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一話目

私は、幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた男の子がいる。

彼と一緒に、季節を巡り時を重ねてきた。

しかし、ある出来事が起こってから、彼は私を避けるようになった。

私は、彼のことが好きだったので冷たくあしらわれても、付きまとっていた。

そんな私を、彼はバカにするように他の女の子と付き合うようになった。

まるで、お前は必要ないとでも言われているかのように…。


それから、私は彼に付きまとうことをしなくなり、次第に彼と距離を置くようになった。

そして、そのまま五年経つ…。


―私は今、17歳になり町の学校へ通っている。

私の家は、町の外れにある村なので学校まで通うには、森の中を通らなければならない。

村は規模が小さいので住んでいる者は、皆顔見知りである。


―「おはようー!ライラ。」

家の外から、快活な少女の声が聞こえた。

私は、玄関の扉を開ける。

「おはよう。リイサ。」

「学校へ行きましょう。」リイサは、村で唯一の同い年の女の子だ。

ウェーブのかかった淡い長い金髪に、深い碧の瞳で同じ性別の私から見ても、美人の部類に入ると思う。

こうして、毎日学校へ行く時に一緒に通う親友である。

「うん。少し待って。」私は、鞄を取りに自分の部屋に入る。

そして、ベッドの横にある父母と私の三人が、笑顔で写っている写真たてに「行ってきます」と言ってから家を出る。


―リイサと並んで話ながら、森の中を歩いている時…。

「あ、そういえばまたアーサーが問題を起こしたみたいよ。」

「…。」私は、アーサーと聞いて肩がピクッとなった。

「町で、上級生と殴り合ってしばらく謹慎処分なんだって。」

「…そう。」

「ライラ?…まだあいつのこと、気になるの?」

「まさか。もうとっくの昔よ。」

私が、幼い頃アーサーに付きまとい、慕っていたことはリイサも知っている。

「そうよね。もうあいつのことは忘れちゃいなさい。それより、ライラ!アランに告白されたのでしょう?」

「情報が早いね…。リイサ。」

「あら。当たり前よ。学校の噂や出来事は、何でも私の耳に入ってくるわ。」と得意気にウィンクをする。

「で、どうなの?」

「うん…。保留にしてもらっている。」

「ええ!もったいない。彼は、学校の中でも人気の部類に入るのに。」

「私、顔で選ぶ趣味はないよ。」

「えー。私なら、即行オーケーするわ。あの、ルックスも声も私の好みだし。耳元で囁かれたらたまらないわよねー。」

リイサは、うっとりするような顔をした。

(リイサは、現金なんだから。)

私は、呆れたようにリイサを見る。

私の視線に気づいたのか、リイサもこちらを見る。

「せっかく、人気者に告白されたのだから試しに付き合ってみたら?ライラは、結構男の子からは人気なのよ?」

そう。私自身男の子に、好意を持たれている意識はまったくないのだが、リイサに言うと嫌みを言われる。

私の容姿で最も特徴的なのは髪だ。

普段は赤茶色なのだが、夕日に当たると真っ赤に映える。

瞳は暗い緑なのだが、日に当たると澄んだ黄緑に見える。

私の村では、私のような容姿はいないので少し煙たがられている。

だが、今は亡き父が言うには、私は母にそっくりなのだという。

母は、村の出身ではなく遠い異国の出身だそうだ。

私を生んだ後に、息を引き取ってしまったため写真しか母を知らない。

父は、母を常に慈愛していた。

私が、12歳の年に亡くなるその時まで母を想っていた。

しかし、私は異質な存在だったので父が亡くなると、今まで親しくしていた人たちはどんどん離れて行った。

リイサの家族は、私の父と幼馴染みだったので唯一優しい存在だ。

今、私が村で生活できるのは彼らのおかげだ。

いつか、村を出て彼らに恩返しをしたいと思っているが、リイサに言うと引き止められるのは分かっているので、今は言わない。

私は、曖昧に笑い別の話題に話を持っていく。

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