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第4話 乙女と愉快な仲間達

誤字脱字・文章が下手・稚拙等至らない点ばかりだとは思いますが…、どうぞ宜しく御願いします。


 「はい、そこまで。いる、正気に返れ。でないと後悔するぞ?って。もう手遅れな…気がするがな…」

 突然、苦笑混じりの朗らかなうっとりするような男の美声が聞えたかと思ったら、大量の水が男の背に襲い掛かった。

 と、男の瞳からあの光がすっと消える。その刹那、男は目を固く閉ざし眉間に深い、深い皺を刻むと、まるでこの世の終わりか?と思ってしまうほど悲壮感たっぷりの重い溜息を吐いた。


 いや、そんな重い溜息吐かなくても…。


 と言うか、溜息を吐きたいのは私の方だ。当然、男の目の前にいた私にも被害があった訳で…。

 あぁ、全身ずぶ濡れだ。濡れた生地がぺたぺたと肌に纏わり付いて、物凄く気持ちが悪い。

 むむぅ。一足しかない柔らかい革のブーツもびしょぐしょだ…。あぁ、早く着替えたい。

 混乱している上に水攻め…。それにまだ良策も浮かんでないし、獣人のもう1匹増えるわ…。どうしようか…。


 深い溜息を吐きながら、何気なく男の全身に目を走らせようとして…。

 あぁ、もっと酷いのが私の目の前に…。…びしょ濡れ裸エプロン…。

 うっと息を呑んで目を伏せようとした刹那、男が口を開くのが見えた。

 「でぃーぜ…、すみまん。助かった」

 「いやいや、気にするな。助けるのは当然だろう。で、どうしてこうなった?」

 「うぐっ…!!」


 そうだよな、答えられないよな。ひ弱な…それも人間の小娘に一方的に暴力振るわれて…頭を強く打ったショックで、何故かその娘を武術の師範代だと思い込み、弟子入りしようとしていた、だなんて…。尚且つその娘に少しでも良い印象を与えようと、自ら進んで裸エプロン姿になった、なんて…。


 「あっと。ごめん。あぁ、やっぱり君にも掛かっちゃったね」

 男達の会話を聞きながら、二人の関係を考えつつうんうんと訳知り顔で頷いていると、急に声を掛けられ、その声の近さに、目を見開いてそちらに顔を向けた。


 うむ、また全裸男か。ふむ、こちらは艶やかな漆黒の髪で…裸エプロン男に負けない位に背が高くて、麗しい顔をしているな。

 と言うか、いつの間に男の隣に?そしてどうしてうちの水瓶を抱えている?って…まさか、先程の水は…。

 不吉な予感に顔を引き攣らせ、水瓶を凝視する。

 と、好奇心混じりの強い視線を感じてふと水瓶から顔を上げて…黒髪の全裸男の面白そうな光を湛えた金緑の目と目が合った。

 その瞬間、黒髪の全裸男は私に向ってにっと爽やかな笑みを浮かべると、ごとりと乱暴に水瓶をその場に下ろした。

 やはり、先程の水は…。我が家の水か…。今日の晩御飯が…。早急に水汲みに行かないと。

 ガックリと肩を落とし、黒髪の全裸男に恨みがましい眼差しを向けると、ブチリと何かが切れる音が聞こえた。

 音に驚いてそちらに顔を向けると、裸エプロン男が狼に変わっていた。


 と、裸エプロン男が着けていたエプロンが、はらりと地面に落ちる。

 「あぁ、私のエプロンが…」

 幾ら継ぎ接ぎだらけの襤褸エプロンでも、そんな仕打ちはないだろう。

 はぁ、繕わなければ。また継ぎ目が増えるな…。

 物憂げな溜息をつきながらエプロンから目を上げると、狼の隣に狼と同じくらい巨大な黒豹がいた。

 狼は感情の読めない目で私を一瞥すると、くるりと私に背を向けて、力強い足取りで森の方へと駆け出した。

 黒豹も狼を追うように、慌てたように走り出す。

 二匹の獣は、猛スピードで駆けて行き、あっという間に森に溶けて…分からなくなった。

 

 あっ、やばい。結局何も解決していない…。

 でも、まぁ、良い…のか?






