表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/24

 

 ☩


 バスに揺られて大体三十分程が経った頃、私は目的地のセミアンダーグラウンドの街に来ました。この街はナノマシンの利用用途の不正利用が限定的に許可されている場所ですが、スラム街というほど治安は悪くないです。


 ……この街でだけ許可されている物事をやるには契約書に追加でサインが必要なので、大きな事をやれる奴がそもそも捨て身な奴以外居ないからですけど。 バスを降りると規定の契約書へのサインを求められた為、サインをして街へと足を踏み入れます。

 ……これ、著作権的に不味いですよね、と言う見た目の方々が沢山居ますね……。話を聞いてみると、許可は取って居ても商売としての活動上はキャラ崩壊検案の言動は契約書で制限されている、だとか。……キャラが現実に出て来たと言う建前を前提に商売をしているなら変な言動をすると公式の見解扱いにされかねないですしね……。


 そう言えばサキュバスとかの痴女キャラに成っている人はどんな言動をしているのだろうと思って居たら、肌の露出度の高い衣装女性が近付いて来て風俗に誘われました。……なるほど、路地裏に相手を移動させてそう言う行為をするサキュバスに扮した人が、店に誘って来る形に変わって運用されている、と……なんか性病も無いとか言われましたね……。何故か聞く事にすると、


「お客さん、知らないの? デバイスからの電波に依って感覚を再現して疑似的に性行為をやる、エロ目的のVRだよ」

「胡散臭いですね……」

「ちなみに此処の技術とは関係なしにオ〇ホと映像をリンクさせて二次元キャラと性行為をする技術なら数年前に既に実現しているから、やれるか怪しいとか言われても、だよ」

「……ああ、それは聞いた事が有ります……一人暮らしで誰も訪ねてこない前提じゃ無いとやって居る所を他人に見られたら最悪だな、と思った覚えが有ります」

「まあ、あくまでも電波で感覚を再現しているだけで、性的な意味での接触は無いから、性病とかも特に無いから大丈夫だよ」

「……遠慮しておきます。エロ同人誌的にはエロ目的で使って居る時に現実でもやられている、的な展開が考えられるので……やるとしたらそれをやる機械を自腹で買った時に成ると思います」

「……やる機械を買い取れる余裕が有る人? ならちょっと商談でもする?」

「……止めておきます」

「……そ、それならいいや、またのお越しをー」


 客引きの人は去って行きました。……疑似的な性行為を電波に依る感覚だけで再現して実物を入れずに行う機械、ですか。興味が無い訳では無いですが、やって居る時に店員側が物理的に性行為をやって来て居ても、機械の感覚で誤魔化されそうで怖いのですよね。

 ん? 技術体験コーナー? ……さっきの電波だけで云々の奴が体験出来るとか有りますかね……行ってみますか。


 其処に移動し、器具を右腕に装着してみると、右腕を電波でマッサージされた感覚をベースにした様な物が来ます。腕を揉みほぐされながら丹念に撫でられている様な感覚、とでも言いましょうか。私は流石に表情に出すのは色々とアレだと思い、直ぐに切り上げましたが、……電波を使ったマッサージを発展させて性感にも影響を及ぼした物、ですか? 思った以上に気持ちいいですね。


 ……まあ実際、飛ばした電波で性感マッサージとか、違法性が高すぎるのですよね。……使い方次第で要は遠隔で痴漢が出来るので。悪用する奴が出たら技術自体が発禁に成るレベルの技術。だから此処に来る前に契約書に無理矢理サインさせられている訳ですけど。


 ……VRって言ってもVRゴーグルを付けながら外の様子も解る奴も有るらしいので、ちょっと仕様を細かく把握したら……行ってみますか……只現実でやられたらアレなのである程度のやる事の制限は自分に掛けますけど……。あ、そうだ……貞操帯って言うのでしたっけ、アレを付けて鍵を別所に保管してからやりましょう。それなら壊されでもしないと能力無しには無理でしょうし……貞操帯買いに行きますか。

