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将希の異世界日誌  作者: 雄太
第1.5部 その後
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出発会

 


 そして2日後サンディ一行の出発会が行われている。いつもであれば酒に酒と酒が振る舞われ酒びまくるが今日は私服の陛下も参加しているためビールは1人2杯に制限された。


 そして今日も陛下は大臣達から『ちゃんとしたドレスを着てください陛下、いくら身内の非公開の行事でも騎士団の前に出るのですからおねがします。陛下』


 そう嘆願されたが無視した。


『陛下、どうか、ここは。』

「でもね〜騎士団本部って歩きにくわよね」


 騎士団本部には階段も段差もそして物がごちゃごちゃに置かれているが・・・


『で、では丈の短い物としましょう』


 大臣もどうにかしてドレスを着させたいのか今日は引かない。


「だけど横幅あると動きにくいわよね、あそこ狭いし謁見の前ぐらいあるなら着ても良いけど」


『では、謁見の間でやりましょう』

「それだとサンディ達に悪いわ」


 失言になりかけたがどうにか軌道修正をかける。


「そう言うことね。また後で」


 大臣は膝をつき頭を抱えて見てないが既に陛下は手を振りその場を後にする。


『では陛下こうし、・・・?陛下?どちらへ。また逃げましたか!陛下!』


 ●


 そして今の陛下はフレッシュオレンジのワンピースに黒のベルトがくびれを強調させる、ラフな服装である。手にはベージュのバックを持っていた。


「そんな事が・・・良く大臣、怒らなかったわね」


 控室で陛下とお茶しているサンディが言う。他の女性団員は後ろで縮こまっている。


「そうなの、うるさかったわよ」


 マリアはそう言うと勝手にサンディと対面するような形で席に座る。


「私が上座では?」

「今日の主役は私では?」


「そうね、それでうるさかったの、あの大臣達って陛下の証が王冠とドレスだと思ってるみたいなの」


「そうですか」


 サンディとしてはなんとも返答に困る。ここではいそうですねとは言えないし、拒否もしにくい。


「あの、ドレス重いのよね、それにきついし、履きにくいし侍女たち5人がかり着させられるって言った感じね。あの王冠も重いし、無駄に宝石詰め込んでるから、あんな非実用的なものなんで作ったのかしらね」


 陛下にしか言えない苦情であるがために流石のサンディも曖昧に頷く。


「サンディもそう思うでしょ?」

「それを私がどう答えろと?」

「そんもの捨てれば良い、じゃないの?」


 あまり似ていないがサンディの真似をしている。


「それは私の真似、ですか?。」

「それ以外何があるの?」


 肩をすくめる。マリアのその顔は笑顔であった。


「あっ。そうだみんなも縮こまらなくて良いから。別に王冠とドレス着けてないし」


「それを陛下自らが言ってしまって良いのですかね」


「私は陛下よだから問題無し」


 そう胸を張り、もっと緩めて良いわよと言うがそれでも目の前にいるのはこの国のトップ陛下である。そこまでの効果はない。


「そうだ、私は今日は置物よ、ただ座ってるだけよ」


「・・・やっと見つけましたぞ陛下」


 マリアの背中か跳ね、振り返ると鬼の形相で息を切らせている大臣が居た。


「だ・・・大臣。良い朝ね、ごぎげんよう」


 マリアは急いで立ち上がりサンディを盾にす。


「もうお昼ですよ!。サンディ殿、陛下を貸してください。ドレスは諦めましたが少しお説教が必要です」


 大臣にそう言われたサンディは迷うことなく。マリアの後ろに回り込む。


「わかりました。しかし時間までには檻にでも戻してください」


 大臣はそれを頷く。


「私は猛獣かなにかですか?」


 マリアの驚きの声が飛びサンディはそのまま大臣に陛下を手渡す。


「私は陛下よ、さわらないで」

「逃げますよね。別に怒ってはません。怒ってはません。しかし少し度が過ぎるのではと思いお話をしたいと思いました。」


「皆のもの!私を助けて!陛下が誘拐された!」


 現場を見ていたものは動こうともしなかったが、その声で先ほど追い出されていた騎士団の男どもがすぐに現れた。それに続くようにワジルやギムレットも出てきたがサンディの視線を感じると素通りしてサンディの元に来る。


「また陛下が脱走ですか」

「脱走ですか。言い得て妙ですな」

「ギムレット、ワジルお前達警備は?」

「戻るであります」


 ギムレットは敬礼し、くるりと回転し帰る。


「私は一応出席者なのですが?」

「そうだったな忘れてた」


「サンディ!私の部下でしょ助けて!」


 まだそこで大臣から逃げようと必死に喚いているマリアだが、その思惑も芳しくない。


「陛下、誠に申し訳ありません。陛下の未来を心配するのが家臣の役目です。陛下がこの先困らないように指導しなければなりません。大変心苦しいですが、今回はおとなしく連行されてください。」


「サンディ〜・・・・」


 マリアは大臣に連れて行かれ扉が静かに重く閉められた。


「団長いいんですか?あれで」

「たまには。躾をしなければなりません。」


 珍しくサンディがワジルに敬語を使うこう言う時はろくなことがない。


「そ、そうですか、わかりました」


 ワジルも長年の付き合いでわかっているのかそれ以上突くことはしない。


 ●


 そして誘拐ではなく・・お説教のために連れて行かれたマリアはそのお身体に傷ひとつなく無事大臣から解放されたが解放の喜びを味わえぬままサンディ達の出発式に連れてこられた。


