3.幼馴染みたちの電話相談③
ぶちっと色ボケからの通話を切った瞬間に着信が。表示されているのは幼馴染みその3の名前だった。なんだこれ。どうなってんだこれ。
ものすごく出たくなかったけど相手に非はない。今のところ。まぁ比較的常識ある方だしまともな用事であればいいなぁ、あってくださいと祈りながら携帯に耳を当てた。
「あーハイもしもしなんのご用件でしょうかー?」
『……なんか、投げやり?』
「うん。あんたに非はないんだけど、精神的に疲れてんの今」
『何か、あった?』
「ちょっとねー。ていうかなんかやな予感がするんだけどあんたも恋愛相談とか言わないよね言わないでくれ」
『……どうして、わかった?』
恋愛相談じゃないことを心から祈っていたというのに現実は無情だった。つらい。
「……マジでか。なんなのもう呪われてんじゃね、っつか嫌がらせかと思うわ」
『嫌がらせでは、ない』
「いや、あんたがそういうことしないのはわかってる、わかってるけど……。というかもしかして、いやまさか、」
さらにいやな予感というか、予測というかが思い浮かんだ。いやまさかね、と思うものの、一度思いついたらそうでしかないような気がしてきた。幼馴染みズの環境的に全然ありうるし……。
『……?』
「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど……もしかしてその好きな人って、他の奴らと一緒だったりしない?」
『どうして、わかった?』
さっきと同じ言葉を返されて、遠い目になる。いやな予感、当たっちゃったか……。
「なんかそんな気がした。あんたら同じ学校に通ってるからあり得るなって。……なんつーかその子に同情するよホント。あんたら濃いィし」
あと、ちょっと常識がないし、思考がちょっとアレなときあるし、馬鹿だし、馬鹿だし。
「それで、あんたは何を聞きたいわけ。っつか、あんたもあいつらも人選間違ってると思うんだけど」
『間違って、ない。……あの子見てると、ドキドキして、胸が痛くなる。でも、ずっと見てたい。どうしたら、いい?』
……うーわぁ。これまた典型的な。
「……聞いてるこっちが恥ずかしいんだけど。まあ他の奴らの話に付き合った後だと癒しだな」
『……癒し……?』
「どうしたらいいも何も、好きならそれはどうしようもないんじゃない。休み休み見つめれば? でもあんたら全員そんな感じに見つめてたら、相手は頭が痛いだろうよ」
『どういう、意味』
電話向こうで小首傾げてるのが見えるようだ。なんでかそういう仕草がおかしく見えないんだよなこいつ。立派な男なんだけど。
「相手の立場に立って考えてみな――ってああ、あんたらの基準じゃどうも思わないか。……ま、フツーの人はそんな複数人からあからさまなアプローチされたら困ったりすんだよ。その子が実際どう考えてるんだか知らないけど、一般論として」
『……そう』
「とりあえず、あんまり相手にストレス与えないようにね。別に止めたりはしないから。応援もしないけど」
そう言うと、なんだかちょっとむっとした雰囲気が伝わってきた。どうでもよさそうだからだろうか。実際どうでもいいんだが。
『応援、してほしい……』
あ、そっち?
「いや無理。立場的に。贔屓するとうるさいんだもんあんたら」
『…………』
無言ながら納得したらしかったので、「ま、ほどほどにねー」と言って、電話を切った。
うん、内容はともかく前二人に比べて穏やかなやりとりで終われた。でもそれに癒された気持ちになるのはどう考えても基準が間違ってるな、うん。