 貞操帯を装着し、鍵を掛け、その鍵を有料ロッカーに保管してから件のVR風俗とやらに行く事にしました。


「あら、お客さん、また来たの? 商談の準備でもしてきたのかな?」

「……ちなみに参考までに幾らでしょうか?」

「実際にやる映像データは別売りで、機器は大体十数万円って所だね」

「……その程度なら買わせて貰います」

「お、まいど。じゃあちょっと待ってね、機材持ってくるよ」


 さて、VR風俗とか銘打つのですから、本来なら電波マッサージを制御する人が裏方で居るのでしょうが、流石にそれはと言う事で、購入に成りました。……しかし、案外安いですね……何故でしょうか。……と思ったら一緒に渡された契約書で原因が解りました。


 電波マッサージに依る性感マッサージのプログラムは心拍数や言動等の幾つかの基準で分岐するシステムな様ですが、裏方が電波マッサージを制御する訳では無い為、自由度は流石に実際の行為より低く、別売りの奴を追加で買わないと大体毎回同じ流れにしか成らない……回数やったら飽きそうですね……。自由度を増したきゃ追加データを買いまくれって事ですね、これ……。


 契約書を見ながら追加で説明を受けると、初期の機器の中にも二ルート分だけは入って居るらしいです。そして最初に入って居るデータは三種類で、選べるのは和〇系、レ〇プ系、挿入の際の感覚を除いたサンプル的な物の詰め合わせ……の、三種類。

 和〇系はそう言うゲームの和〇シナリオに電波性感マッサージ付きみたいな物で、レ〇プ系はとにかく電波性感マッサージを受けまくりたい人用。サンプルの詰め合わせは色々と追加データを買う前提で買う人用……と、言う感じですね。通常のVR機器でも二十万円を超える物が有ると考えるとやれる事的に十六、七万程度の値段なのはかなりお買い得では有ります。

 ……追加データを買い漁らないと真価を発揮してくれない的な事も、例えばゲームソフトを一つ買うと考えれば、一ルート分で四、五千円くらいなら払える範疇では有ると思います。……問題なのは件の機器が真価を発揮するのが追加データを散々買い漁った後だと言う事。

 ……本体の値段を抑えてDLCを大量に買わせて稼ぐ形で、本体が比較的に安い理由だと考えられますが、補強データを一ルートの奴に特化させてそれに属する追加データを一通り買った場合一ルート追加につき三万円くらいは払う事に成りそうですね……。店で体験してからじゃ無いと中々手が出せないレベルの値段です。


 まあ、危険性を考えると自分で買い取ってやるしか無いですけど……。機材の購入はしますが、追加データの購入は一先ず無しで試してみる事にします。……さて、帰って早速やってみますか……いや、貞操帯付けているのでしたね、それの鍵の回収もしないとだし契約書で色々と制限が有るので、ラブホテルでご休憩してその中でやる事にしますか……。


 ☩


 そしてラブホテルの部屋を確保し体中に装着する機器を起動すると、起動する内容の選択画面が出たので、まずはサンプルの物を選びます。

 一つ一つのサンプルは一分程度な物で、甘い囁きをされながら体中を撫でられる物や舐められる物、また、罵倒されながらハードな責めをされた感覚を与えられる物や性器を少し外れた所へひたすら刺激が来る寸止め等……挿入の感覚は製品版でお楽しみくださいとわざわざ書いてある為、そう言う物は無いですが、結構色々な物が有りました。……それぞれ一分程度、ね。これ以上やりたきゃ製品版を買えって事ですよ。……二ルート分のデータは有るのでそれをやりたい所なのですが、流石にやり過ぎて飯を食べたい状態に成ってしまったので切り上げ、鍵を回収する事にしました。


 ☩


 鍵を回収してからの帰宅途中で、私はいきなり別の場所に唐突に移動させられ辺りを見ると満天の星空が輝いて居ますね……今は昼なはずなのですが。


「いきなり何が」

『……いやはや、姿が見えない形で悪いね』

「……その声はスプリンガー、ですか?」

『……そうだ。まあ、俺の力は基本的に相手の居る次元より上の次元に移動し、色々とやるのが基本だ。まあ、だから同じ次元に移動すれば勝てるとか夢を見ちゃう奴が出るのも解る』

