勇者の凱旋 当日
翌日早朝。まだ日が登る前少し空が明くなり夜と朝が同居し始めてた頃、団長は普段通り目を覚ます。流石の団長も鎧で寝ているはずなく、適当な短パンと半袖シャツであった。普段は鎧に隠され秘匿される部分も今日はボディラインとして浮かび上がる。
起きてすぐ毎日のルーティン通り窓を開けて窓に併設された特注の水道を捻り、顔を洗う。そして今日はいつになく最悪な寝覚めに1日が始まることを呪う。
「勇者など死ねばいい」
早朝の爽やかな空気とは裏腹に団長の周りだけ空気は濁る。朝一が辛ければその日1日辛くなる。至言である。逆説的に言やー朝一が楽しければその日1日が楽ーーしくなんないな。仕事は辛い。特に勇者関連は三馬鹿を相手にするよりも辛いとサンディは思う。
着替えた団長は日課のランニングにへと向かうのであった。
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一通り団長は日課のランニング&ストレッチを行ったあと汗を流し、今は大広間で団員達に指示を出していた。
「さて、私はやりたくないが今日の仕事は勇者の護衛だ。お前ら皆こう思ってるだろ『なんでもっと早く言わないんだって』
だろうな言うわけない、お前達先に言ったら100%逃げる算段付けるだろう、そこだけは見上げたものだ。
で前説はここまで。護衛の配置を決めた
我々陛下直轄騎士団は第30番隊まだある。一部隊5人だから150人か
15番隊までの部隊長と15番隊から30番隊までの副隊長は勇者の護衛に務める。残りの面々とギムレットは沿道警備に回す。沿道警備の責任はギムレットに一任する。事件事故は起こさないように。
15番隊は部隊長、副隊長共に居なくなるがまぁ良いだろう。
で沿道警備の方は王都警備隊と王立騎士団と合同になる予定だ、それでだ今から王都警備隊が中庭で配置の説明をするそうだ、そこには王立騎士団も参加している。だからお前らも今すぐ行け、ギムレット、あとは頼むこいつら連れて行ってやれ。」
「わかりました団長、じゃお前ら!着いてこい」
ギムレットは先導していくがその後ろにはかなりのスペースが開いてからポツポツと縦長になりながら着いていく。
「よし行ったな、ぐだぐだ時間がかかる奴らだ、例のものを配れギームレットはいないのか、代わりにワジル、お前が配れ」
ワジルは一瞬だがやれやれと言った表情を見せて例の資料を団員と団長に渡す。
「薄っぺらい紙だな、身も蓋もない、底はあるがな」
団長は三馬鹿がいないことにご満悦なかの誰にも受けなくても気にしない。
「団長、時間が迫ってます。」
ワジルが先を促す。
「そうだな、どこを見ろって言ってもこの一枚だけか、まぁ良いや。1番上、我々の配置図だ。我々は勇者の乗るオープンタイプの馬車?それの前を先導する形で歩く、何故我々が歩かないとかって文句言ってやったが責任者には逃げられた。」
団長は愚痴9割と言った感じでぐだぐだ文句を言う。
「まぁ、うるさいから諦めたがな。私とワジルが1番前だ、一応交互に並ぶ予定だ、その時は完全武装でやる剣も帯剣しとけ」
団長は薄い紙っぺらの真ん中を見る。
「まぁ、時間的には1時間だ国営墓地までは約3キロ、普通に歩けば大丈夫だろう。そもそもスピードは我々に一任されたからなわざと牛歩で言っても良いんだが、あの勇者の仲間だと思われたくない、さっさと行く。」
「以上。あとは10時まで好きにしてろ、そのあとは我々は外で待機する予定だ。」
団長はそれだけ言うとすぐに帰る。
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王宮 王座の前では勇者の凱旋を祝う儀式が行われている。
部屋はいつも以上に無駄な置き物が飾られ参列者の行く手をわざと阻むように王立騎士団員が配置されている。
