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第15.5話 神田と近藤


 霞のアパートを出た神田と近藤はコインパーキングに向かった。神田が運転席に乗って車を発進させると、助手席に座った近藤に話しかけた。


「いやぁ、承諾してもらえてよかったですねぇ」

「そうですね。話が早くて助かりました。評判と違って、頭の回転も悪くありませんでした」


「近藤さんが気にしてるのは、そこじゃないでしょう? 実際、会ってみていかがでしたか?」

「見た目は可愛らしい少女でしたが、アレはバケモノですよ」


 近藤は霞の部屋にいる間、極限まで緊張していた。それはスフィの存在が原因だった。霊感能力の低い神田には分からなかったが、近藤は気圧されないように必死に抗っていたのだ。口数が少なかったのは動揺を見せたくなかったからだった。


「動画で見た時より、はるかに強大に感じましたよ。仮に対峙した場合、弟子たちと協力しても、一分持つかどうかってところでしょうね」

「そこまでですか」


 神田は内心驚きでいっぱいだったが、表情を変えずに運転を続けた。


「では、彼女を体内に取り込める三門さんも相当な力の持ち主、ということでいいんですかね?」


「そうですね。六道がみっちり鍛えていたようです。霊力は一般人に毛が生えた程度ですが、霊幕の強さだけは、明らかに他の霊能力者と一線を画してます。霊幕が強いということは、肉体に変化が起きにくいということでもあります。外からの物理的な衝撃では、ほとんどダメージを受けつけないはずですよ。予防注射を打つのも大変だったでしょうね。脳が揺れれば影響はあるでしょうが、裂傷は考えられませんし、たとえ交通事故に遭っても骨折すらないでしょうね」


「なるほど、なるほど。負傷の心配が少ないのは素晴らしいですね。少女の安全性を知らしめるには都合がいい。しかし、あの幽霊の少女、だいぶ三門さんに懐いてましたね」


「彼の性格も良かったのでしょう。相性がいいのは予想されていたことでしたが」

「まあ、そうでしょうね」


「六道がどこまで考えていたかは分かりませんが、結果的にはアイツの思惑通りということです。三門君を引き取ると聞いた時には、面倒なことをすると思いました。離婚間近だったわけですし。ですが、今の状況を見越していたとすれば、流石としか言いようがありません。アイツの真意は分かりませんがね」


 近藤は一瞬だけ悔しさをにじませた表情を引き締めると、神田はルームミラーを調整して、それに気づかないふりをした。


「神田さん。くれぐれも彼のことを頼みますよ。彼にはまだやってもらうことがあるんですから」

「ええ、もちろんです。私はこれでも日本を愛する官僚ですからね」

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