80話 訓練その2
「ギャャャャャヤ!痛い!痛い!ギブギブ!」
座り込んだ将希の背中をギムレットが日々のサンディへの恨み辛みなど全てを押し込めおもっきり押し込むそうすると将希の体はまだ半分も曲がっていないが痛いと叫ぶ。
「将希殿、動かないで」
左右に揺れ暴れ逃げ出そうとする将希の身体を押さえつける。
「嫌ャヤ!」
「あはは」
それを見ていたサンディは将希の叫びを聞き大笑いしている。
「笑うな!ギャャヤ!」
先ほどより少し曲がりは下が未だ斜め45°には至らない。
「硬いですね」
ギムレットは将希の曲がらない柔軟を見て呟く。
「硬くて悪いな、ふん」
「では、柔軟は諦め打ち込みでも始めますか」
「休憩」
「はぁ・・・」
将希はギムレットのため息を肯定と受け取りベタに腰をさすりながら地面に腰を下ろすが痛みはない。なぜならそれ以上精神的な喜びがある。目の前でマリアの柔軟を見ているという喜びが身体中を支配している。
「マリアさんのあれ、すごい柔らかいですねなんであんなに柔らかいんだろう不思議だな」
それが聞こえたギムレットは直ぐに思考をやめる。これ以上考えたら将希と同類のクズになると直感で感じやめた。
マリアの服の隙間から白い肌とおへそがチラリと見え、その上の球体もが想像で補われる。それを想像してしまったギムレットは目を瞑る。
ちなみに将希の想像はもっとひどく下着姿で柔軟をしているマリアとサンディが居た。何故そんなことになっていのか不明だがそんな気色悪い想像の海に潜っている。
「ほら、見てみてよ」
「殺されますよ」
「目、瞑ったままだと楽園は見えないよ」
「将希殿休憩は終わりです」
ギムレットは将希を抱え上げると剣を持たせる。
「え、ちょっとやばくない?俺客人怪我したらどうするの?」
「陛下と団長の許可はあります。」
「殺さなければなんでも結構!」
「痩せるために頑張って!将希!」
「はい!頑張ります!みててください。俺がこんなやつ倒して副団長になってやる」
経緯はどうであれ将希はやる気になったしかしそのやる気はすぐに失われることとなる。もし通りダイヤモンドのように砕け散った。
ギムレットは将希の柔軟に諦めをつけてメイド部隊と同じく練習用の刃を潰した剣を渡し、一方的な打ち込みを始める。
「いつでもどうぞ」
「挑発か?」
5mぐらい離れたところでお互い間合いを図る。
「来ないなら私が行きますが?」
「いや、それは結構。」
「しかしもう遅い」
話してある隙にギムレットの姿が消えたと思ったら目の前に現れた油断していたまさきはギムレットが振り下ろした剣を刃元ギリギリで受け取れるがそれでも勢いは止めきれず膝が曲がる。
「足を曲げない!」
「無理だ!」
「陛下の方をご覧ください。あれを見ればある種の訓練になるでしょう。
訓練とはただ、闇雲に剣を振り回したり走ったり、腹筋や筋トレをすれば良いという話ではありません。
時に自分より強い人の剣術を真似る事も関連の一つです。相手の動きを真似しそれを取り合えることで本来の自分の形が生まれたす。これを疎かにするものは大成しないとも言えるでしょう。」
ギムレットはそう言うと剣に込めた力を緩め、サンディ達の打ち込み稽古の方に視線を向けると・・・
サンディが深く斬り込むとマリアはそれを冷静に一歩引き捌く。しかしもう少し痩せていればここから返してただろう。
やはり少し太り始めたようだ
「サンディ、もっと手抜いてくれない?」
「それは無理ですね。陛下のお腹が出始めたのが原因では?いつもであればそこから切り返して来るのに今日は動かないのか斬ってきませんね」
2人は剣を噛ませ合いながらまだまだ油断があると言った感じで話をしている。
そして剣が弾き合うと剣がぶつかる甲高い音は聴こえるがその剣が見えない。サンディ達はその場から一歩も動かず、身体だけはそこにあるのだから腕と剣だけが将希の目に捉えられる事はなかったがギムレットの目にはばっちりと映っているが全てを受け止め切れる自信はないようだ。
「うわーなんだよあれ」
「この国で団長とサシで戦えるのは両手の指の数ほどもいません。」
「そのうち1人がギムレット?」
「ええ、そうです、あと王立騎士団のブラムにエリシアも多少であれば持ちますな、ワジルも自分の戦いができれば互角程度にはできますね。まぁこれはあくまで一対一の話ですが。軍隊と単独ではまた違いますので」
この間合いを嫌ったサンディは剣を弾き距離を取る。
「あら?逃げるの?」
「少し躾が必要ですね陛下。」
「あらよく言ってくれるわね、」
地面が抉れると同時に金属の嫌な音が響く。
「さすが現役、速いわね」
「少し痩せてはいかがですか?動きが鈍ってますよ」
話し声は聞こえるがかなりの速さで金属音が響く。
「あれ、刃潰してあるよね」
「ええ、ありますよ、でもあれが当たったら真っ黒に腫れ上がりますね。陛下の白い陶器のようなお肌が勿体無い」
ギムレットは真っ黒になった陛下を見たことがあるのか知っているふうにいう。
そうだ!スキル発動!