陛下の前に跪く金髪の無駄に豪華な鎧を見に纏った男、その両脇には勇者の仲間と思われる青髪と薄い赤髪の鼻につきそうな出るとこ出て引くとこ引く巨乳が同じように跪く。その後ろにはモブの仲間達が4人並ぶ。
如何にも団長が嫌がりそうな勇者と如何にも男たらしない女。スキンシップが激しく勘違いして来た可哀想な奴らを一蹴しどん底に落とす、そんな幻が見えるほど嫌な奴らであった。もしかしたら、何か救いようがあるのかもしれないが、なさそうだ。今もなんで俺が跪かないといけないんだと言った表情で床の石を睨みつける。
「勇者 ディグラス・カドリエル。面をあげよ」
陛下はそう声をかけると、勇者は先ほどまでの嫌なそうな顔を消した。そして出て来たのは勇者スマイルであった。
「ハッ!」
「先代勇者の命日との事もあり、勇者としての使命で多忙な其方を呼び出した事をここに謝罪する。」
陛下は少しだが頭を下げる。
「いえ、そんなことはありません。先代勇者は慕うべき存在です。先代勇者の功績を忘れぬために私が呼ばれるであれば名誉なことです。私はまだ先代勇者に遠く及びません。」
営業勇者は日常的に見せるクソ野郎の仕草ではなく、詐欺師がよくやるような好青年を印象づける
「そうであるか、日々邁進せよ」
「有難きお言葉感謝します。勇者という名に恥じぬよう、努力します。」
もしここにサンディが居たら大騒動になっていただろう、このわずかな時でさえ、人によって反応は大きく異なる。貴族共の顔はウホウホと言った表情だが、警備についている騎士団員は腐った目で、またか、この狐がと言った表情で警護を続ける。
サンディであれば黙ってろと言い一昨年みたいな事が起きていただろだから今年は外されたと言われている。
「そして、勇者パーティよ、其方らにも感謝する、勇者を支え、世界に平和をもたらす存在としてこれからも邁進を怠らぬように。」
陛下はそう言うとゆっくり勇者に近づき何かを渡してから玉座に戻る。
「では勇者パーティの皆さん外の方に馬車が用意してあります。移動をお願いします。」
どこからともなく男の声が聞こえてくると王立騎士団団長と副団長が勇者パーティを先導して外に出ていく。
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11時を過ぎて来た頃。外ではすでにサンディら陛下直轄騎士団と王立騎士団の合同部隊が勇者が乗る予定の馬車の前後で待機している。
すでに周辺一帯を勇者を一目見ようと集まった群衆が取り囲み沿道ではそこら中で警備隊とのイザコザが起き始めている。
「私は最終確認をしてくる」
「わかりました、団長」
団長はワジルにそう言い残し、折り畳まれたほのかにあたたかい紙を鎧の内側から取り出し。何かを確認し始める。
「えーと、8人か」
団長は並んでいる部下の数を数える。
「これで足りなかったら問題だかな」
ちゃんと自分の部下は居たようだ。確認した団長は馬車を一周し足回りを確認する。
「馭者も馬車も、問題なし。後ろは私の仕事じゃないしいいや、」
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団長が列の先頭に戻ると王城からは空砲が響く。その直後王立騎士団第38音楽隊の盛大なる管楽器の音色がここにまで底から響いてくる。
王城の堅牢で重厚な扉がゆっくりと開くと勇者が姿を見せ音楽はより一層勇者を歓迎するように華やかになり、その音色に背中を押されるように勇者は王城をゆっくりと後にする。
その姿はサンディも見ているが、・・・・。
「俺は勇者だッ!!」
やっと勇者の登場となります。威勢がいいのか叫んでの登場となりました!
も〜しかしたらこの先国営墓地と王立墓地が混在してるかも。その時は直します(自分でもどっちにしたか覚えてない。あはは)




