第6話 乙女と出発
誤字脱字・文章が下手・稚拙等至らない点ばかりだとは思いますが…、どうぞ宜しく御願いします。(額を擦り付けた土下座)
うぅむ。このドレス。ワサワサフリフリしていて歩き難いな…。
見た目は、ふんだんに精緻な刺繍が施されたレースが付いた、首を殆ど覆っている襟といい、紙のように薄い水色の生地で作られたぷっくり膨らんだ提灯袖。艶々した同じ薄青色だが角度によって虹色に煌く裑に、所々アクセントとして小指大の真珠が散りばめられた、袖と同じ生地を何重にも重ねた見た目鈴蘭のような、ふんわりと広がるスカートと、高級感溢れる清楚で可憐なドレスなのだが…。
如何せん、着ているのがこの平凡地味代表の私だから…こう、あまりぱっとせず…完全にこの素敵ドレスの良さを殺してしまっている。
ふぅむ…。残念な事だ…。
それにしても、着た時から思っていたのだが…。このドレス、見た目に反して結構重い。見た目、ふわっとしていたから軽いかな、と思っていたのだが…騙された。本当に残念な事だ。
まぁ、ドレスの他にも色々身に付けてはいるのだが。
うぅむ。ドレスの相棒コルセットも、いつも以上…もう息の根止めるのが本当の目的じゃないかと疑いたくなる程きつく締められたから、もの凄く息苦しい。
今迄コルセットなんて要らない、簡素で質素な丈夫だけが取得の超絶激安ドレスとかしか着た事がないから…。ドレスがこのような苦行を強いる恐ろしい服だとは、知らなかった…。と言うか、知らなくて良かった。
多分、革製だろう光沢がある目の覚めるような濃い水色のピンヒールの靴も、ヒールが大丈夫か?と心配になるほど細くて高さもあるせいで、重心が取り辛いし。靴の造りが全体的に細いので、締め付けられるようだし、歩く度にあっちこっち擦れて肉刺が大量発生してるわで、地味に痛い。
本当に、全てが拷問のようだ…。
でもそれを顔に出す訳にもいかず…、6ヶ月間みっちり受けさせられた…地獄のお姫様教育で身に付けた、きらきらうふふお淑やか姫君の仮面が剥がれ落ちないよう、気を引き締め直す。
ふぅむ。地獄のお姫様教育を受けていた時から思っていたのだが…。貴族のお姫様とは、物凄く大変だな。
こういった格好は自分でするではなく、誰かが着ているのを叢からこっそり鑑賞するに限る。
はぁ、元の質素第一お気楽貧乏生活に戻りたい。
今直に。
心の中で苦い溜息を吐きながら、いつの間にかどんどんと近くなっていく、黒塗りの高級(多分。だって相手は王族だから、高級以外ありえないだろう)大型馬車の扉にちらりと目を遣り、また心の中で溜息を吐く。
あの中に、私の夫となる、獣帝がいるのか。
…あぁ、面倒臭い。
大体何故この(・・)私がこの大陸の覇者であり、獣人達の王、獣帝の後宮に入る?
ありえない。
確かあそこに入るには、王族か上級貴族クラスか、厳しい審査と試験に合格した才色兼備しか入れないはずだ。それも獣人の。人間が後宮に入りした何て話しなんて、殆ど聞いた事が無い。
それなのに何故、生粋の人間の…しかもほぼ没落貧乏伯爵家の娘である私が…。まぁ、父上がうちの国王の王兄だが…。でも父方の親族とは絶縁しているから、全く持って関係ないし。
あの馬鹿王は、獣帝本人が私を指定してきたと言うが…。
確実に人違いだ。そうとしか有り得ない。
人生平凡平穏一番を座右の銘に日々慎ましい暮らしを営んでいたこの私が、獣帝なんて雲の上の人と会うなんてありえないし、身分のある獣人の知り合いもいな…い。と思いたい。と言うより、アレがそうだったら、色々な意味で嫌だ…。
だから絶対に顔を合わせた瞬間、馬車から摘み出される自信がある。そして馬鹿王は怒り狂った獣帝に…。さようなら、馬鹿王。冥福を祈る。まぁ、あの馬鹿王がいなくなっても…あの国思いの、凄くしっかりした、それはもう、あの馬鹿王の実の息子とは思えないほど素晴らしい第一王子がいるから、この国の将来は安泰だろう。と言うか、今直ぐ代替わりをした方が良いだろう。
あぁ、でも人違いなら…思い出すのも嫌な私に多大なトラウマを植えてけてくれた、あの特訓が無駄になるな…。
とは言っても、無駄になってもちっとも構わないが。
…ふむぅ。考え事をしていたら、馬車まであともう少しではないか。
よし、この拷問服装ともあと少し。無理しない程度に頑張れ、私。
そう自分で自分を励ましながら、ゆっくりと、だが着実に歩を進めて行く。
と馬車まであと数歩と言う所で、音も無く馬車の扉がゆっくりと開いていく。
ふぅむ。遂に御対面か。
あともう少しで、自分の領地に帰れるな。
さよなら、贅沢ある意味不自由生活。こんにちは、質素第一お気楽貧乏生活。
「やぁ、久し振り、元気そうだね」
晴れやかな気分で馬車の扉が完全に開くのを待っていると、開きつつある扉から朗らかなうっとりするような美声が聞えてきて、思わず足を止めた。
はて。どこかで聞いた事があるな、この男の声。でも、あまり良い記憶ではなかったような。
と、馬車の扉が完全に開き、私は目を大きく見開いた。
ぬぬぬ。あの御仁は、あの時の…。
「ん、どうしたの?早くこっちにおい…」
「おぉ、君は、あの時の裸エプロンと一緒にいた水撒き露出狂ではないか」
そう言い放った瞬間、男の笑顔が固まった。
あぁ、いけない。驚き過ぎて、つい地を出してしまった。
最後まで読んで下さった、とても優しい方へ
最後までお付き合いをしてくださり、ありがとうございました。
つづき頑張りますので、宜しければ次回も読んでやってください。
どうなる、フィディア?!
次回に続く!!
なーんて書いても、主人公があれだから…。
しかし自分で言うのもあれだけど、展開早過ぎるな…。でも姫特訓の話、すんげーながくなりそうなので…。こうばっさりとカットしてしまいました。