて貰った方がいいだろう。

既に彼女の頭の中には予定が決まっているようだし。


「ノワ、貴方の意見を聞きたいわ」

「そうだね。私としては大変、滅茶苦茶不本意だけど、パシフィカ。君はしばらくアリアと行動を共にしてほしい」

「私が…わかりました。アリアの事はお任せを。賢者。お前はどうする気だ?」

「ミリアに魔法を習って、エミリーと合流。三人で先に混血悪魔の調査を進める。その間、アリアは水さんと舞園を探して剣を習得してほしい」

「混血の方は私とノワとエミリーの三人の浄化魔法を合わせたらどうにかなる可能性があるけれど…純血はそうもいかないものね」

「そういうこと」


ミリアとノワ、そしてエミリーの三人でリラの対処を行う。

物語とも違う組み合わせ。それはミリアとノワが作中とは異なる成長を遂げているからこそできることだ。


「純血悪魔の方は聖剣が必須だろうからね。アリアにはそれまでにきちんと鍛え上げてほしい」

「そうは言うけれど、その純血の方は待ってくれるの?」

「ベリアが頑張ってくれると思うわ。一ヶ月は稼いでくれると言ってくれたから」

「そのベリアとかいう純血悪魔が裏切らない保証はあるのですか?」

「ベリアには、うちの師匠が首輪をつけている。痛い目は嫌というほど見せられたし、彼女は妹と向かい合いたい願いがある。私たちを裏切って成せることじゃないし、裏切れば師匠の報復もついてくる」

「だから、信じろと」

「ええ。彼女はノワのお師匠さんの怒りを買って、体内に魔石を埋め込まれて逆らえないようにされているから、裏切る可能性は絶対にない」

「確かにそれなら安心ですね」


「やけにあっさり引き下がったね」

「ええ。なんせそれ、奴隷の作り方ですから。たとえ悪魔でも、その施術をされている奴隷が主人の命令に逆らえる訳がありませんからね。安心です」

「「「そうなの!?」」」


パシフィカがさらりと告げた事実に私たちも驚きを隠せない。

あの光景を見ていた身としては、そんなとんでもない出来事が目の前で起きていたなんて…衝撃以外の何物でもなかった。


「他者の体内に所有者の魔石を埋め込んで、逆らえないようにする施術は失われた時代の奴隷契約方法です。記録も抹消されていますし、三人に馴染みがないのは当然です。賢者、真似しないでくださいよ」

「しないよ…よっぽどのことがない限り」


「まあいいでしょう。ベリアとやらが裏切らない保証ができたので話を戻します。で、そのスイとオウヤとやらが、アリアの剣の師なのですか?」

「そうだね。師匠の護衛をしている存在だ。君も何か習えることがあるかもしれない」

「わかりました。こちらは任せてください。ミリアとエミリーは、任せます」

「ああ。それから、毎晩ここに集まって情報を整理したい。可能かな?」

「私とパシフィカは問題ないと思うわ。問題は貴方たちの方よ。毎晩帰って来れそう?」

「晩の間はエミリーに張らせる。だから私とミリアは帰ってくるように努力するよ」


『君の身体のこともあるからね。最悪私だけでも帰って来るさ』

『何から何までありがとう』

『なに。お礼を言われることはしていないさ』


通信魔法でノワは本音を話してくれる。

毎晩毎晩帰ってくるのは効率が悪いけれど、私のことを気遣ってのことだ。本当にありがたいと思える。


とりあえず、当分のことを決めた私たちはそれぞれ行動に移る。

私とパシフィカは街に舞園さんと水さんを探しに。

そしてノワとミリアは浄化魔法を覚えた後、エミリーと合流するために動き出した。

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