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将希の異世界日誌  作者: 雄太
パルク編
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くまちゃん



 お昼過ぎトイレから出てきた将希の顔はやつれにやつれ、見るに堪えない顔になっていた。


 サンディは腹を抱えて大笑いしていた、


「まさか、最大の敵が水とは、あはは、食べ物の前に水に慣れないとですね、あはは、大変ですね、まぁ、特に我が国は山々から流れ出す湧水が豊富です、その湧き水も美味しいですけど、やはり慣れないとですね、そうしないと料理どころではない、王城では井戸水を使っていた為に気づかなかったんですね、あはは」


「チクショー、病み上がりなのに、俺は今日はもう、休む、明日朝イチでここの調理場は見せろ」


「ええ、それは構いませんが、何か手筈でも?、」


「明日になってのお楽しみだ、また、明日な、」


 そう手を上げ去っていく、




 しかしすぐに出て行ったドアから戻ってくる。


「なぁ、どっから来たんだけ?あはは……」


「左、突き当たりを右にいって二つ目が将希殿のお部屋です」


「ありがとな、サンディ、じゃ今度こそおやすみ」


 そう、手を上げ去っていく、


「なんなんでしょうね?」


 サンディはそう呟き、温くなってる紅茶に砂糖を追加する。


「甘い、」


 ●


 翌日早朝、将希は昨日の宣言通り調理場に姿を現した、そこには既に待ち構えていたようにサンディが居眠りをしている。


「ん、これは待ち構えていたのか?夜食でも食べてそのままなのか、」


 調理台の上には何か食べたのか大きめの器とコップが空で置かれている。なんか、独断と偏見だけどサンディさんって太るとか言ってこう言うの厳格に管理してそうな気がしだけど、やっぱり疲れた時は食べたくなるのかな、俺にはわからん。


「起こした方が良いのか、だけどね、寝ている女の子を触るのはちょっと、いや、かなり不味いような気がする、」


「?お客様、なぜこちらに」


 ドアから熊の耳を付けた女の子が1人入ってくる、その女の子はあからさまに警戒を強める。


「サンディ様に何を」

「へにゅ〜へにゃ、ん、まさき?なんで?まぁ、良いか」


 サンディは寝言を呟き、すぐに首が横に倒れる、


「お。おれは何もしてない、誤解だ」

「サンディ様に聞けば誤解かどうかはっきりするかと」


「サンディ様、起きてください、太りますよ」


「えっ、太る?」


 サンディは起こされ最初に目に入れたのは自分が深夜に忍び込み、拝借した夜食の器であった。


「おはようクマリア、あー将希まで?なんで」


「なんでではありません、また忍び込んで夜食ですか、もう少し警備を強化しなければ、そもそもサンディ様、昨日の件、どうなさるんですか」


「今からお願い、ね、そうだ、将希殿ご紹介が遅れました、彼女はクマリア、まぁ、熊の獣人です、細かい事は今度暇があったら、一生ないと思いますが、でクマリアはここの調理番をしています、昨日の食事も彼女が作りました、」


「クマリアです、一応私がこの城の料理番をしております」


 そう言いスカートの両端を少し持ち上げる。


「あ、どうも」


 なんで俺はこんな返事しか出来ないんだ!チクショー!


「クマリア、彼は昨日言った通り異世界の旅人だ、この世界とは別の世界から来た、だから君は彼にこの世界の料理を教えて、彼は君に彼の世界の料理を教えるwin-winだろ」


「そうですね、サンディ様は私が作った料理では満足できない、そう聞こえますが、今は気にしません、言ったところで無駄ですし、しかし異世界の料理と言うものは気になります」


