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 ☩


 翌日、ミチルさんに案内され、警備員が多々配置されているエリアを抜け、西洋的な装飾をされたビルへと入りました。……すると建物の内壁が様々な物を映し出すプロジェクションマッピングで彩られて居る受付と広場有りました。お金が掛かっていますね……。それと警備員が割と多めに配置されて居るようです。


「プロジェクションマッピングは綺麗ですが、警備員が沢山居て結構物々しいですね」

 〔結構偉い人だからね。まあ私はお父さんを介したコネで普通に気軽に会えるけど〕

「ミチルさんのお父さんとやらは軍所属なのですか?」

 〔今は違うよ。けど、お父さんの元上司らしいの〕

「……ミチルさんの立場が気になりますね……」


 偉い人と割とすぐ会える立場とか、ねぇ。


 〔そんな大袈裟な物じゃ無いよ。他の人に比べれば私なんて新参者も良いところだし〕

「……偉いさんに気軽に会える立場とか割とやばい気がするのですがね……」

 〔私自身は本当に言うほどの物は無いのだけどな……〕

「……本当ですかねぇ?」

 〔それはともかく、これから十津さんと面会出来るみたいだから、失礼の無い様にね〕

「……はい、解りました」


 そしてナノマシンに依る見た目を調整し、身だしなみを整えて、十津さんと面会を始めます。十津さんはカジュアルなスーツを着ていて、胸がCかDくらい目測で有るため女性では有るようですが、今は顔を若草色のフルフェイスヘルメットで隠しています。


「水霧の身内の貴女から連絡が来たかと思えば、私の派閥への加入希望者との面会を希望して来ますか。……才能は有りそうですが、水霧クラスかと言われると微妙ですね」


 ……水霧……多分此処で指すその人はこの国の統治者の事です。つまり、ミチルさんのコネとやらは国の統治者相手にも有りそう、と言う事に成ります。


 〔それは比べる相手が悪いのじゃ無いかな……〕

「……それはともかく、ネイトさん。貴女は私の派閥に加入希望、と言う事で良いのですよね?」

「はい、ルクトさんの所は宗教の匂いがしますので」

「ぷはっ、あー可笑しいわ、言われていますねぇ、ルクトの奴。彼の派閥が宗教臭いって、つまりパワーストーンに実際の力を見出しているのが宗教臭いって事で良い?」

「は、はい、笑う様な事でしょうか?」


 心底可笑しい事を言われたかの様な笑みを浮かべながら十津さんは言います。


「彼は能力獲得基盤が数多のパワーストーンと言うだけで、才能自体は真っ当に有るわよ。なのに、幸せを招く壺を買わせようとする詐欺集団認定とか、散々言われて居るわね、彼」

「……えぇ……実際はそうではない、と?」

「私が知りうる限りではね。能力目当てで入った末端がそれぞれその後どうしているかまでは知らないけど」


 末端の奴がヤバイ事をして居るかも知れないがそれは知らない、ですか。……仮にも派閥の代表者がその程度の認識で良いのでしょうか? いやまあ、自分の派閥の事ならともかく、大きな事件を起こした訳でも無いのに他所の派閥の末端の素行迄把握を求めると言うのも流石に酷ですかね……?


「……」

「それで、私の派閥に入りたいのですよね? なら少しだけテストに付き合って貰いましょうか」

「……お願いいたします」

「じゃあ此処でやるのも何だし、ちょっと移動しようか」


 エスカレーターを使い二階の恐らくレクリエーション用の広場に移動し、入社テストを始める事に成りました。


 ☩


「……それで何をすれば良いのですか?」

「基礎能力を見る、とか、問題にいかした答えを見せろとか、かな」

「……はい?」

「要するに戦闘力とかは能力与えるならその際に上乗せすれば良いから、能力を使い熟せる地力や地頭の測定、だよ」

「……解りました。じゃあお願いします」


 そして一通りの検査の為の問答を行い、評価をされると、


「基礎能力は割と高評価出来るけど、問答の回答内容は、可も無く不可も無く。就職面接に例えるなら、中堅企業くらいには受かる、程度の評価、ですね。まあ、良いでしょう。採用させて貰います。ようこそ私の派閥へ」