「……もしそうだとしていきなり何故私にどうこう言ってくるのですか?」

『いやまあ例のオウムガイを倒したって聞いてね。ちょっと相手してやろうかな……って思ったのだが、なんだ? その荷物、貞操帯まで有るし……』


「……これは、……今は別に良いじゃ無いですか……」

『そうかい。じゃあ今からやる事の邪魔に成るからこれに入れとけ』

「盗む気じゃ無いですよね?」

『十数万円そこら自前で用意出来ないと思われるのも癪だな。同じ物を出してやるよ』


 そしたらいきなり私が買った物と同じ物が生成されました。


「……なるほど、盗る意味が無い、と。解りましたなら一時的に預けます」


 荷物を預けた所でスプリンガーの野郎は言います。


「今の次元より高次元の自分で自分を強化するように描写して、低次元の自分をドーピング強化して、それを高次元に持って帰って来る。次元を超える事がメインの能力だ。その部分では負けん」

「……妄想や中二病設定を自分に付与して現実にする能力、ですか。……つまり空想や幻想の具現化、と言う感じですかね?」

「漢字だけで能力名を造るなら空想具現化ではなく、空想還元って所かな。自分より高次元に敵が行かない限りは幾らでもやりようが有る」

「……敵が自分より高次元に行った場合はどうするのですか?」

「同系統能力相手に負けないようにいくらでも盛れるし、緊急で盛るだけだな」

「……それが本当ならなんでルクトさんには頭が上がらないのですか?」

「……あいつ俺が知っているだけで、二千種類は能力使っているし……」

「……に、二千、ですか、半端じゃ無いですね」

「数を誇る奴は中身が無いとかはよく言われる話では有るが、パワーストーンと言う一つのジャンルの物全てが能力の下地だからな、あいつは。創作でよく有る魔石とかの単体で効果が有る奴も含めてさ」


 つまり世の中に有るパワーストーン全ての種類分だけの能力が有る、ですか。少なくとも二千種類は有ると言う事は、幾つかのパワーストーンの掛け合わせで別の能力でも利用出来るのでしょうか? 洒落に成らないくらいの数の能力を所有して居そうですね。力を手に入れる系の効果が有るならそれだけに収まらない気もしますし。


「……一つのジャンル全てが下地に有る能力、ですか。ゴミ能力で水増しとかはしては居なさそうですね……」

「さて、じゃあルクトなら倒せる奴を出してみようか」

「……勘弁してくれませんかね?」

「まあ、顔見せ、顔見せ、少し離れとけ」

「……解りました」


 すると私が少し離れた所でスプリンガーの野郎は無骨なゴーレムを出して来ました……と言うか表面が溶けていますね。普通のゴーレム的運用では対処された後なのでは? とも思いましたが一応対価四百のスレイプニルを出してシェルターに籠もります。すると笑い声がして。


「じゃあ、始めようか」


 その言葉と共に辺り一面に高圧電流が流れます……と言うかアーク放電が起きているのですけど? 何でゴーレムが溶けてない……いや、溶けては居ますね。普通に動いていますけど。とにかく退避し無いとエネルギーが持たないと思いスレイプニルに退避させますが、溶けたゴーレムは普通に走って来てスレイプニルに追い付き溶けた金属ごと腕を飛ばして来ました。

 アーク放電を受けて蒸発し無い金属など無いはずなのですが……溶けた液状金属が辺りに飛散して一部が私を護るシェルターに直撃し、一気にコストを払わされた所で”飛ばされたはずの腕が自律して動いて不意打ちを食らわせて来てコストが全部持って行かれました”……。コストを回復しようとした所で、そのゴーレムは消えました。スプリンガーの野郎が消した様です。


「さて、此処までにしようか」

「……なんですか、今のゴーレムは」

「水霧の身内の奴の試作品を俺がアレンジした奴、だな。やれる事を全部は見せられて居ないけど、造る素材としてはタングステンとか炭化タンタルハフニウムとかの高熱に耐えられる奴だ」


