表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/303

第82話 質問

「せっかくだしこの最初の授業、みんなからの質問を何でも受け入れる時間にしよう。

何でも聞いていいし、どんな質問だって全部正直に答える。聞きたいことがあるやつから、挙手してくれ」


唐突に現れた担任と、情報がほとんどないまま質問する時間を与えられ、クラス全員困惑していた。

ヨルクの言葉を聞いた後も、すぐ手を上げる者はいなかった。教室には声を潜めて会話する声がかすかに聞こえた。

静かな教室の中で、一つ手が上がった。


「お、まずはサンだな」


当然のように名指しして、ヨルクは質問を促した。


「……魔力いくつっすか?」


さすがのサンも、おそるおそるといった様子だ。最初の質問として、かなり無難なのもが選ばれた。


「昨日測ったら、6666」


「え、マジすか! すげぇ」


「な、めっちゃキリいいだろ」


魔力の高さとは別の部分を、なぜだか自慢げにアピールした。

そのどこか子どもっぽい物言いに、思わず笑みをこぼす生徒が何人かいた。

サンの質問を端緒として、ポツポツと手が上がり始めた。


「年齢いくつですか?」

「今年で28。この学校の中ではまだまだ若手だから、お手柔らかにな」


「好きな食べ物何ですか?」

「校内のパン屋のホットドッグ。あれはマジでうまい」


「嫌いな色は?」

「特にないけど……部屋の壁紙だったら一番嫌だなってのはオレンジ」


「最近悩みとかありますか?」

「冗談抜きで、(とし)。いやまじで、最近ほんとに体にガタがきてる。アラサーの体調不良舐めてた。常にうっすら具合が悪い」


「彼女いますか?」

「いねぇわ」


「彼氏は?」

「それもいねぇわ。独り身だよ」


その後もいくつか質問が続き、新担任の人柄が補強されていった。ほとんどの生徒にとって、最初に抱いた印象と大きくかけ離れなかった。

会話の中でその担任は、クラス全員の名前も魔法も頭に入っていることが伺えた。少しずつ場が馴染んでいき、信頼関係のようなものが構築され始めた時だった。


「お、じゃあ次、ジオ行こうか」


「……右腕、どうしたんですか?」


誰も聞かなかったが、おそらく誰かが聞かなくてはいけない質問だった。

ジオはそういうとき、空気を読んで先陣を切ることがあった。


クラスの誰もが息を呑み、ヨルクの言葉を待った。ヨルクは少し間を置いて口を開いた。


「……よく聞いてくれたな。みんな気になってたと思う、良い質問だ。 10点加算」


「え、何の点数ですか」


「俺の気分でたまるポイント。100点貯まったら、なんか昼飯とかるよ」


「え! いいな、俺には? 最初に聞いたよ」


サン思わず間に入った。あまりの親しみやすさに感化され、敬語で話すのも忘れていた。


「あはは、そうだな。サンにも加算するか、8点くらい」


「めっちゃ刻むじゃん」


サンの反応を無邪気に面白がった後、ヨルクは続けた。


「ただまぁ、申し訳ないんだけどあまりストーリーとかないんだよな。生まれつきなんだ。この腕」


そう言いながら、本来右腕が収まるはずのシャツの袖を取ってひらひらと靡かせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