道中
「・・・、そ、そう。」(なんか変な地雷踏んだかも。)
流石のマリアも種族を超えてくると話に頭の回転が追いつかないようだ。普段こんな呑気で抜けているような感じだが、これでも女王である。
頭の回転はかなり早く、その分違うことにも使える。主に脱走だが・・・。よく毎回思いつくのやら、そのおかげで大臣達は何故か陛下の姿を見ていないのに王城を抜け出した事ことに気づくようになってしまったがどこに行ったのかまではわからない。
「ええ、そうなんです。」
珍しくサンディは自分のことを語り始めたがマリアはその話を聞く気は一切ないようだ。マリア自身サンディの過去など気にしていない、たまにおちょくるために持ち出しているが。
「過去はどうでも良いの。今見るべきは未来でしょ、サンディ。過去は変えられないの。ならこれからを変えるしかないの。だからサンディも作ったら?」
「そういうことは致しておりません。」
「まぁ、良いわ。買い物に行きましょう。もうすぐお金も到着するし」
「また、王城に頼み込んだのですか?」
マリアは王城の国庫からいつも捕まえにくる大臣ではなく別の女性の大臣に頼みお金を取り寄せたみたいだ。大臣達も城下で使う分にはお金が回るからと黙認している。ここ最近では陛下予算と言う予算があるみたいだ。
「私のお金よ自由にして良いじゃないの」
「正確には民たちの税金ですが。」
「ちゃんとこの国のために回してるわ、だから国外商人の店では買わないわ。たまに買うときは自分のお金よ」
国外商人とは主に他国の商人であり、一応マキシア王国の許可を得て。マキシア国内で商店を営んでいる者である。そこには外国の珍味や名産品などこの国の者が見慣れないものが数多く並ぶとして賑わいを見せているがマリアはその立場ゆえにあまり出入りはしていないしかし海を渡った先にある国と洋服など可愛いものが外国はたくさんあるだから自分で稼いだお金で買っている。
マリアは裏で女性による女性のための女性服の専門店を経営している。
the only one あなたの為に
と言う店である。マキシア王国に4店舗存在しており。その人気は高い少し価格帯は高めだが、陛下プロデュースという事もあり売れ行き好調である。
国から出るお給料に比べたらちっぽけなもんだが服を買うには困らない程度には稼いでいる。
「自分の店で買えば良いのでは?」
「それは買うとは言わないわ。そもそも新製品が私に送られてくるし、可愛いから良いけど」
そんなことを話しているとマリアは立ち上がり窓を開ける。そしてそこに箱が飛んでくる。
その光景はこの国では日常でもないがある程度見られる光景である。
「うん入ってるわね」
箱を開け中身を確認する。
そこには銀貨20枚と金貨20枚が入った袋がある。
銀貨一枚千円相当。金貨一枚1万円相当である。金貨と言えど金が入っているわけではなく刻印魔法でそう見せているだけである。これを発行するには王都の造幣局でのみ使用できる特殊な薬剤がいるのだが。
この国の物価的には宿代が銀貨8枚程度である。朝飯をつけたら10枚程度になるが。
それを全部サンディに押し付ける。
「自分で持ち歩けばいかがですか陛下」
「私が持ち歩いたらそれこそ、うしろか誘拐されるわよ。」
きゃーと危機感のない悲鳴をあげ胸を守る。
「私なら殺されても問題ないと。そうおっしゃるのですか?」
ひゃーと危機感のある悲鳴が出る。
「サンディなら殺されないわよ、サンディに勝てるのなんて指の数ほども居ないのに。」
「死角から狙われたら私も傷を負いますよ」
あのサンディでさえ死角からの攻撃には対応出来ないようだ。そんなものにまで対応できたら最強だが。
「命までは取られないと」
「はい。そうでずね。そもそも陛下も私に勝てるうちの1人ですよね」
「3対7でしょそれは勝てるじゃない」
「実際私に土を付けましたよね」
その声に怒りなど滲んでいないがその気迫は怒りを通り越している。ある意味悟っている。
「怒ってる?」
恐る恐る聞くとサンディは優しい声で答える。