「解放されたと思ったのに・・・」

「陛下いい加減にしてください。」

「私に手を出したらどうなると思う?」


 私は王様よ、と言った表情で言う。実際王様だが。それがタチが悪いところである。


「既にサンディ様からの許可は頂いております。お身体に傷をつけないのであれば拘束なども可能です。」


「・・そ・」


 マリアは俯き、聞こえないほどにか細い声がボソボソと聞こえる。


「陛下?」

「・・・くすん、そ、そんなつもりではなかったのです」


「・・・はい?」


 大臣が陛下に問いかけるとマリアは少し声を張るようにして答えるがそれは大臣にとって要領を得ないものであった。


 しかしその瞬間室内の空気が変わる。先ほどまでのここは見守ろうと言った空気から陛下を泣かすなど死罪に当たると言った殺気に満ち始める。


「へ、陛下、大丈夫ですか?」


 マリアと目があったサンディはやれやれと首を振る。お忘れだろうか?この騎士団は陛下にのみ忠誠を誓う陛下直轄騎士団である。陛下とサンディ、たまにギムレット以外の指示は基本聞かない。


 サンディは団長職よりもマリアの忠臣といった側面が強いので殺気など出していないが、陛下に忠誠を誓っている騎士団員は陛下を泣かせた大臣に殺気を浴びせる今にでも実力行使が出来そうだかその場にサンディが居るので表立っては動けないが、ゆっくりと大臣が囲まれていく。


「お。お前達、な、何をする気だ・・・」


「陛下を泣かせた者。それは死罪に値する。」

「我らは陛下にのみ忠誠を誓う。陛下を泣かせる者は首斬りがお似合いだ。」


 こう言った事がな大好きなサムウェルとカールがここぞとばかりにりでしゃばってくる。


 団長が出てこない為にまだ手を出したりしていないが今にでも手が出そうだ。そしてその他大勢の団員が大臣包囲網を作る。


「団長申し訳ありません私も陛下に忠誠を誓った身。参加します。」

「ワジルもか、あれでも大臣だ怪我だけはさせるな」


 後処理が面倒だととサンディは言う。


「承知」


 団長が黙認しワジルが出てきた事で団員達の殺気がより膨れ上がる。


「よし、お前ら怪我だけはさせるな。これでも大臣だ。」


 団長からの許可が出て団員達は包囲網をゆっくりと萎める。


「サンディ!お前!またか!」


 大臣は叫び、団員の1人が抜け上から見ると歯抜けのようになっている。いや、ランドルト環と言った方が適正であろう。


「さて。このまま押し込むか」


 ワジルが大臣の前に立つとその大柄な体格と大臣の細い背丈がより対比されている。


「ど、どうする気だ」


 ジリジリとワジルは前に出ていくと大臣はランドルト環の隙間にじわりじわり押し込まれていく。


 そしてそこから排出された。


 団員達はガラポンのハズレ玉のような目で大臣が追い出されるのを見ていた。


「サンディ!またか!」


 と聞こえだが既に扉は閉められていた。


「傷はつけておりません」

「心以外には、な」


 大臣を追い出したと報告に来たワジルをいつも通り愛想悪く心を刺す。


「では団長そろそろ出発会を始めます。ワジルも準備を、あと三馬鹿の2人にも言わないとな。」


 団長は控室に向かう。

 ギムレットは三馬鹿の2人など呼びたくもないとぼやきながら三馬鹿を呼ぶ。


「サムウェル!ブラッドリー!こい」


「ブラットリーです!」


 お馴染みのやりとりをしながら呼ばれた2人は歩いてくる。が2人はおやつを食べながらであった。


「エリシアは用事があるとか言って不参加か、まぁ、明日にはくるだろ代理として何故かブラムがいたがどうでも良いや。仕事は増やすもんじゃない減らすもんだだが減らない悲しいな・・・」


「何1人でぶつぶつ言ってんだギムレット。お前おかしいぞ。」


 まだそこで居座っていたサンディがしれっと近づくがギムレットが気づく様子はない。


「なぜ私たちの仕事は減らないんでしょうか?」


 ギムレットの独り言が何もない空間に消える。


「さぁな?それが仕事だからな。始まりはあっても終わりはない。」


 仕事は始まりはあっても終わりはない・・・何それ悲しい。ここに将希殿が居たら『そりゃ、社畜って言うんだけ』って言うんだろうな。こないだ言ってた。社畜つまり会社の家畜、あはは、あははは、はぁ、・・・


「そうなんですで・・・・」


 最初、何事もないようにスルーしたギムレットだったがふとその声に聞き覚えがあると脳が主張する。そして恐る恐る振り返るとそこに居たのは・・・


「だ、団長、いつからそこに?」


 ギムレットのことを不審者同然と言った表情で眺めている団長であった。


「ついさっきだ。」

「そうですか。」


 ギムレットは羞恥からか顔を真っ赤にしその場を後にする。


「もうやるのか」

「は、はいぃ!」


 と裏返り気味言うとすぐに消える。


「なんかあったのか?」


女王が誘拐されるって・・・

よくもまぁ毎回毎回脱獄することやら・・・


忘れてたこいつら陛下直轄騎士団である陛下にのみ忠誠を誓う馬鹿どもの集まりだと。

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