 此処で言う全部とは回路とかは多分抜いてのボディ部分の話ですよね、流石に……。


「……えぇ……アーク放電で溶けないのですか?」

「アーク放電の低めの温度の方なら溶けないよ」


「それはともかくとして、元の次元に帰してやろうと思って見てみたら、世界の法則を弄った奴が居るパターンかな……ルド様検案だな、こりゃ」

「え? は? 世界の法則を弄る、ですか?」

「真空崩壊とか出来る奴は割と居るよ、マジで」

「……噓臭いですね」

「って言われてもね。やる為の理屈自体は児戯レベルに簡単だよ?」


 真空崩壊が児戯レベルとかアレ過ぎますね……。


「ならルド様が対策していないのはおかしくないですか?」

「世界を造ったルド様の方針としてだが、創作的に例えるなら極力他所の大抵のメタに対して水掛け論以外の解答を叩き付けるって奇特な事をやっている為だ」

「……妄言を吐かれているだけだとすれば済むと思うのですが」

「だな。違う世界の違う法則の上で行われた事なので、此方の世界にその創作の内容は当て嵌まりません、で、一律に封殺すりゃあ良いのに」


「なら世界が他所に勝手に弄くられるのは世界を造った人の悪癖故、と言う事、ですか?」

「速い話そうなる」

「……なんでそんな真似を?」

「他所の世界をメタ創作の世界と定義した場合、極論この世界にまつわる世界で一兆のパラレルワールドを一撃で壊せる奴でも他の世界の有象無象の雑魚にやられるから」

「……それは世界の基準が可笑しいと言う意味ですか?」

「アンチヘイト対象のキャラをわざわざ幸運とか激強設定とかアンチヘイトの作者に都合の悪い扱いに成るように話をそもそも作るか? 二次創作でキャラ設定の遵守すらし無いカスも居るし」


 ああ、二次創作のキャラ崩壊が嫌いな人ですか……。まあ、キャラの解釈が自分の中で固まっているのに公式以外が独自に別解釈ぶつけてきたら、アレですよね。カップリング論争とか、ヒロインレースとか……。それはともかく。


「……私達の持つ強さなど幾ら強くなろうがゴミだと?」

「アンチヘイト創作的な世界を現実として相手にするなら、ね。まあ、俺もそう言う物を造るなら他所相手にそうするから責めるのもアレだけど」

「……それで今の元の世界はどうなって居ます?」

「ルド様が処理しているよ。まあ、創作的に例えるなら、手前の設定はこれに違いない。だからそれにマウント取って好き勝手やってやる……に、対して、公式として別解釈を叩き付けて、卓袱台返ししているだけ」

「……えぇ……それは後出しジャンケンでは?」

「今回の場合は、相手は軽い顔見せだけした設定出し切ってないのに強キャラ扱いのキャラにマウント取って来ているだけだし」

「……えぇ…」

 見た物を根拠に判断ならまだしも、予想マウントとか外れた時アレじゃ無いですかね。

「公式が勝手に言っているだけの検案、とか、公式のエアプ検案が皆無って訳じゃ無いだろうけど、他の全ての創作世界の設定はゴミ足り得るし、この世界の設定全てもゴミ足り得る。そう言うアンチヘイト創作世界を造ればその世界ではそう成るから、ね」

「それじゃ身も蓋もないですよ……」

「ある程度以上の強い奴が居る事が原理的に不可能な世界観を構築しても例外で居られるだとかほざく奴も出るだろうし。まあメタフィクションならフィクションを否定してナンボなのだろうけど、例外だのなんだのの世界観の否定マウントを有りにするなら幾らそいつの世界観でのそれ以上の存在しない最強無敵的な物を用意して来た所で此方はそれより強い奴を出してマウントを取れるけど。さて、粗方終わった様だから帰すとしよう。荷物も返すよ」


 世界観的に有り得ないと突っぱねるにしても、例外であり得るとかほざく奴は出そうです。それを言い出したらそいつが幾ら自分は最強とかほざこうが世界観的にそいつ以上の存在がどんな理論でも微塵たりとも有り得なかろうが普通にそいつより強い奴を出せますね、確かに。そして案外あっさりと荷物を返され、元の場所に帰されました。


「……帰ったら続きやろうと思って居ましたが、やる暇は無さそうですね」

 その後帰宅して荷物を置き、貞操帯を外して十津さんの所に行く事にしました。


話上ルクトの(開示済み)能力は約二千種類……と言う扱いで話をしています。


アーク放電を撒き散らすゴーレム。

一応アーク放電をある程度耐える金属は現実にも有る訳だから理論上ノンフィクションの科学でも理論上は有りでは有る。

作中で上げられた金属はゴーレム造るのに向かないんじゃない?とか、電力供給如何すんの?

問題は、まあ、ゴーレムの実物ではなく、どうせスプリンガーの能力エネルギーでやっている事だし。

ツッコんでもしょうが無い部分かと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