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プロローグ
ある夏の日のことだった。
前日まで猛暑日の連続だったこの町の気温が、ありえないほどにグッと下がったかと思うと、雪が降った。
異常気象、その言葉ではとても済まされない不可解な気候に皆混乱した。
「急に日本の気温が変わってしまった」と。
……が、町の周辺地域に影響は全くない。
まるで、その町だけ周りから切り取られたように季節が冬になったのだ。
専門家が何度調べてても原因は特定できず、冬の町としてこの町は瞬く間に、有名になった。
誰かが言った。
「これ、魔女の仕業だよね?」
また違う誰かが言った。
「うん、きっとそうに違いない」
……50年経った今でも、変わらず冬の町として、一年を通して雪が降る。
そうまるで、魔女に雪の町にされてしまったかのように。