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第47話 対峙

ノアが国立魔法学校の最寄りに着いたときには、まだ雨は降っていなかった。


車掌に魔法学校までの大体の方角を聞き、そちらに向かって歩き出した。しかしこの辺りの市街地は妙に入り組んでいた。

道は緩やかに湾曲し、曲がり角は少し斜めに交錯し、増改築を繰り返した道路は微妙にずれて平行し、ところどころに行き止まりがあった。


その結果、ノアは数分も経たず自分の今いる場所がわからなくなった。

次第にポツポツと雨が降り始め、いつの間にか本降りになった。傘がなく、濡れることに対する拒否感もまだなかったノアは、濡れるのも(いと)わず歩き続けようとした。


「君、大丈夫かい? ちょっとこっちおいで」


ノアが声のする方を見ると、男の人が手招きをしていた。

丸いメガネに整えた髪で身綺麗な格好をしているその人を見て、ノアは学習用に読んだ小説に出てくる学校の先生の風貌と重ねた。


「傘もささずにこんな日を歩いちゃ、風邪をひいてしまうよ。

それに君が今進んだところは、路地裏に繋がっていて、怪しい人とか多いから近づかないほうがいいよ。それともどこかに用事があるのかい?」


ノアが国立魔法学校に向かっていると伝えると、


「じゃあ、そっちは反対方向だな」


と男の人は答え、正しい道順を教えてくれた。

その上傘を渡し、「そこの本屋で働いているから、気が向いたら返して」と言ってノアを送り出してくれた。


ノアはお礼を言って傘を借り、また歩き出した。5分後、また迷った。


曲がるべきじゃない角でことごとく曲がり、どんどんと路地裏の中に進んでいってしまった。


自分が迷っていることはノアにも十分わかっていた。

どうしたら良いのかわからなくなり、また脳の処理が追いつかなくなりそうだった。


ふと、雨の隙間を縫って、ノア1人がぎりぎり通れるくらいの路地のさらに奥の方から、人の声が聞こえたような気がした。

ノアはそちらに進んだ。


細い道の所々にはゴミが溜まり、瓦礫が散乱し、ずいぶん手入れされていないことが伺えた。

傘が引っかからないように気をつけながら、やっと少し広めの路地の明るみに到達した。


ノアがそこで見たものは、大きなマントで身を隠し、フードに顔を埋め表情を隠した人間と、その人物に対面し、焼けただれた右手を押さえる国立魔法学校の女子学生だった。

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