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第124話 問題解消

「外出を禁止される理由も無いのなら、開けてください」


守衛とサンが、同じタイミングでえっと驚いた。


「ランスまじで出んのか? 学長がダメだって言ってるみたいだぞ」


「それが何故かもわからないだろ。理由も伝えず制限かけられる(いわ)れはない」


「でも学長がああ言ったってことは、何か危険なことでも起こってんじゃねぇの?」


「そうかもしれない。サンたちは出ない方が良い」


ランスはそう言うと、守衛に門を開けるよう目で促した。

守衛は大分困惑し、「いや、しかし……」と口ごもっていたが、ユートリアの本意が不明な状況なので、どれほど強制したら良いのかもよくわかっていない様子だった。


「いや、でも、やはり外出させるわけには……」


やはり守衛にとっては1生徒の主張よりも、学長の命令を守る方が重要だった。

返事を曖昧にしながらも、一向に門を開けようとしない守衛に対して、ランスは何と言えば言いくるめられるか真剣に考え始めた時だった。


「ランス君、外に用事があるの?」


ランスが声のした方を振り返ると、ユートリアが小走りに近寄って来るのが見えた。

あまりにもタイミングが良すぎるので、思わず目を留めた。さっきから会話に入ってこなかったジオが、何かをサッとしまったように見えた。


ユートリアはランスに十分近づくと、乱れた前髪も整えずに言った。


「ごめんね、少し気になることがあって、許可証を持っている人以外は、門を通さないよう頼んだんだ。今日はできたら学校の敷地内にいて欲しいな」


「何でだよ」


「ええっと……」


ランスが理由を尋ねると、なぜかユートリアは言い淀んだ。


「まぁ、うん…………嫌な予感がするってだけなんだけど。

……ちょっと気になる連絡があって、それに対して対策が必要かどうかも今ちょっとわからなくて、わからないうちは、大事をとって、予防策をとっておきたいんだ」


何だか肝心な部分がふわふわしていて、結局何もわからなかった。

大方信頼のおける筋から中途半端な連絡が来て、ユートリア自身も思うように身動きが取れていないみたいだった。

本人も少しやりすぎな自覚はあるらしく、それでも学長という立場だからこそなるべく生徒の安全を確信していたい事情があり、その結果強制しきれない要請を発令する羽目になっている。


色々と苦悩な推察されるが、やはりランスは従う気にならなかった。


「決定的に危険な根拠はないんだろ。移動を制限される義理はない」


「まぁ、うん、そうだよね。君ならそう言うと思ったよ。どうしようか……」


そう言って、ユートリアが少し考え込んだ時、不意に横から別の人間が近づいて来た。


「……ユリア様、取り込み中ですか」


ユートリアと一緒にランスが声の方を向くと、そこに現れたのは、3年首席のグレンだった。


「あれ、グレン君。どうしたの?」


ユートリアが尋ねると、グレンは答えた。


「なるべく学校内から出ないようにと周知があったのですが、非常事態ですか? 長引くようなら、週明けの生徒会役員会議は延期しますが」


どうやら正門を閉めるアナウンスは今しがた行われたみたいだ。ランスたちはすれ違うようなタイミングで門に近づいていたらしい。


「あぁ、そっか。でもごめん、もう少ししたら結論出すから、ちょっと待って」


「わかりました」


それだけ確認すると、グレンは軽く会釈をし、また校舎の方へ歩き出そうとした。


「あ、そうだ。グレン君許可証持ってるよね? ちょうどいいや。

ランス君が外に出たいんだって。護衛としてついて行ってあげてくれない? 3年首席がついてくれたら安心だ」


ランスは思わず「は?」と言葉を漏らした。突拍子もないユートリアの提案に、思い切り面食らった。

護衛なんて必要ないし、ついてこられても困惑するだけだし、そもそも、1年の外出に護衛としてついて行くなんてグレンの方が御免(こうむ)るだろう。


そんなようなことを言おうとして、ランスが言葉を発する前に、グレンの方が先に口を開いた。


「ユリア様のご命令とあらば、承知しました」

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