確保と選択
「大臣!陛下発見!」
ドアを開ける大声で大臣を呼ぶ、そうすると空いた窓からドスッという何かが落ちた音がする。
「陛下!サンディ様陛下は?」
「先ほど窓から出て行きました。」
「・・・はい?・・・サンディ様ちょっと失礼」
大臣は断りを入れサンディの部屋に入るとロープが柱に繋がれ、それは窓に続いている。
「陛下!政務が!」
大臣は急いで窓から身を乗り出し地面を見ると逃げていくマリアの姿が目に焼きつく。力無く床に崩れ落ちる。
「はぁ・・・サンディ様、居たのであれば捕まえておいてください・・・」
「捕まえて、捕まえられますか?」
「騎士団長殿が何をおっしゃられる。あははご冗談を捕まえておいてください。」
その眼はマジであった。大臣はふらっと立ち上がると陛下を捕まえるのは諦めたのかサンディの部屋から出ていく。
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その後逃げに逃げまくった陛下は別の大臣に無事確保され政務の為に監禁された。
捕まり連行される際も喚いていた。
「助けて!女王が捕まった!」
「陛下いい加減にしてください。政務が終わったら自由時間です。私だってこんなことしたくありませんが決裁をできるのは陛下1人のみです」
「なら、お前が押せば良いじゃん」
「陛下それは公文書偽造です。我が国の法律で10年以上の投獄となります。国王であるマリア様が我が国の法律を破ってはなりません。」
「この正論大臣」
と不貞腐れている。
「正論で結構!」
大臣を連れていかれる女王を見たメイド部隊も他の大臣達も何も言わなかった。連れていかれる陛下をただ見ていた。
ついでにその場にはサンディもいた。
「サンディ助けて!」
「自業自得です。政務を終わらせてください」
「薄情者!」
その声だけが王城に響く。
●
サンディは大臣により陛下が政務室に連れて行かれたのを見送り食堂に向かい騎士団長権限でリナちゃんの出来たてスイーツを食べて自室に戻ってきた。
「さて、仕事をしますか、」
先ほどの鍵と査察許可証を金庫に入れてテーブルに着く。そこには陛下直轄騎士団の全団員の名前が役職順で書かれた紙がある。1番上にはマリアの手書きで4人選んでね!と書かれている
「陛下も変なところに手が回りますね。それを政務に向けてもらえば大臣達は無駄なストレスを抱えずに済むと思うのですが」
普段の行いからマリアはかなり抜けていると思われがちだが、やる事はやってやらないとから絶対にやらない。そこらへんの癖がはっきりしている。大臣達は常日頃からどの道マリアがやらなそうな事は最初から大臣達で処理しマリアが好きそうな仕事を多く回すようにしている。煩く喚き散らされるより仕事してもらった方がまだマシが大臣とサンディの間では共通の認識である。
そんなことを考えているサンディはまずワジルに丸をつける。
「ワジルは確定。向こうでのガイド役と荷物係としてだけじゃなくて情報源としても使えるし、そのほかに確か。三馬鹿もリベリシュ生まれだったはず騎士団に入って10年近く経ってるから心配だけどサムウェルとブラットリーも連れて行くとしてあと1人・・・」
ワジル、サムウェル、ブラットリーに丸をつけ、悩み出す。カールを連れて行くとうるさいので最初から選択肢にすら入れない。三馬鹿を揃えてしまうと面倒極まりない。2人ならまだ誰かが見張っていればどうにかなるが。
「あまり、顔の売れている部隊長は連れて行きたくないわね、副隊長じゃ少し心許ないしギムレットには王都に居て欲しいし、エリシア借りようか、エリシアなら実務も戦力も申し分ないし普段王都にいるから顔も売れてない。それに話し相手は必要だしね。、」
そう言いサンディは欄外にエリシアの名前を書き足す。
サンディであれば1人でも大丈夫なのだがやはり寂しいものはある。
「こっちはこれでいいわね、エリシアはブラムに許可取ればいいか、外堀詰めておかないと。」