「ありがとうございます」

「……さて、コロニー内での貴女の通り名はネイト=エポニム、でしたね。貴女の本名と同じ扱いに出来る様にしてあげましょう……ミチルさん、彼女を取り押さえていてください……今回はやばい気がするので」

 〔……解りました。まあ、神名にまつわる力、ですしね。……なんか父さんとか母さんとかの領域に入られる気持ちでアレですけど……〕

「まあ、ケールハイトさんの持つ能力に似た物に成る気もしますしね……」


「……え? つまり、どう言う事、ですか?」

「簡素的な神の力をやると言う事です。体が耐えられれば、ですが」

「……ちなみに危険度はどれくらいですか?」

「本当にやばそうならその時点で打ち切るので、死ぬ事はまず無いと思います」

「……なら、お願いします」


 そして十津さんに寄って私にバフが掛けられると同時に身体の中が蠢く感覚がして、叫び声を上げそうに成った所でミチルさんに口元をタオルで包み声を抑えられました。そして暫く激痛に耐えていたら十津さんが労いの声を掛けてきます。


「お疲れ様。これで貴女は、……そうね。ゲーム的に例えるなら、MPマジックポイントゲージやスタミナゲージを対価にユニットを産む事が出来る様に成りました」

「……ネイト様の神格の単為生殖能力持ち……の部分が私の力扱い、ですか」

「ネイト様の神格基準だと理屈上は神格持ちも産めるはずだから、鍛錬を積めばかなり凄い事に成るはずよ」

「……なら、なんか今造って試してみます」


 私はとりあえず産まれて欲しい存在を思い浮かべ、念じて見ます。すると私の身体から糸の様な物が大量に出て来て、それは織り上げられた後、服を着たロリの姿を現し、喋り始めました。


『母様、只今僕が参上したよ』

「……おお、成功したわ」

 〔……ネイトの神格には織り手の性質が有ります。見た限り、恐らく何種類かのエネルギーが混ざって出来た糸を生成し、それを織り上げ、生命扱いに出来る様にする能力……と言う感じ、でしょうか〕

