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最終話 三門霞、許すまじ!


 どうしてこうなった。

 いや、現在進行形でこうなっているのか。


 倫子ちゃんと別れた俺とスフィは、避難する人々の流れに逆らって巨大幽霊に向かっていた。だけど、接近するより早く結界が完成してしまったせいで近づけなくなったんだ。そのため、さっきまでは離れたところから戦闘の様子を窺うことになった。


 二人並んで巨大幽霊を見ていて、スフィが一言。


『カスミ、あの幽霊懐かしいかんじがするよ』


 なるほど。スフィにとってその可能性は十分にありうるだろう。


 スフィを構成している魂は、アニマムンディにたどり着いた幽霊の集合体なはず。それは、結界を破ろうと暴れてるあの幽霊も同じ。無数の魂をその身に宿している以上、あの巨大な幽霊の中に近親者の魂があっても不思議はない。おそらく魂が共鳴しているんだ。


 あの幽霊の元に行くと倫子ちゃんに言い出したのはスフィからだった。なんらかの確信があったということだ。


 でも俺は、巨大幽霊に近づくほどその強大さを思い知ることになった。戦わせるつもりなんてちっともなかったのに、今ではスフィがいなくなったら恐怖に負けてしまいそうなくらい怖気づいている。


 だけど、ここでスフィをおいて俺が逃げるわけにはいかない。そう思って、結界がパリンと割れた直後にスフィに続いて再び幽霊に向かって飛んでいったんだ。


 で、現在俺はビルの陰に隠れながら、こそこそと巨大幽霊の霊力を吸い取っているんだけど……


「うおっ、あぶねっ」


 巨大幽霊は自分の霊力を触手のように伸ばして俺に向けてきていた。

 ぎりぎりでビルを蹴って逆方向に飛んで避ける。

 受け身をとって、すぐさま移動した。


 他の霊能力者たちが何人も同時に気を引いているってのに、どんだけ同時攻撃できるんだよ。攻撃自体は吸収すればなんとかなるけど、瓦礫なんかが飛んでくるから大変だ。


『カスミ、すごいっ』


 スフィは巨大幽霊を観察しつつも、攻撃を余裕で躱していた。何やらあの幽霊と魂レベルで因縁があるようだけど、俺が戦うのは問題ないのかな。そう思っていたら、スフィが耳打ちしてきた。


『あの幽霊、たましい沢山持ってるよ』

「うん。それは知ってる」


 伝えたいこととは違うのか、ちょっと表情が優れない。なので、もうちょっと詳しく説明を求めてみる。


『幽霊、沢山いる。でも、攻撃してこない幽霊がいるよ?』


 ……どういうことだ?


 あっ!?

 もしかして……


「そいつがスフィに助けを求めてる幽霊だってこと?」

『ん』


 正解、とばかりにスフィが俺に抱き着いてくる。その間にも、敵が攻撃を繰り出してきてるので回避する。勢いでスイングされてスフィは楽しそうだ。


 スフィの言うことが正しいなら、あの巨大幽霊は複数の意志を持っていることになる。スフィと同じ魂の集合体なのにだ。スフィは一つなのにアイツは複数。いったい何故なのか。まあ理由はいいだろう。


 スフィが助けようとしている幽霊は、周りに他の幽霊がまとわりついていて身動き取れずに困っている、という状況でいいのかな? それで助けを求めていると。


「じゃあ俺が全部を吸収しちゃダメってことだよな?」

『ん』


 どっちしろあんなデカイ幽霊を全部吸収したら、俺の腹がぶち破れそうだけどね。


 攻撃を躱しながらスフィと会話していると、霊能力者が近づいてきていた。越谷栄治くんだ。なんで彼が横浜腐界を離れてここにいるのか知らないけど。いや、それは俺も同じことか。


「霞くん。近藤さんから君たちをフォローするように言われている。何か手伝うことある?」

「ええっ!?」


 いきなりそんなこと言わても困る。そもそも俺たちの作戦だって決まってないんだし。まあ、見知らぬ霊能力者じゃなくて良かったけど。そういや、遠くのビルには夕貴子さんの姿も見えるな。