『はぁ、スキル身体強化、動体視力向上を作動。確認しました』
将希の脳みそに久しぶりに機械音が聞こえると先ほどまで火花しか見えていなかった剣と剣のぶつかり合いが鮮明に見えてくる。
「おぉ、見える」
「身体機能を向上させましたか」
ギムレットの視線は先ほどから団長の方に固定されているが、耳は将希の方に向いていたようだ。
「なんでわかるの?」
「ワジルから聞きました。最初、団長に土を付けたと聞いた時こんなヒョロガリがと思いましたが、土を付けた理由が分かりましたね。」
一時期騎士団ないでは団長に土をつけたのは身長3m近くある大男だと噂が流れた、そいつは団長の首を掴み持ち上げそのまま『降参』と言わせたと真偽不明の情報がそこら中に溢れた。
「スキルってみんな持ってるもんなの?」
「人によりますね。スキルとは努力値と言えるものなので。
その人が如何に努力したかがスキルとして現れることが多いと学者入っています。私は学者ではないので知りませんが。
噂で聞いた話では陛下はスキル統治者というものを所有していると聞いたことがあります。
私は身体機能向上と5年先限定の未来予知があります。」
「未来予知?」
はあ?と言ったら表情で将希は問い返す。
するとギムレットは頷くが将希が思うような答えでらなかったら。
「ええ、しかしほとんど役に立ちませんよ。例えば5年後私はどこにいるか大体それは外れる事はありません。しかしその道中は大きく変わります。」
ギムレットの予知は一年に一回大きな出来事を予知するものである。
例えば5年後死ぬのであればその死因がわかる事はありません。死ぬ事がわかっても何が原因で死ぬのかはわからない。そう言った感じです。」
使い所に困るスキルですが、先の情報を知れるだけまだマシです。と付け加える。
「ふーん俺にはわかんねぇや」
「利点が一つだけ大きな出来事は予知が変わる可能性が低いので便利です。例えば5年後敵国が攻め込んでくると予知できた時はほとんどの確率で当たりました。世界条約締結後はそのような事はありませんが。」
「こういうことを聞くのはマナー違反ですが将希殿はどのようなスキルを?」
マナー違反だとわかっているがそれでもギムレットは聞いてくる。
将希としても別に話さない理由もないので素直に話している。
「ふん?おれ、俺ねよくわからんけど、この間スキル調理がスキル食神ってのに進化したとか頭の中で言われた。」
将希自身スキルなど全くわかっていない。地球ではチートやら転生ものを読み耽っていたが実際にこんな場面に想像するとは思っていなかった。
「スキルが進化ですか、昔聞いた事があります。努力をした分だけだ己に還元されると。」
「ふーん、そんなこともあるんだな」
「そのスキルの効果ってわかります?」
「忘れた」
「踏み込みすぎました失礼」
ギムレットは何を勘違いしたのか頭を下げる。
「うん?あぁ、気にしないつーの」
「そうですか。では稽古を再開しましょう」
「え、」
と、いつになく低く冷たい声が出るがギムレットは気にせず、将希から距離を取る。
今回、将希は騎士団の訓練ていたよりギムレットととの実戦主体の訓練に参加ですね。
ギムレット曰く
時に人の真似をすることが己を強くする。
時に恥ずかしさよりも強欲さを見せつけるべきである。
時に誰もが想像しないような一手にこそ負けが潜む。
と後世のギムレットの弟子達は語る。
その中でも一番弟子として将希の名前が残っている。




