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短編とかその他

その島に住む者達は幸せになってはいけない

作者: リィズ・ブランディシュカ



 空に結界の光が輝く。


――幸せになってはいけないよ。


――幸せになってはいけないんだ。


――幸せにはなるな。


 呪文のように言葉がこだまする。


――なぜなら、はかーーぞーーだから。


 それは刷り込まれた過去の記憶だ。





 幼い事からこの島で育ってきた子供達。


 島は小さいから、数えるほどしかいない。


 みんな、名前も顔も覚えている。


 そんな私達には、ある決まりがあった。


 それは、未来への約束と枷。


「幸せには」


 私達は、ずっと言われてきている言葉がある。


「幸せには、なってはいけない」


「なっては、いけないのだ」


 と。


 そんな風に、大人達から。


 ずっとその島にいる者達から。


「なぜ?」


「どうして?」


「理由は?」


 大人達は言い続ける。


 私達は、「ずっと苦しんで生きていかなければならない」と。


「いつまでも」


「それは変わらない」


 と。


「何があっても」


「不変なのだ」


 と。


 それは子供もお年寄りも、大人も。


 男性も女性も。


 皆、同じ。


 例外はいない。


 一人残らず。


 そう。


「どうしてだろう?」


 皆一度は、そう考えた事はある。


 最初はだれしも、そう考える。


 けれど。


 いつしか諦める。


 これでいいと。


 そういうものだから、仕方がない。


 変わらない。


 と。


 私達は、ずっと幸せにならないようにその島で過ごしてきた。


 これからもきっとそうだと思う。


 だって。


 大勢の人が。


 皆が口をそろえて。


 疑う事もなくいうのだから。


――幸せになる事は罪深い事。


――幸せになる事は罪を重なる事。


 罪は重ねてはならない。


 でしょう?


 だって、


 そこは、


 だって私達は、


 そこにいる私達は、


 罪人なのだから。


 罪人の島なのだから。


「罪人の子供も罪人なのだ」


「許すな!」


「その島から出すな!」


 親が親なら子も子だと。


 血筋は遺伝し、考え方も似通ってくると。


 皆がそう言っているのだから。


 きっと。


 そう。


 おそらく。


 ぜったい。


 そうに違いない。


 きっと私達は、自分を厳しく戒めていないと、勝手に罪を犯して人を傷つけてしまう。


 そんなような罪深いような人間達だから。


 だから、そんなだから。


 ずっと幸せになってはいけない。


 他の正しい、優しい人達とは隔離された場所で生きていかなければならない。





 かつて大勢の人を殺めた血が流れている、その破壊の種族は、その島から出ていってはいけない。






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