『あそこ、スフィがぎゅ~ってするよ。でも、あの幽霊スフィよりちょっと大きい』

「じゃあ、あそこを集中的に攻撃して、弱体化させればいいのか?」

『ん。そしたら、カスミがぎゅい~んってやるよ』

「よし、任せてくれ。残ってる霊力全部ぶつけるくらいの気持ちでやるよ」


 栄治くんの答えに、スフィが満足そうに首を振る。というか、スフィ自身も普通に戦うつもりだったのかよ。で、俺にも大事な役目があると。マジですか。


「霞くん。まだお札余ってる?」

「ちょっとなら」


 後ろポケットを探って、残りのお札を全て栄治くんに渡した。


 俺のお札が巨大幽霊の霊力なんて吸いとっても0.01パーセントも減らないけど、すっからかんの紙は囮くらいにはなる。接近戦を得意とする栄治くんなら、俺よりも役立ててくれるだろう。


「じゃあ俺はみんなにも伝えてくる。準備ができたら合図送るから。任せたぜ」

『ん』


 ……これ、俺の責任めちゃくちゃ重要じゃないか。


 俺は今まで大したことない幽霊しか相手にしてこなかったんだぞ。

 とてもじゃないけど、責任とれるほどの実力なんて持ってない。

 こんな大役俺に任せていいのかよ。


 栄治くんは不満を見せてないけどさ。

 心臓がドキドキしてきた。


 いや、栄治くんが期待してるのは俺じゃなくてスフィだろうけども。

 でも、どうすりゃいいんだよ。


『カスミ? だいじょぶ?』

「うん」


 全然大丈夫じゃない。

 俺の悪い癖だ。

 テキトーに答えてしまった。


 本当は緊張で足がすくんでいる。

 というか、さっきからスマホが震えっぱなしだぞ。

 こんな時に何だってんだ。ちょっとイライラする。


 攻撃を回避したタイミングで吸収を中止し、再び姿を隠した。あまりの苛立ちにスマホの通知を切ろうする。瞬間、大量のDM通知が目に入った。


 <がんばれ>

 <三門がんがれ!>

 <がんばえ~>

 <もうちょっとだぞ>


 もしかしてどこかで今の映像が流れてるのか?

 それで俺のことを応援してくれてる?

 そういや、結構な数のドローンが飛んでるな。


 <信じてるぞ!>

 <お前ならできる!>

 <お前の力を見せてくれ!>


 まだまだDMが送られてきてる。

 これ全部応援なんじゃないか?


