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恒星間艦隊vs魔法王国 −2つの文明の相克−  作者: 林海


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第41話 再びアーヴァー級宇宙戦艦、第1連携戦術戦闘艦橋


 再びアーヴァー級宇宙戦艦、第1連携戦術戦闘艦橋(C.I.C.)が使用されている。4弾目の着弾のタイミングが来たのだ。

 暗い部屋には、かすかに電子機器の唸りが響いている。

 計器の示すデータ表示のほのかな明かりだけが、オペレーター士官たちの顔を照らしていた。


 4弾目の軌道監視モニターを見つめていた女性士官が、不意に頭を上げ報告の声を上げた。

「コード T1P4への小惑星弾、コリジョンコースを外れました。

 T1の月軌道を越えた辺りです。

 角度にしておよそ5度、T1には着弾せず、そのまま本恒星系太陽に落下します」


 予想されていたこととはいえ、戦闘艦橋(C.I.C.)内のオペレーター士官たちから、粛々とした雰囲気が消え失せ、一気に熱を帯びた。

 慌ただしくキー操作やタッチパネル操作が始められる。

 T1に着弾しないということは、惑星の地表にすら落ちないということだ。再び、かなりの干渉を受けたということになる。


「通信アンテナは、こちらを向いているか?

 小惑星弾取り付けスラスター、噴射体充填、残り何%か?」

 と、これは副司令兼艦隊旗艦艦長のバンレートの確認である。

 原因究明はもういい。敵のなんらかの手段に依るものというのはこれで確定した。それより、今はリカバリを先行さるのだ。


「先程から始まった小惑星弾の自転は、スラスター噴射で止めました。通信アンテナ正常。こちらを向いています。全システム、制御下にあります」

「噴射体充填87%、4回の最大噴射が可能です」

「軌道計算終わりました。30分以内に2回、40分で不可逆点に達しますが、それまでなら3回の最大噴射を行うことで軌道修正は可能です」

 これは前回と同じである。


 総作戦司令ダコールが、さらに確認をする。

「結構。

 外れた軌道は、前回と同じか?」

肯定(アファーマティブ)

「なるほど」

 そう言ったダコールの口調には、相当の含みがあった。


「今回のコース逸脱の原因は観測できたか?」

 ダコールの確認に、各士官が答える。

「前回と同じく、月軌道上のデブリに衝突した模様。小惑星弾搭載カメラからの映像、確認しました。岩石と衝突しています」

「小惑星弾の飛行ログを走査しましたが、衝突の前後で周囲に金属反応の接近を認めず」

「自軍以外の推進剤、スラスター噴射体の痕跡、なし(ネガティブ)

「5弾目の進路、異常を認めず」

「小惑星弾搭載レーダーでの事前探知、なし(ネガティブ)

 宇宙船の存在を認めず。

 センサーの死角を突くイレギュラーな軌道で、岩石が単体で小惑星回廊に侵入し衝突したものとしか思えませんが、2回連続ともとなると……」


「となると……」

 と呟いたダコールは腕組みをして、顎を引いた。だが、視線は落ちることなく、あちこちにディスプレイに走っている。

「まさか……。

 瞬間物質転送機!?」

 ダコールの声に応えたバンレートの声は、完全に上ずっていた。

 無理もない。


 技術レベルとして、瞬間物質転送機はワープ機関を備えた宇宙戦艦の上を行く。艦の外の空間をワープさせるのだから、当然のことだ。

 つまり、この星の住人は恒星間艦隊を持ち、宇宙を所狭しと飛び回っていなければ可怪しいのだ。


 とはいえ、この星のエネルギー収支は、そこまで高度な文明レベルのものではないし、いくら探索してもこの太陽系の他の惑星に文明の痕跡はない。

 また、母星から派遣されている全方面軍にわたって、そこまで高度な文明との接触報告はない。

 ということは、極めて高度な擬装がされていて、この星自体がダコールの受け持つ方面軍をおびき寄せる罠ということまで疑わねばならない。


「艦隊出動はあまりに危険です。

 なんらかの罠が、艦隊を待ち受けているかもしれません」

 バンレートの焦った声に、ダコールは頷いて応じる。

 だが、実はダコール自身、答えが見いだせないでいた。


「そうだろうな、とは思う。

 だが、そうだとすると、なぜ1弾目で10万人もの住民を我々は殺させたのだ?

 人命自体を擬装に使うなど、作戦としてあまりに杜撰ではないのか?」

「瞬間物質転送機を持つほどの文明圏であれば、クローンなどの技術で人造生命を偽装することは可能なのでは?」

 バンレートは質問に質問で返した。


「クローンと言えど人間だ。

 感情含め、その機能にオリジナルとの差はない。我が星でも、クローンが作成可能になってすぐ、クローン人権法案が施行されているではないか。

 だが、囮という前提に立つならば、例えば感情という機能を殺したクローンであれば、他星の文化では問題ないとなる可能性はあるだろう。

 だとしても……。

 それにしてもクローンを10万体、欺瞞のためだけに作ったということになるぞ?

 さすがに荒唐無稽ではないか……」

「たしかに、それはそうなのですが……。

 ただ、どうにも論理的判断ができないのも事実でして……」

 ダコールとバンレートが頭を悩ませていると、士官からの声が飛んだ。


「総作戦司令殿」

「なにか?」

「意見具申。

 時間が過ぎてしまいます。

 すぐにでも、進路を戻すためのスラスター噴射の是非の判断を」

 ダコールはそれを聞いて、一瞬ばつの悪そうな顔になった。


「すまない。

 ……そうだな。

 とりあえずは相手の出方を見るという、既定路線に変更はない。

 小惑星弾の進路戻せ。

 コードT1P4への攻撃計画を続行」

「了解」

 複数の声で返答があり、再び士官たちが慌ただしくキー操作やタッチパネル操作を始める。


「軌道計算完了。

 進路復帰の再計算データ、オペレータ間で共有します」

「一連のスラスター噴射に、許可を求めます」

「許可する」

 バンレートの声に、士官たちの指が再び素早く動いた。


「了解。

 スラスター噴射まで3、2、1、噴射、1、2、3、4、噴射停止。

 1分後に、再度最大噴射します!」

こちら側は、指揮系統が確立しているので、シンプルですね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 軍人なので会話で同じやり取りが繰り返されるのはともかく、ナレーションも前回と同一の内容だと既視感がすごい…
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