1.幼馴染みたちの電話相談①
私には四人の幼馴染みがいる。なんと表現するべきか、とりあえず各種取り揃えました的バラエティに富んだ顔と中身の四人の幼馴染みが。
ちなみに、『幼少期から付き合いが続いている』という意味で幼馴染みと呼んでいる。そして奴らは少々……いや結構、だいぶ、馬鹿なのかもしれないと思うときがある。
……まさに今とか。
「は? 好きな人ができた? そりゃよかったね、で、それが?」
幼馴染みズの中でも特等の馬鹿が電話してきた思ったら、「好きな人ができた!」との報告だった。なんでそれを電話してくるんだおまえは。
『「それが?」って……! なんでそんな冷めた言い方するの⁉』
「いや、よかったねって言ってやったじゃん。それ以外に何を求めてるわけ」
『そ、それはその……相談、したくて……』
常の元気がよすぎてうるさい域に達している様からは想像もできない声に、まず感じたのは「気持ち悪っ」だった。日頃の行いというやつだ。
「恋愛相談ってこと? もっと適任探しなよ。ていうか付き合ってらんない」
『そ、そんなぁ……っ! そう言わずに! お願い!』
「いや」
『……っ……うぅっ……。どうしてもっ、だめ……?』
あ、こいつ本気で泣いてる。マジか。打たれ弱すぎないか。
「泣くな。仮にも武道の名家の跡取りがそんな簡単に泣いていいわけ?」
こいつの家は由緒ある武道の名家だ。そういうところ厳しいんじゃないかと思っての言葉だったんだが。
『今は道場にいるわけでも、誰かと戦ってるわけでもないもん……』
「もんとか言うな気持ち悪い」
しまった本音が口からまろび出た。
『き、気持ち悪いって……!』
また泣き出しそうな気配を感じたので、仕方なく話を変える。いや戻す。
「それで、恋愛相談ってどんなこと相談するつもりだったわけ」
『相談、乗ってくれるの?』
「とりあえず聞くだけ聞いてやる」
「やった!」
泣いたカラスがもう笑った、の変わり身の早さで、電話向こうの声が弾む。こんな単純で大丈夫か。……馬鹿だけど突き抜けた馬鹿で野生の勘は鋭いから大丈夫なのか。
『えっとね、その、好きな子なんだけど……最近、目が……』
「目が?」
『目が合ったらすぐにパッて逸らされるんだけど……これって、オレを意識してくれてるってことかな⁉」
「……。…………」
……情報が足りなくて判断しきれないところはあるとはいえ、それは。
「それ、熱視線送りすぎて引かれてんじゃね」
『えっ』
「あんたのことだから絶対好意がダダ漏れてて、目が合ったなら犬のごとく喜ぶだろうことも目に見えてるわけだが、それで逸らされるのは……五分五分、いや六:四くらいで関わりたくないって意味合いだと思うけど」
『そっ……そんな……』
電話の向こうから、ぐすっ、ぐすっ……と鼻を啜る音が聞こえてきた。……こいつ、ガチ泣きしてる。
「いや知らんけど。その子のことも、あんたがその子とどう接してきたかもわかんないんだから推測だって」
『うっ……うう……っ……ぐすっ……』
「だから泣くな! いい歳した男が好きな子に嫌われてるかもってだけでめそめそ泣くな! うざい! っつーかもう電話切っていいかなぁ⁉」
そう怒鳴ったものの、一応泣き止むまで相手してやった私はえらいと思う、うん。
新連載(過去作リライト)です。
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