2 観測者と謎
さて私はドワーフの住む第2の島に着いた、着いたはずなのだ。
おかしい…地上には町の様な物どころか人種が居たような痕跡は何一つ見当たらなかった、いや何やら人工的なものは見つけたのだがすべて過去の物だった。地面に埋まった硝子の様な何か、これはほぼ確実にドワーフの人工物だろう。そして岩に囲まれている迷宮の入口と思われる場所にも鉄で作られている門の様なものがあった、枠等や部品の錆び方等からおそらく何度も劣化した部品を変えていると思われる。素人目に1番新しいと思う蝶番の様な物も100年は経っていると思われる。
あれから日が沈むまで島中を探してみたがやはりドワーフ達は見つけられなかった。だが分かった事もある。地面に埋まった硝子の様なもの、人工的に作られたものと思われる物はすべて島の中央から少しズレた迷宮周辺に集まっていた。そこで私はいくつか仮説を立てた
(1)既に集団でこの島を去っている説。私はこの可能性が最も高いと思っている、がそれにしては地上の人工物と迷宮の門の年台が合わない為可能性はかなり低いと思われる
(2)迷宮に住んでいる可能性。しかし迷宮の中には自然と魔獣が湧くため住むには向かず可能性はかなり低いと思われる
(3)数が減りそれぞれ別の島などに散っていった説。しかし隣の島のエルフ達が使っていた鉄製の道具は迷宮の入口の鉄と同じ技術が使われていると思われる、という事は交流がある筈にも関わらず1人も見かけなかった。その為1つ目よりこの可能性の方が低いと思われる
さてどうすべきか、考えるまでもない今すぐに出来る事は1つだ。迷宮の中を見てみようそう思い入口の門を通った、一瞬何か変な感覚がしたが私はあまり気にしない事にした
あれから迷宮に潜っているが迷宮は全部が全部入り組んでいるのか?まだドワーフは見つけられていない。しかし時折「カーンカーン…」と音が小さく響いて聞こえてくる迷宮の何処かに町がある、又は住んでいることは間違いあるまい。だが魔獣は居れどドワーフは見つからない。おや、ようやく何か見つけた…ふむ、どうやら迷宮の入口の門まで戻ってきたのかと思ったが似て非なるものの様だ、入口の物と比べると別物の様に頑丈そうで新しいおそらくこの先に何かあるのは間違い無いだろう。私は入口の門と同じ様に通り抜けようとした、瞬間「バチッ」と静電気の様な感覚を感じ咄嗟に手を離す。何故だ、本来私いや我々観測者に意図せず世界のものが干渉する事はまず有り得ない、あり得るとするならこちらが干渉している時又はこの世界に本来ある筈が無い物位である。それから私は周りの壁や天井、地面から抜けられないか試してみたが全て門程では無いものの同じ様な反応で無理そうだ。
(仮説だがこの迷宮の鉄はおそらく我々に干渉出来る、そしてその鉄を使っているこの門は精錬の過程でさらに効果が強まっているのではないだろうか)以降同じ様な反応の物は「亜」と名に付けこの鉄は「亜鉄」としよう
さてさてそうなると困った無理矢理門を通る事も可能だろうが私のダメージもかなり大きいのであまり行いたくはないが…この状況では他に方法も無さそうだ。そんな事を考えながら私は迷宮を出て再び地上を散策していた、正直ここの島を諦めて別の島に行くことも考えている。
(その時一瞬地面に月明かりが反射し明るく光った)
「そうだこの地面に埋まった硝子の様な物、これなら通れるかもしれない」そう思った私は地面に近寄り硝子の様な物を今一度よく見てみた。色は見る角度などによって変わるがピンクや赤色に近い色が多く見える。私は亜鉄の事もありそっと触れてみた、やはりこれは亜鉄等とはまた違うおそらく迷宮の素材から作られた物では無いのだろう。私はそのまま硝子の様な物を通ってみた…真っ直ぐと続いてる硝子を地上から20m程進んだだろうか、その瞬間視界が大きく光る。
硝子の下には大きな空間があった硝子の様な物が光源となっている様子だ、どうやら私が降りてきた場所は木を育てている空間のようで広いものの見る限り木と土しか無い、軽く周りを見てみたところどうやら通路と思われる物がある。通路と思われる方向からは迷宮で聞こえていた音が大きく聞こえている。すぐにでも見に行ってみたい所だがこの空間も気になる、軽く見回した感じ木は3種類ほどあるようでそれぞれ「燃料用」「道具用」「建築用」と書いてある看板が近くの地面に刺してある。どことなくエルフの森に近しい雰囲気を感じるがやはり地下である、風は無く聞こえてくる音も木々や鳥の音ではなく響くように聞こえてくる「カーンカーン」という音だけである。しかし不思議だ上を見ると私が通ってきた硝子のようなものがいくつも見える、おそらくすべて地上まで繋がっているのだろう。しかしこの空間は地下だと言うのに地上位、いや今地上は夜で暗い地上以上に明るいと言えるだろう。硝子のような物の効果なのだと思われるが、ドワーフは私の知らない謎の技術を持っているのかもしれない。
(私は一通り木のある空間を見てから通路へと向かった)
音のする方向に進むにつれ段々と音が大きくなっているおそらくドワーフの居る方向はあっているだろう、通路の壁は坑道によく似ていた岩肌が露呈し時折木の支えが壁や地面に設置されている補強のためだろうか、進んで行くと段々人の声の様な音も聞こえてきた。そして左へと更に伸びている通路と正面には木の扉が見えてきた…