「……自分の命を削って生命を造る……いや、違うな……自分の生命が宿った糸をプラモデル的に組み立て別の命を無理矢理成立させている? なら……」


 ミチルさんと十津さんは考察モードに入った様なので、私はそのロリと話す事にします。


「こんにちは、貴女の名前はなんて言うの?」

『名前は貴女と同じだよ。僕は貴女、貴女は僕』

「……え?」

『僕は貴女の色々な物から産まれたの。貴女の外付けの生命扱いで問題無いよ』

「私の命を分け与える能力、と言うより、魔法で魔法生物を造る上でMP以外も対価に出来る能力、ですかね。それで、造った子とは命的な意味で繋がりが有る、と」

『とりあえずそんな認識で良いよ』

「……ふむ……」


 〔とりあえず、ネイトさん、身体の方は大丈夫?〕

「単為生殖が出来たとは言え、仮に私が無性扱いに成っているなら私には水神的な力も有るはずですが、使い方が全然解らないですね」

「怒らないの?」

「ネイトの名前をわざわざ自分から名乗る事を決めていたのに、その元ネタの力を得たから怒るって言うのはなんか違う気がしますしね」


 自分から名乗って居た存在と同じ能力を得て怒るとか自分の名前を嫌いな奴の名前にして居た訳でも無いので、まさしく棚ぼたですよ。


 〔あはは……しかし、魔法生物生成(根拠に通常物理が混じる)か……ヘタしたら能力打ち消し能力とかをくらっても消えなそうだね〕

「打ち消し能力が魔法と言うか魔法エネルギーに依る現象を消す能力と言う意味なら確かに消えないかも。基盤が一種類のエネルギーだけじゃ無いし」

「あー、もう一人の私、不便だし、貴女の仮の名前を決めましょう、何が良い?」

『じゃあ、同じ神格扱いに成っているイシスにエポニムを足してイシス=エポニムで』

「解ったわ。貴女の名前はイシス=エポニムに決まりよ……かはっ」


 私は力が増す感覚がして感覚が狂い、いきなり倒れましたが、それを見て十津さんは乾いた笑いをした後言います。


「ネイトさん、貴女、エポニム側の名前の効果も有ったみたいよ」

「……エポニムってなんか有りました?」

 〔……エポニミー現象やエポニミー効果って物が有ってね。名を付ける事で対象の業績が上がるって物が有るの……多分貴女それよ〕

「……安心したわ。エポニミー効果がこの現象の根拠なら、自分への色々な能力の付与は無理そうだもの」

「……まあ、ですね」


 互いに名付けを起因とした能力なのだし、十津さんの立場的な意味で危惧も解ります。……只まあ、多分自己強化するには限界が有るでしょうし、バフの効果を受けたはずの私が能力を追加で得ていないっぽいので能力追加的なバフでは無さそうです。十津さんの能力は契約が元なら此方はゲン担ぎが元でしょうし。


「……そう言えば、此処に来てから女性ばかり見ますね……」

「……性別比率に付いては見た目を変えられる以上、信用には値しないと思った方が良いよ。バ美肉だってある程度居るもの」

「……十津さんは男だとか有ります?」

「……能力を自分に盛りに盛る都合上で両性には成っているから、間違いではないわね。基本的には女だけど」

「……えぇ……」


 能力で性別を盛る、ですか……。


「……性別依存の能力を使うには両性の方が都合は良いもの」

「……特定性別特効にぶつかりやすく無いですか?」

「使用条件に性別が有る奴は普通に使える様に成るから、常使いではあった方が便利だもの……それに両性存在ならサタナキア的な通常の女性だと絶対勝てない奴にも対抗出来るし……」

「……サタナキア、ですか?」

「あらゆる女性を意のままに従わせる能力の悪魔、よ。……昔戦った事が有ってね」


 それが事実なら悪魔が実際に居ると言う事に成りますが、多分此処で言う悪魔は悪魔モチーフの能力を得て、それを悪用して居る人々……って事だと思います。能力を簡単に得る手段が有るので自分を悪魔だと名乗る人間くらい普通に居そうなので。


 〔しかし、ネイトと言う神格、か。……お父さんとかお母さんとかの何人かの能力を引っくるめて混ぜた物にアレンジを加えました、みたいな概要の神格ですね〕

「……全部が混ざって居る訳では無いと思いますよ?」

 〔他の創作で有る存在融合とか来たらネイトの神格に成っても可笑しくは無いけど〕

「……水霧さんはネイトではなく、プロメテウスとかその辺りだったかと」

 なんで水霧さんはプロメテウスとか言われているかとか疑問ですね。

「……ええと、何の話ですか?」

「ああ、ごめんなさいね。ちょっとここに居ない私とミチルさんの共通の身内の話ですよ」

「……ああ、話に出ていた人だとするなら、ミチルさんのお父さん? ……え? 権力者じゃ無いですか」

「はい。一応此処のコロニーの設立時からの協力者らしいですね……まあ、大抵に比べたら強い部類なのにもっと強い人が身近に結構居るから余りイキリとかしない方ですけど」

 〔……ルド様は例外で考えた方が良いと思うけど……〕


 此処で言うルド様とはルド=バニシングス様の事を言って居るのだと思います。何処まで本当かは知りませんが、世界創造主だとか何とか言われて居ます。それは別としても色々な物を開発と研究して居る様です。ですがその内の一部しか世間には流して居ないのでは無いか? とか言われて居ますね。


「そうは言うけど、そのルド様が大量に強い奴を簡単に量産するせいで幾ら強く成ってもまだ上が有る状態が変わらないもの。イキリをするには格上を知って居るからやりにくいでしょ」

「神格持ちが威張れない環境、ですか……」

 〔Aと言う物に対する対応をBと言う物に対する対応に当てはめて考える、とか、議論的には事前に解って居たら流石に対応は変えるのに変えない前提で言われても、なのだけど〕

「と、話が逸れましたし、戻しますね。ネイトさんが使える能力は魔法生物生成(方式が特殊)と、エポニミー効果、と言う事で良いですね?」

「検証が足りていないのでアレですが、現状的にはそう成ります」

「では、そうですね……能力検証ついでに魔法生物を沢山造ってください。それで造った方々に雑務を任せちゃいましょうか」

「解りました」


 これから能力検証を行う事にしました。



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