表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/303

第95話 待機

 「あの人ミオンの姉ちゃんだったんだ。マジで知らんかった。なんでお前ら驚いてねぇの?」


サンが驚きを交えて3人を交互に見た。


「だいたい察しがついてた」


ランスがそう言うと、今度はミオンが「そうなの?」と言って驚いた。


「学校では先生だから、お姉ちゃんだって意識にないように気をつけていたの。

甘えちゃうから。でもダメだな、気をつけないとお姉ちゃんって呼んじゃう」


そういうと赤らむ顔を隠すように両手で頬を押さえた。


ヨルクがアンナに引きずられて行った後、4人には少し待つ時間が生まれた。


「それにしても、私、びっくりしちゃった。

ランス君、先生にいきなり『殺されるほど恨まれたことありますか』って聞くんだもん。

でもそれは、具合が悪い理由に気づいてたからなんだね。」


ミオンは思い出したように言うと、ランスを見上げた。


「さすがにもっと言い方があった」


ランスがそう言って、バツが悪そうに視線を逸らすと、


「そんなことないよ。お姉ちゃんも、大事なことには怖い言葉使うよ」


と笑った。


「……ミオンは先生に、何か聞いたのか?」


ランスはふと思いついて尋ねた。

授業の中では、ミオンは何も聞いていなかった。


「授業終わった後、難しい言葉があったから質問したよ。ランス君たちのところに先生がいたとき。

あっあと休み時間に好きな色聞いたよ」


「そうなんだな。何色好きって言ってたんだ?」


えぇっと、とミオンは少し考え込んで言った。


「緑って言ってた」


ちょうどその時、ヨルクとアンナが戻ってきた。

治りましたか、とジオが聞くと、


「はい、治せるものは治せました」


とアンナが答え、綺麗になったヨルクの背中をバシッと叩いた。

ヨルクはよろけながら礼を言った。


アンナはその後、会議があるのでと立ち去った。

その背中を見送ると、ヨルクは独り言のように呟いた。


「なんか、すげぇ久しぶりにめっちゃ怒られた」


サンはそれを聞くと


「そらそうでしょ」


と答えた。



 ヨルクが戻ってきたので、ランスたちは改めて第4図書室に向かった。


「てか、マジで今更なんすけど、この学校第4図書室まであるんすね。初めて知りました」


サンがそういうと、ヨルクは笑いながら答えた。


「実際、利用者はほぼいないな。

第1と第2はちゃんとした図書館って感じで、一般書とか小説とか読みやすい本も多いし、

第3図書室はちょっと専門的な本が多いけど、部屋が校舎の良い場所にあって、読書だけじゃなく勉強しに行く学生も多い……。


最初に言ったかもしれないけど、第4図書室は古書を中心に扱っていて、読みやすいものはほぼ無い。

文体が古いし、状態も良くないものが多いし、当時の価値観がわからないと理解できない。

あと場所的にもちょっと行きづらい。


だから生徒も教員も全然来なくて、存在すらあまり知られていない。

どちらかというと資料の保管がメインみたいになっている」


へぇ、とミオンが興味深そうに反応した。


「私も、あまり古書って読んだことないかもしれないです……。

どれくらい古いと古書って呼ばれるんですか?」


「はっきりと定義されてるわけじゃないけど、シエル大帝国で作られたものか、それ以前のものかな。

第4図書室にあるのもそのあたりの資料だ」


「シエル大帝国の本って、面白いんですか?」


サンは純粋に気になって尋ねた。


「……どうだろうな。やっぱり思想的に違いすぎて、とっつきづらさはあるかもな。

ただ、まあ、俺は面白いと思うよ。


授業でも触れた通り、シエル大帝国の『帝国民』は自由に過ごせる時間がかなりあった。むしろそれしかなかった。

そうなると一部の人間は、文学なり数学なり思想哲学なり、学問の道に進む。そこでまた時間が有り余った人が集まって、議論が交わされ洗練されてく。

正直いえば、シエル大帝国の学問は、今の時代よりずっと進んでいた。革命の時にほとんど失われたけどな。


だから今後も昔の資料が見つかったり、あまり読まれてなかった本の読解が進んだりしたら、新事実がわんさか見つかると思うよ」


色々と会話を弾ませながら一同は歩き続け、やっと第4図書室についた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