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第31.5話 飛び出した倫子


「ねぇ、響ちゃん。女の子の声がしない?」

「そういわれれば、泣き声が聞こえるような気もする」


 二人は耳を澄ませて、声の主を探し始めた。すると、倫子の瞳に自分たちに近づいてくる少女の姿が映った。


 当初、倫子はスフィのような存在がいるのではないかとなんとなく想像していたが、事実はまったく違った。普通の少女が二人と同じようにどこからか腐界に迷い込んでしまったのだ。


 小学生くらいの少女はも必死に駆けていた。


「あの子、助けなくちゃ」

「うん。そうだけど、私たちだって余裕なんて全然ないし、どうすんの?」

「バッグに三門にゃん先輩のお札ある?」

「ちょっと待って」


 響はスマホのライトを当てながら、バッグの中から取り出した。霞のお札は小さなサイズのメモ帳型になっていて、ビニールでコーティングされている。つまり、霞の師匠による結界が張られている状態だ。


「そっか。これであの幽霊たちを誘導して、あの子がここに来るまでの時間稼ぎをするんだ」

「違うよ。こんなに狭いところに三人も入れないよ。いくら小さくたって難しそう。だったら、誰かがここから出るしかないじゃん」


 倫子は響の手から霞のお札を奪い取った。


「ちょっと、倫子!」

「私が引きつけておくから、その間にあの子をお願い」


 倫子は響が制止するより早く結界の外に出た。そして霞のお札を見せびらかしながら幽霊に近づいていく。少女に群がっていた幽霊たちは、より憑りつきやすいお札に引き寄せられていった。


 親友の行動に驚いていた響は、戸惑いながらも結界を解いて少女に向かって走りだした。


「ちょっと、あなた! こっちよ!」


 響は少女と合流すると、即座に結界を再展開。体を小さくして少女の姿を幽霊たちから隠した。


「ちゃんと逃げてよね、倫子。あの先輩なら倫子のこと気づいて助けにきてくれるはずだから。たぶん」

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