「怒っていません。土を付けられたのはまだ、私が未熟であるが為です。いつか10対0にすれば良いだけです。」
その声は普通なら恐怖心が湧くことはないが、今日のサンディはその笑顔だけで殺されたと錯覚するほど凶悪な笑顔である。
「サンディ、そんな怖い顔すると誰も寄り付かなくなるよ〜。だから将希殿にも逃げられたのじゃん?」
現に騎士団から脱退というよりマリアに引き抜かれた感じの将希の話を持ち出す。
一応まだ将希の立場的には陛下直轄騎士団所属として陛下の元へ出向扱いとなっているが。
「別に将希殿が居てもいなくても私のやることは変わりません。今も陛下の子守りをしているのでは?」
「サンディ〜、私だって怒るわよ。」
「子守りの事ですか?」
「そうよ、私の子守りは他の侍女たちがやってくれるわ」
「結局やる人が違うだけではありませんか・・・」
子守り係は居ると・・・それを偉そうに言っているマリアにサンディはいつも通りやれやれと首を振る。偉そうにと言ってもこの国の女王なんだが、こんな腑抜けてても。
「将希殿の料理美味しいわよ、リナちゃんのスイーツも絶品だけど。」
「わかりました。ではそろそろ買い物に行きましょう」
「逃げたわね」
目をキラキラに輝かせて追及するがそれに引っかかるようなバカではない。
「何の話でしょうか?」
「ふーんそんな態度取るんだ〜」
ニヤッと嫌になりそうな笑みを浮かべると、マリアは立ち上がる。
「そのことは後で聴かせてもらうわ」
「では私も陛下の婿殿選びを手伝いましょう。」
「私もサンディのお相手選んでおいたから。」
「余計なお世話です。」
「そっくりそのまま返すわ。」
お互いの目を睨んだまま歩き出す。
「目を離したら負けですね」
「ならこうするしかないわね」
「やめてッ!」
サンディの指がマリアの脇腹に襲いかかる。
「あははっ!あははは、や、やめてサンディ!お願いっ!あはは」
その後騎士団本部にはマリアの笑い声が響き、マリアが騎士団本部を出た頃には立てないほど疲れていたと言われている。
●
その後サンディから解放されたマリアは伝書魔法で王城から馬車を呼び寄せそれに乗り店舗街近くまで乗っていた。
「ふん、」
マリアは不機嫌なのか馬車に乗ってからも顔には不機嫌と書いてある。
「陛下、先ほどはすみませんでした」
「謝ってるような気がしない」
実際サンディは謝る気などなく不機嫌なマリアを宥める為に行っているに過ぎない。
「わかりました。スイーツリナのお菓子券増やしましょう。」
「まだたんない」
それで良いのかと思ったが胸に仕舞う。これ以上不機嫌になられても面倒だと言うサンディらしい考えの下、次の一手に出る。
「少し手合わせをしましょう」
「手加減は?」
「真剣です」
「受けて立つ」
「返り討ちにしますよ陛下。」
話の切れ間を探っていた馭者がそう声をかける。
「陛下、サンディ様。間も無く店舗街に着きます。」
「わかった。ここで止めてもらえる?」
「かしこまりました。」
馭者は馬を止め馬車を降り3段程度の足場を出す。
「失礼します。どうぞ」
ドアを開ける慣れた手つきで陛下に手を差し出す。
「あら、優しい」
「ありがたきお言葉。」
陛下が降りた後にサンディも降りるがそこに手はなかった。
「私には?」
「サンディ様なら自分で降りられるかと」
「ほんと嫌なの同期ってだよねゲイル」
サンディと馭者のゲイルには面識があるのかフランクに話している。
「私は店舗街の馬車留場で待っています。用があれば私宛に伝書魔法で知らせてください。すぐに駆けつけます。」
「ありがとう。多分2〜3時間買い物してるからその間自由行動でいいわ」
「わかりました。失礼します。」
ゲイルは馬車に乗り込み馬に合図を出すと馬達はゆっくりと歩き出す。タイヤの回転する音と馬の蹄の少しずつズレて回転する音が聞こえる。
「お昼どうする?」
離れていくのを確認したマリアが呑気な声をだす。
閑話まだまだ続きます。
いつリベリシュに向かうのだろうな・・・笑




