第123話 不穏
次の日、その日は土曜日だったので講義は無かった。
ランスは校内で調達しきれなかった素材を市街地で買い集めようと考えて、ノアを連れて正門に向かっていた。
「あれ? ランスとノアじゃん、どっか行くん?」
声をかけられて振り返ると、サンとジオが立っていた。
サンが暇を持て余して学校の敷地内を彷徨いていたところ、ジオに出会したらしい。
ランスが市街地に行くと伝えると、
「へー、そういえば俺、あんまり学校の外いったことねぇわ。ついてって良い?」
と尋ねられた。
「一緒に来ても、別に面白くないと思うぞ」
とランスは答えたが、サンはそれで良いと言ってから、ジオも行こうぜと勝手に誘った。
まぁ別に、つまらなければ別れれば良いので、ランスは特に気にせずまた歩き出した。
ランスたちが正門に到着すると、なぜか、今まさに鉄の柵が閉じられようとしていた。
普段は休みの日であっても、誰でも通れるように解放されている。一応守衛が出入りする人を確認しているが、学生の場合ほとんど通り過ぎるように行き来することができた。
「あれ? すみません、出て良いすか?」
何やら様子のおかしい正門の守衛に、サンが話しかけた。
「許可証はありますか?」
「許可証?」
なんすかそれ、とサンが続ける。そんなもの、本来必要ないはずだった。
まるでいつかの脅迫状事件の時のように閉鎖された門を見て、ランスは嫌な予感がした。
「許可証なんてないですけど、出てはいけないんですか?」
ランスが横からそう聞くと、守衛は少し困った顔をして言った。
「実は、ユートリア学長からついさっき、『少し確認したいことがあるから、今から数時間くらい、なるべく学生を外に出さないで欲しい』とご依頼があったんです。だから学校閉鎖の手順に従い、許可証のない人を通さないようにしています」
またかよ、とランスは心の中でつぶやいた。
しかし今回は以前の場合と違い、その理由が全く分からなかった。おそらくユートリアの一存で決められたことで、守衛にも意図があまり伝わっていないみたいだった。
「あらら、タイミング悪かったな。仕方ない、帰るか」
サンもジオも特に切迫した用事があるわけでもないので、諦めて帰ろうとした。他の学生もほとんどがそうしただろうと思われた。
しかしランスは、理由もわからないまま行動を制限されるつもりはなく、守衛に向かって言った。
「外出を禁止される理由も無いのなら、開けてください」
守衛とサンが、同じタイミングでえっと驚いた。




