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ラブラヴLOVE!  作者: 老倉撫子
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8月9日 渋谷


日は暮れ始め、ビルの影は長く、濃くなっていく。歩道には家に帰るであろう人がちらほら……。交差点を渡り終わった学生が溜め息をついた。

そんな日常の一つ、景色の一角のビルのテナントで『集会』が行われていた。


現在、彼らは聖典と呼ばれる書物を読んでいた。約120人程だろうか、部屋に集まっている。 みな黙々と……いや、はっきりと読んでいた。中には、会社終わりに来たと思われるスーツ姿の男、小学生の子供とともに来た母親、高校生もいて、みな厳かな空気を身に纏っていた。声に出された音はこの空気をより、厳かにより重くしている。


目の前には大きな文字で「ラヴァー教渋谷第三支部」と書かれている。

そう、ここはとある宗教団体の一つの支部なのだ。

宗教団体と言われると何を連想するだろう。……まぁいいが。


ラヴァー教の話をしよう。聖地「笹塚」に本部を置く宗教団体。彼らは愛というか愛の権化、神ラヴァーを信仰している。

今読んでいる聖典「逢瀬誼」。愛とは何か、愛の偉大さ、そしてラヴァーからの預言。そんなものが簡単に言えばだが書かれていた。

しかし、愛なんて人によって違うだろう、愛とは何かなんて一言では言えないだろう。そんな人もいるはずだ。

そこに「司祭」は言う、

「我々の愛の足りない部分はラヴァー様の慈愛が包んで下さいます」

と。……まぁいいが。


こんな曖昧な『愛』を信仰するラヴァー教だが、関東を中心に支部が300ヵ所、総勢3万人が教徒として活動している。

多分あまり多いなとは思いにくいのではないか?ならばこれでどうだろう。


わずか半年で3万人が信仰する宗教団体。驚いてくれたかな?

……まぁいいが。


宗教団体にしては異常なスピードだとは思わないかい?このご時世に布教してもなかなか広まらないはずなのに……。


何か細工があるか疑うが、狂信者の目以外に怪しいものはない。


「次にリボーンラブの配布を行います。ほしいかたは供物をこの瓶に入れて下さい」


中にはとってきた人もいるのだが……。


グチュリ


「丁寧に拭いてくださいね。ガーゼはここにあります」


彼らの手の中の球体は、こちらを見つめているようだった。

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