第118話 絡み
魔法学校に入学してから早1ヶ月が経っていた。
新入生たちも少しずつ学校生活に慣れ、放課後は友人と集ったり学校外に遊びに行ったりして各々の過ごし方をしていた。
ランスはその日、講義が終わったので、学校の購買に足を運んでいた。
学校の敷地内で暮らしている生徒たちのために、軽食や日用品を取り扱う店で、ここに来れば学校の外に出なくとも生活できるほどの品揃えはあった。
ランスはこの店で日用品を買うだけではなく、実験や道具の生産に必要な素材売り場としても活用しており、購入品をノアに分離・精錬・加工してもらって、別の用途で使っていた。
しかし当然欲しい素材が何でも手に入るわけではなく、希少金属などは別途調達する必要があった。
そういう時は学校の敷地の外に行って、鉱物商から仕入れたり、定期市で目当ての素材が使われた物品を探したりする必要がある。
この日の購買でもいくつかものを購入したが、目当ての素材は調達しきれなかった。近いうちに学校外に買いに行こう、と考えながら帰路についていると、突然後ろから呼びかけられた。
「ランスか? ここで会うの、珍しいな」
振り返って見るとジオがいた。
軽く返事をして、何をしているのか聞いてみると、
「ユリア様から少し、帝都からの使者の対応と、校舎西館で行われている集会への出席と、守衛室への伝言を頼まれて、その帰りだ」
と語った。
よくよく話を聞いてみると、ランスにスマホを渡された後、毎日のようにユートリアから連絡が来て、色々と頼まれ事をしているらしい。
ユートリアからの連絡が想像より少なくて安心していたのだが、こちらに集中していたとは思っていなかった。
ランスは静かに同情するところだったが、当の本人は何とも思っていなさそうだったので、流すことにした。
重なった帰路を歩いていると、道の脇のベンチ周辺に4〜5人の学生が集まっていた。
彼らの胸元の校章は緑色に縁取られており、2年生であることがわかった。この学校では、学年ごとに色が決まっている。
2年生の集団の前を通り過ぎようとした時だった。突然、彼らの1人が声をかけてきた。
「おい、お前1年首席だろ。魔法使ってない奴に決闘で負けたってマジ?」
あまりに唐突に言葉をかけられ、ランスは思わず反射的に足を止めた。
それが軽率な行動だったと、気づいた時には遅かった。
ジオはランスと足並みを揃えるように歩みを止めた。
そして静かに振り返り、声をかけてきた上級生と視線を合わせた。
「否定しないってことは本当なん? 魔法を使わない奴に、どうやったら負けることができるんだ? 教えてくれよ」
ジオが反応すると見るや、2年生は言葉を続けた。