 「大丈夫ですか、フィディア様?!御安心して下さい。強力な助っ人を連れて来たでありま…あれっ?あぁぁっ!びしょ濡れ!!!」

 「ロア、嘘吐き。酷い。ちび。虐め。変態裸獣人(雄)なんていないし、フィー、びしょ濡れだけど、ピンチでもない。折角、お気に入りの場所でじめじめしてたのに…。あぁ、日光、嫌い。溶ける」

 「誰が嘘吐きですか?!本当にいたんでありますよ。変態裸獣人(雄)?!大体エイゼルが掃除用具箱なんて非常識な所に膝を抱えて引き籠っているからいけないんです。そのせいで、中々貴方を見つけられず…その間にフィディア様は恐ろしい目に遭い、びしょ濡れに…!と言うこのような悲惨な事態になったでありますよ!エイゼル、フィディア様の付きの騎士、失格でありますよ!」

 突然の展開に呆然として森を凝視していたら、背後から気の抜けるような掛け合いが聞こえてきて、私はふにゃりと脱力した。


 いや、ロア、飛躍しすぎだ。エイゼルも、またじめじめしていたのか。それも暗くて狭すぎる掃除用具箱の中で…。


 苦笑を浮かべながらくるりと踵を返して、不毛な言い合いを続けている二人の方へと歩みを進める。

 「おぉ、ありがとう。ロア。エイゼルも、じめじめの邪魔をしてすまない。でも折角来て貰ったのに…一足遅かったな。あの裸エプロン男、同族だろう黒髪の全裸男が、迎えが来て、そいつと一緒に森の方へと行ってしまったよ」


 「…裸エプロン男?!確かに、危険な状況。ごめん、来るの、遅くなって。じめじめしてて、ごめんなさい」

 森の方を振り返りながらそう言うと、エイゼルが悲壮な顔でしゅんと肩を落とした。


 「あぁ、エイゼル。そんなに落ち込むな。そんな時もあるさ。早く着替えたいし、屋敷に戻ろう」

 ふんぬぅ、これは…ちょっと危険かも…。

 あぁ、折角のまるで生きたビスクドールのような繊細な美しさを誇る美貌がどんどんと荒んで…妖しくも邪悪で陰気な呪い人形のような顔に…。

 「…エイゼル、大切な、大切なフィー、守れなかった…。人間失格。人間でいる意味、皆無。だから人間辞めて…引き籠り蛞蝓になる。あぁ、でもどうしよう。エイゼル、蛞蝓にとって一番大切な、粘々出せない…。と言うか、粘々嫌い。あぁぁぁ…」


 やはり始まってしまったか。エイゼルの十八番、どんどん沈むよ、底なし暗黒鬱々思念が。ふぅむ。この状態のエイゼル、物凄く暗くて後ろ向きで鬱陶しいから、放っておこう。大丈夫、いずれは浮上するだろう。


 「うちの水瓶が、何故こんな所に?!そして、この襤褸布のようになったエプロンの残骸は?!!それにそのびしょ濡れの理由は?!フィディア様…さあ、今度こそ最初から正直に何が起こったのか全部吐き出すでありますよ。そうしなければ…ねぇ?」

 と、いつの間にか襤褸布とかしたエプロンの側に跪き、それを握り締めて、体を戦慄かせていていたロアの頓狂な声が当たりに響き渡る。


 あぁ、これはいけない。こちらを振り返ったロアの目が据わっている。普段の穏やかで優しそうな顔も魔王のような形相になっているし…。


 さてはて、どう切り抜けようか? 


最後まで読んで下さった、とても優しい方へ


最後までお付き合いをしてくださり、ありがとうございました。

つづき頑張りますので、宜しければ次回も読んでやってください。



これ、基本変な人しかでません。変な人の多過ぎて逆に常識人が変な人に見えそう…。嫌だなぁ、そんな世界…。

あぁ、でも比較的ロアはまともな部類です。(私の中では)

と言うか、じめじめって何でしょう。

私にも解らない…。


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