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滅ぶ世界のヒストリア  作者: なつ
第二章 蒼炎の黒き魔導師
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第一話  エーナの古き預言

「―ライセカコ、全ては虚像。その線は天より来る水の災厄」

 エーナにはるか昔より伝わる終末預言の一つ。この世界の破滅は、天からの水害によるものだと、後半は解釈できる。だが、その前半が意味するところは解釈者により分かれている。エーナ国の宮廷占い師であるマナドールも、前半の意味を考えたことはあるが、あまりにも情報が少なく、答えを出すことができない。

 が、占いが告げている。

 預言の時が着々と近づいている、と。マナドールの前の机に置かれた透明度の高い水晶。その水晶の中央に視えるドス黒いモヤ。今にもその黒さにすべてが覆い尽くされてしまいそうだというのに、かろうじて現世界は保たれている。三つの封印と四つの弱々しい光が、そのモヤの周りを飛んでいる。それぞれの国に託されたアーティファクトと、前大戦の四人の勇者。

 マナドールもずっとそう思っていた。

 カイナック歴1862年マナの月、その封印の一つが突然位置を変えた。エーナ国のアーティファクト「格守の玉」は、隠されたままだ。そうなると、サバラート国の「天保の剣」か、あるいは別の大陸にある「比護の鎖」か。いずれにせよ、預言を成就させないために急ぎ、手を打たなければならない。

 ゆえに、前大戦の四人の勇者の居場所を探ろうと、水晶に漂う四つの光をさらに占おうとしたのは、マナドールとしては自然なことだった。

 そしてゆえに、その光が四人の勇者のことではないことが分かった。はかり知れぬ衝撃の中、さらにマナドールを驚かせたのは、その光の一つがマナドールのすぐそばの人を指していたことだ。

 アセリーナ・E・ウォーマ。エーナ国王のご息女。

 第二章は、彼女の物語。兄がいるとはいえ、国の宝である彼女が宮廷を抜け出すのにはマナドールからの働きかけだけではありえないことだったが、それにはまた別の理由がある。彼女が知ってしまったある事実と、マナドールから聞かされたその事実を確かめるための重要なキーワード、「ジェル」。その話はいずれまた追々と語るとして、彼女は今エーナ国とサバラート国の緩衝にある小さな村セイラーに向かっていた。


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