 ……やばい。ちょっと泣きそう。


『カスミ?』

「うん、俺は大丈夫」


 今度は本当だ。

 これはうれし涙だ。


 まさか散々いじられてきた俺がこんな形で応援されるなんて。

 ここでやらなきゃ男が廃るってもんだ。


 壁から戦いの様子を覗くと、それまで連絡係をしていた栄治くんが巨大幽霊に急接近していた。どうやら全員に伝え終えたようだ。


「いくぞ、スフィ」

『ん!』

「こっちはいつでもOKだ!」


 俺が叫ぶと同時に、いくつもの物凄い霊力の塊が巨大幽霊相手に向かっていった。巨大幽霊と衝突して、物凄いエネルギーが消滅していってる。


 衝撃波に耐えながら、俺も手をかざして吸収していく。


「キタキタキタ。腹いてー。でもまだまだいける!」


 巨大幽霊の霊力だけじゃなくて、いよいよ魂部分まで吸い込み始めたようだ。

 俺の体内で暴れ始めている。

 でも、できるだけスフィの負担を減らさないとだからな。


 正直スフィがどれだけやれるか分からない。

 俺たちの力だけじゃ絶対無理だろう。

 スフィに頼らざるを得ない状況だ。

 それくらい力の差がある。


 みんなもそれを理解しているのに誰一人として逃げてない。

 霊能力者としての責任を果たしているんだ。

 よく知らないスフィを信じて必死で戦ってくれてるんだ。


 俺は一緒に住んでるんだぞ。

 スフィの保護者やってんのに負けてられるか。


 「俺がここで踏ん張らなくてどうするよ!」


 腹が痛すぎて笑えてきた。

 でも、みんなのおかげで巨大幽霊が弱ってきてる。

 少しづつだけど小さくなってきてるぞ。


 それを確認したのか、スフィが両腕を開いて飛んでいく。

 そのまま幽霊に抱きついた。


『んぎゅ~』


 抱きしめられている幽霊はさらに小さく細くなっていく。

 スフィが助けようとしている魂の形が、おぼろげながらに見えてきた。


 でも、まだ他の幽霊とくっついたままだ。

 スフィが振り向いて俺を見る。


『カスミ』

「分かってる!」


 なんとなくスフィがやろうとしてることを理解できたぞ。

 

 スフィが抱きしめてる部分の周辺を全て吸収すればいいんだろ。

 掃除大臣さんのお願いだ。

 きっちりクリーニングしてやるよ。


『カスミ、がんばれ』

「うん。スフィもがんばれ」


 ……きつい。

 今すぐ逃げ出したくなるほどきつい。

 でもそんなこと絶対しない。


 ポケットがまだ震えている。

 確認しなくても分かる。

 みんなが俺たちのことを応援してくれてるんだ。

 それが俺に勇気を与えてくれてるんだ!


「うおおぉぉ!!」


 最後の力を振り絞って吸収していると、凄まじい音とほぼ同時にやってきた衝撃波を喰らって俺は吹き飛ばされてしまった。





 ビルに衝突した衝撃で体中から緊急信号が送られてくる。

 それでも必死に体を起こして周囲を確認する。

 まだスフィが踏ん張ってるはず。


 空に巨大幽霊が浮いているのが見えた。

 だけど、さっきと形が違うぞ。いや、それよりも今はスフィだ。


 スフィは……元いた場所の近くにいた。

 ただし、スフィより一回り小さい幼女の幽霊と一緒にだ。


 おそらく、この幼女こそスフィが助けようとした魂の持ち主なんだろう。

 しかも、幽霊なのにもやもやしてなくて、形がはっきりしている。

 霊力もそうだし、まるでもう一人スフィが増えたみたいだ。


 周囲では幼女から離れた幽霊を除霊しようと、みんなが戦闘を再開している。

 だけど、俺にはもう戦闘についていく力は残ってない。

 あとは皆に任せよう。


 見守りモードに入っていた俺に、スフィが幼女を連れて飛んできた。

 空飛ぶ幼女はうつ向いている。俺は空を見上げている。

 澄んだ瞳の幼女と目が合った。


『あなた、だれ?』


 ……なんだかデジャヴュを感じる流れだ。


『スフィと、スフィのおとうとのカスミだよ』

「スフィの兄の三門霞です」


 しまった。父というべきだったか。幼女は先ほどまで暴れていたのを理解してるのか、俺たちが自己紹介しても表情が優れない。もしかすると、俺とスフィが違うことを言ったせいで混乱してる可能性もあるけど。


 幼女がじっとしていると、スフィが幼女の手を引いて俺の中に入ろうとしてきた。よく分からないけど、中に入って俺のことを知ろうとするのは止めてくれ!


