第130話 階級資格
ランスたちがやりとりをしている間、グレンはオルガから軍の動向を聞き込んでいた。
オルガが巡回に戻った時、サンが思い出したように言った。
「そういえば、『グレン中尉』って呼ばれてましたよね。先輩の階級中尉なんですか?」
グレンが頷くと、サンは「おお」と声に出した後、静かにランスを向き直り
「……どれくらいすごいん?」
と聞いた。案の定、あまりピンときていないようだった。
「……さっきジオが言っていた、『元帥』と『准将』は実質、王族のために用意された階級だ。
それを抜きにすると、将官、佐官、尉官、下士官、兵士っていう5つのクラスがあって、それぞれが3つのレベルに分かれている。つまり全部で15の階級がある。
『中尉』は尉官の真ん中、要するに上から8番目だ。
さっきいた『軍曹』は下士官の真ん中で、上から11番目だな」
「へえ! すげぇ、じゃあ、先輩めっちゃ高くないすか?」
ランスの説明でサンはやっと階級の高さを理解した。
しかしすぐまた考え込んで、
「でも、え? じゃあ……あれ……?」
と言葉を漏らした。
ランスが先ほど感じた違和感を、サンも追走している様子だった。
ランスはグレンの方を向き、聞いた。
「さっきの人より、グレンさんの方が階級が上なんですよね」
ランスが質問をした直後、グレンが一瞬顔を顰めたように見えた。が、気のせいだったのか、すぐに何事もなかったかのように回答した。
「そうだな。けど、軍人としての経歴はあの人の方がずっと長いし、功績も多い」
「……じゃあ、どうしてグレンさんの方が階級が高いんですか?」
今度は横からジオが質問を挟んだ。グレンは特に不自然なところなく答えた。
「健康上の問題とかが無ければ、誰でも軍人になれる。
兵士の1番下からスタートして、実績に応じて階級が上がり、最終的に下士官の1番上、『曹長』にまで上り詰める。
だが、それより上の階級になるには魔力が高くないといけない。
具体的には、『少尉』になるには3000以上必要で、『中尉』になるには4000以上必要になる。
逆に言うと、魔力が高ければ特に実績がなくても、『少尉』あるいは『中尉』になる。それ以上の階級になるには、魔力以外の実力も認められないといけないがな」
つまりグレンは、魔力の高さで自動的に中尉になったのだ。
魔法が中心のこの世界らしい制度だな、とランスは思った。