すぐさまサンディはブラムにつけてエリシアを貸せと伝書魔法を送る。
「騎士団の経費ねー、ギムレットにやらせてもいいんだけどね、毎回可哀想だしやめといてあげるか。」
サンディは次にパルクとリベリシュでかかった飲食代などの経費をまとめる。
「飲んだわねー」
騎士団全体で飲食費 200万マキシア
そらに大酒飲み大会の酒 70万マキシア、
加えて慰謝料に修繕費 50万マキシア
サンディのお土産代(賄賂)10万マキシア
ギムレットのスカウト報酬 15万マキシア
「なんで金取るのかしら?、そもそもこれ私が見なかったら勝手に経費に入れ込んでたのね、まぁ、私もしてるし文句言えないけど。
えっと締めて345万マキシアね、350にしておこと。」
サンディはナチュラルに、迷惑費として水増しした。何故こんな水増しが通るか疑問に思うだろ。賄賂である。王城の会計担当に賄賂を渡しているのである。今回買ったお土産もこれに含まれる。ついでにほかの大臣達やマリアにも賄賂とは言わないで渡しているが・・・
「陛下の政務室にまで行かないといけないか、呼び出したらマリアなんてすぐに逃げるしね。」
サンディは立ち上がり、ついでに先ほどの紙もファイルに入れて持っていく。
〜〜〜〜〜〜〜
「陛下失礼します」
サンディはいつものおふざけモードではなく一部下としての態度でマリアが監禁されている政務室に入るとすぐに中に居たちょび髭大臣が気づき、出てくる。
「サンディ様、今現在陛下はあのような状態です」
大臣の示す先には・・・・
「・・・もうやだ、影武者にでも任せれば良くない?、ねぇ?聞こえてる・・・」
マリアは嫌だと譫言を呟きテーブルに倒れている。
「あらら、完全にダウンですか・・・」
「まだ始めて20分もしていないのに・・・この状態です。どうしましょう」
「飴と鞭では?」
「それが1番ですかね、リナ様のスイーツでも頼ますか、」
「スイーツ⁉︎」
倒れていたマリアが直ぐに起き上がる
「すごい嗅覚ですな、では、陛下政務の方を」
「え、」
マリアはありえないほど低い声で自分の失敗を悟る。大臣は立ち上がった陛下を座らせ直ぐにペンを握らす。
「あぁ、そう言えば、サンディ様は何しにここへ?」
「そうだ、これ届けに来たの。」
サンディは持ってきたファイルを見せる。
「例の偽造事件ですか」
「よく知っているわね」
「先ほど陛下が呟いていましたので。そこまでして仕事をしたくないのかと思いましたが事実だったんだですね。」
「これ、置いて行くわ、あとは陛下にやらせといて」
サンディはテーブルの上にファイル置くとその手がガチっと幻聴が聞こえるほどに掴まれる。
「やだ!サンディ助けて!手伝って!」
「では、政務のできる婿殿をみつけては如何でしょう。世継ぎの懸念や陛下の政務も多少は減るかと思いますが」
「私はサンディが良いの!」
「私は間に合ってます。」
サンディはいつも通り拒否し、これ以上面倒ごとになる前に部屋を後にする。
「助けて!」
「では、私はおやつの時間にしますか。」
「私も連れて行って!」
ドアが開きマリアが飛び出てくる。その後ろを大臣がため息をつき、ついてくる。
「はぁ、わかりました。陛下。政務は後でやらせます。」
「良いんですか?大臣」
トレードマークのちょび髭を少し触る。
「どうせ、このまま政務をやらせたところで効率が悪いですし、スイーツを餌に走らせるべきかと。」
「私は馬か?」
「そうだったのでは?」
サンディは少し笑いながら。楽しんでいるがその後ろに立つ大臣は、全く笑ってもいない。
「そう。サンディが私の事どう思ってるのかわかった」
「陛下そのような時間があるのならば政務を」
「リナちゃんのところに行こう!」
マリアは早く逃げたいのか急いで大臣から逃げる。
捕まった経緯についてはまた後日。
お楽しみに!
マリアは無事確保政務室に連れて行くれながら監禁状態で政務につくこととなる。
サンディはいつものことと割り切っている様子だ。