 スフィと幼女は、止める間もなく俺の中に入ってしまう。

 そしてひょっこり戻ってきた。

 何故だか笑顔を交わしている。


『カスミの中、あったかかった?』

『ん。きもちいいの。あと、ほっとする』


 この幼女、まるでスフィみたいなことを言うじゃないか。

 なんとなく次の展開も予測できるぞ。


『いっしょにいてもいい?』

「いいよ。でも、そっかぁ。一緒にいたいのかぁ」


 ほらね。そうだと思ってましたよ。理由はあえて聞くまい。

 なんとなく、そう言うと思ってたんだよなぁ。

 スフィと時と比べるとちょっと遠慮ぎみだけど。


『なまえあるの?』


 スフィの質問に幼女は髪を揺らして否定した。

 ならば、ここは俺の出番だろう。

 一歩前に出る。

 ところが、スフィに制されてしまった。


『だめ。カスミ、さいのうない』


 まだ何も言ってないのに、スフィに戦力外通告を受けてしまった。


「じゃあ倫子ちゃんに手伝ってもらって名前を決めよっか?」

『ん。さんせい』


 でも、その前にやるべきことがある。

 まだ巨大幽霊の残骸が暴れているんだ。

 栄治くんたちが頑張っている。

 スフィは一瞬だけ空を見ると、ヒーローのように幼女に手を差し出した。


『あなた、スフィたちの仲間。いっしょにいくよ』

『いいの?』

『ん』


 スフィが思いっきり頷くと、幼女はとびっきりの笑顔を返して手を握り返した。


『スフィの真似するんだよ』


 幼女が小さく頷くと、そのまま二人で高く飛んで巨大幽霊に向かっていった。。

 二人の幼女は左右の腕を前方に突き出して、猛スピードで飛んでいく。


 そのまま巨大幽霊の体をぶち破って、反対側から二人が姿を現した。

 巨大幽霊は全ての魂を失い、形を維持できずにあっという間に霧散していった。




 ……なんて結末だよ。




 俺たちがあんなに苦労したってのに、これでいいのか?

 まるで絵本のようにあっさりと戦いが終わったぞ。


 幼女たちは空中でぴょんぴょんして、可愛らしくはしゃいでいる。


 でも、これってかなりやばいよな?

 絶対今まで以上に注目されるじゃん。

 

 二人の幼女に圧倒されたのは俺だけじゃなかった。

 様子を見ていた栄治くんたちも一斉に倒れこみ、引きつった笑いが聞こえてきてる。あまりの力に笑うしかないのだろう。できれば、俺もそうして現実逃避したい。


 気づけば、あたりがだいぶ騒がしくなっていた。




 沢山の足音が聞こえてくる。


 まだ瓦礫が沢山あるってのに、巨大幽霊がいなくなったことで、野次馬根性逞しい人たちがカメラを向けてこっちに向かってきてるんだ。


 急いで隠れながらも、群衆の中に倫子ちゃんの姿を見つけた。優しい倫子ちゃんのことだ。俺たちのことを心配してきてくれたに違いない。


「倫子ちゃん、こっちこっち」

「霞先輩?」


 壁の陰から小さな声で手招きする。

 傍らには当然のようにスフィと幼女もいる。

 さて、どう話したらいいものか。


「あの、結論から言いますと、この子とも一緒に暮らすことになりそうでして……」


 倫子ちゃんは何も答えない。ただ、じっと俺たちのことを見つめているだけだ。


「その、ですから倫子ちゃんには、家族として一緒にこの子の名前を考えてほしいなぁと思ってるんだけど、どうかな?」


 その時、俺の中のメレオプラズマが反応したのか、ピキッと音にならない音を捉えた。何かを感じたのはスフィも同様らしい。


『りんこ、おこってる?』


「怒ってないよ。怒ってないし、霞先輩がそういう人だって分かってたつもりだけど、まだちょっと頭が混乱してて……ライブ映像が流れてたのでだいたいの経緯は把握してます。その子のことも」


 やっぱりそうだったのか。DMの通知が鳴りっぱなしだったもんな。てか、今もそうだけど。


「だから二人が無事で嬉しいのと安心したのと、よく分からない気持ちがごちゃ混ぜになってるんです」


 そこまで言って、倫子ちゃんは俺を睨みつけてきた。凛々しい表情に見惚れてしまう。


「でも、私たちってまだ付き合い始めたばかりじゃないですか! それなのに、それなのに、ちょっと酷いですよ。なんとなくこうなるだろうなぁとは思ってましたけど……」


 さすがに結婚前に子供が二人できるとは思っていなかったんだろう。俺だってそうだ。混乱してるだろうに、幼女を傷つけないように言葉を選んでいるのが分かる。やっぱり倫子ちゃんは女神のようだ。


『りんこ、ごめんね』

『ごめんね』


 スフィと一緒に、状況を理解していないであろう新たな幼女も頭を下げている。


「ううん。私こそごめんなさい。誰も悪くないのは分かってるの。ただ、気持ちの整理が追い付いていないだけで。うん。私決めました」

「な、なにを?」


 倫子ちゃんの声がハキハキしてきた。元気を取り戻して嬉しい。倫子ちゃんが幼女に優しく微笑みかける。


「あなた、これから霞先輩と一緒に暮らすんだよね?」


 幼女は恐る恐るといった様子で頷いた。


「私、梶中倫子。そこのお兄さんの恋人なの。よろしくね」

『ん』

「これからいっぱい勉強することあると思うけど大丈夫。私と一緒に頑張ろうね」

『んんっ』


 それまで不安げだった幼女が嬉しそうに跳ねている。

 これ、倫子ちゃんがママになる決意をした。

 そう受け取っていいんじゃないか?