「わかってるじゃない、そうと決まれば早速お願いね、私は食堂で待ってるからね」


 サンディは早々に退散し、食堂に向かう、

 一方残されたクマリアと将希の間には寒風が吹き込む。


「では、まずは、パンから作りましょうかこちらへ、」


 クマリアは奥の倉庫に向かう、それにただ単について行く。


「結構材料はあるんだな、」


「はい、小麦粉にベリー、柑橘系、お肉や魚は市場から仕入れています、」


「へー、ここまであるならなんでもいけるな」


「こちらに調味料系があります、その隣が瓶ものとなっています。」


 将希は調味料の蓋を開け手のひらに数滴垂らし、匂いを嗅ぎ舐める。


「しょぱい、なんだこれ醤油、じゃない、でもかなり近いな、」


「そちらは10年もの魚醤となっています、味的には深みが増して香り高い最高級品です一本数万マキシアはします、そしてその隣のが今年物のし魚醤です、」


「こっちもいいか?」

「先ほど許可も得ずに勝手に舐めておきながらよくそんなこと言えますね」

「それは良いって事か?」

「お好きにどうぞまずは味を知らないと料理はできませんからね、」


「違う、10年ものとはこっちの方が新しい匂いがする、」


「違いがわかりますか、サンディ様は胃袋に入れば同じだと言いうるさいのです」

「聞こえているよ!」


 サンディの野次が食堂に響く、


「あれは無視してください、言い返しても無駄です」

「み。耳はやめてくれ、こそばゆい」


 クマリアはつま先立ちになり耳元でそう、囁く。耳はダメ〜〜


「聞こえたらまたうるさいですよ、」


 小悪魔っぽく、白い人差し指を口元に当てる。


「そうか、まぁ、良いや、一回全部味見した方が良いな、それと器具も見ときたいな、」


 直視できねぇ、何これ女神?輝きがすごい、俺、死ぬ?かわいい、だが勘違いしてはダメ、漫画で知った、こう言う時女の子は本命じゃないからそう言うことをやるって俺知ってる。そもそもさっき会ったばかりだしね、


「私は朝食の用意があるので失礼します、朝食が終わりましたら市場に食材を仕入れに行きますので」


「うん、あぁ、わかった、じゃ、俺は味見してますか」




 食品庫の物色を再開する。手に取ったピンのラベルを見て、違和感を覚える。


「そう言えば、この文字、何で読めるんだ?」


 ラベルには英語の筆記体をより崩した様な字が書いてある、将希の目にはそれが読める、


「考えても無駄だな一生答えは出ないな、そもそも何で俺が異世界に来たのかも謎なのにこんなちっぽけな事気にしたら負けだな」


 そう、1人誰もいない食品庫を物色しながら呟く。


「これは、砂糖と塩かこれも試してみるか」


 瓶の蓋を2つとも開け、指に少しつけて舐める。


「ん、味は少し日本の砂糖より甘くはない、塩も少し違う感じがする、製造法の違いか?ここも調べる必要ありか」


 面倒だな、だけど砂糖も塩もこれもこれでありっていう感じだな、


「ん、なんだこの瓶。開けるか」


 将希の前には膝丈ほどある大きな瓶が床に置かれている


 将希は見てないがラベルにはブロリアの幼体の頭部漬けと書かれている。


「……う、マジかよ」


 開けてすぐ閉めた、そして自分の記憶から見たことを消した。



人物紹介 クマリア 


サンディからはくまちゃんと呼ばれる。


年齢22

BWH 非公開。身長158cm

熊の亜人独特のクマ耳を待つ、

耳は聴力たけ、森の中では2km先の足音が聴こえる。


通常時はスカート丈の長いオレンジのラインが入ったメイド服を着用、露出は少なめである。これは貴族共の餌となる事を防ぐ役目がある。


パルク城の料理人を務める。城で出す野菜はくまちゃんが仕入れた一級品。肉類は専属冒険者が狩ってきたものを仕入れている。


熊の亜人である事から戦闘力は強い冒険者ランクB程度の奴らならタイマンでは負けることはない。

その他にも出し入れ可能の爪などを持つ。

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