「霞先輩はなんでニヤけてるんですか? 今そういう状況じゃないですよね? 街が破壊されてて大変なことになってるんですよ?」


「確かにそうだけど、俺たちにできるだけのことはやったからね。あとの復旧は専門の人に任せるよ」


「それはそうですけど……」


 倫子ちゃんは本当はまだ気持ちの持っていきどころが見つけられないのだろう。ならば、俺が恋人としての器を見せるしかない。倫子ちゃんをそっと引き寄せた。


「ちょ、ちょっと霞先輩。こんな所で……」

「倫子ちゃん、迷惑かけてごめんね。きっとこれからも苦労させてしまうと思う。それでも俺と一緒にいてほしいんだ」


 倫子ちゃんは俺の胸の中で深呼吸すると、両手を背中に回してきた。


「分かりました。分かりましたよ。元々そのつもりでしたから。霞先輩がそういう人だって分かってて付き合うことにしたんですよ? でも、ちょっと、さっきからスマホが鳴りっぱなしで気になります。これじゃ、せっかくのいい雰囲気が台無しですよ」


「ああ、これね。実は戦いの最中に俺のこと応援してくれてたんだよ。それで結構勇気づけられてさ。DMしてくれた皆のおかげで戦い抜けたんだ」


「そうなんですか。それじゃ怒るわけにはいかないですね」

『カスミ、嬉しいならお礼だよ』


 確かにスフィの言う通りだ。

 個別は無理でも一言つぶやいておこうかな。

 ついでに通知を一旦切ってしまおう。


 そう思ってアプリを起動した瞬間、表示された文字列を見て俺は固まってしまった。


「どうしたんです? って、これは……」


 倫子ちゃんは画面に映し出されたコメントを読んで絶句した。


 <お前まじ消えろ>

 <こんなのってありなんですか?>

 <また幼女独占? 最低のクソ野郎だな>

 <スフィと幼女のコラボはよ>

 <幼女コレクションがはかどりますねwww>

 <マジ〇ねよ>

 <やっぱりロリコンだったんですね。見損ないました>

 <求、情報公開>

 <子供は日本の宝です。早く解放してください>

 <お前絶対許さないからな>


 倫子ちゃんの綺麗な顔が台無しだ。そんな倫子ちゃんも素敵だけど、全然嬉しくない。隠せばよかったよ。俺も素敵な思い出のままにしておけば良かった。


「……霞先輩。今までもこうだったんですか?」

「いや、流石にここまでじゃなかったよ」


 スフィの人気を考えれば、この子が注目されるのは当然だ。そして俺が独占してるように思ってるんだろう。どちらかというと、幼女側からの要望なんだが、きっと受け入れてはくれないだろうなぁ。


 正直言って状況はかなり苦しい。それでも倫子ちゃんなら周りに流されずに寄り添ってくれるだろう。さっきもそういうこと言ってくれてたし。


「え~っと、その、一緒に乗り越えていこうね?」

「…………が、頑張ります。きゃっ」


 やっぱり、俺の彼女は最高だ。

 思わず強く抱きしめてしまった。


『だいじょぶ。スフィたち付いてるよ』

『んん』


 スフィが幼女の手を引いてきて、勢いのまま抱き着いてきた。 

 スフィはホント優しく育ってくれたよなぁ。

 俺は嬉しいよ。

 きっと、俺たちならどんな困難にも立ち向かっていけるだろう。


 ただ、不安要素があるとすれば……


 今の俺たちって、めちゃくちゃカメラ向けられてるんだよなぁ。

 これからどうなるんだろ?




これにて物語はおしまいとなります。

面白かったら、ぜひ評価をお願いします。

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