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将希の異世界日誌  作者: 雄太
勇者編
66/139

第65話 将希の人体実験

 


 翌日 


 明日の勇者の凱旋のリハーサルをしているマリアの姿が王宮の外にあった。


 外では今まさに歓迎用のセッティングでてんやわんやの状態となっている。ステージの設置、順路の説明、一般市民の観衆対策、警備の配置、勇者の動線と陛下の動線、勇者のパレードコースの警備、国営墓地での警護、などなど全騎士団の担当が一堂に揃い対策をしている。


 マリアは普段通りに明るく振る舞っているが、全て感情を隠し通せるわけでは無い。


 そこにサンディがやって来て業務連絡のみ話をしてまたサンディは自分の仕事に仕事に戻っていく。


「勇者は9時にここに到着でいいのね」


 サンディは手元の紙を見ながらそういう、普段であればずっと紙を見ている事などないが、それが今の2人の雰囲気を表している。


「ええ、8時に城壁が開いて、そこから30分観衆の前を練り歩くっていう感じになるわね」


 マリアは居心地が悪いのか少しソワソワしている。


「そのあと、謁見の間に通して一通り、やって11時過ぎにここを出発でいいのね」


 サンディはやはり闇から目を離すことなくペンで文字を書いていく。


「ええ、11時より早くなることないから」


「そこからここを直進して国営墓地に向かうって事でいいのよね」


 サンディは地図に時間と線を書き足していく。


「そう。それで大丈夫」

「私たちは勇者の乗るオープンカーの前を歩いて護衛すればいいのね、後ろは王立騎士団が担当すると、それで沿道は王都警備の警備隊に任せて私たちは前を警戒ってことだよね。」


 サンディは地図の余白に書き足す。


「そういう感じでお願い」


「警護に出せるのは20人ぐらいね、一応半分は部隊長にするから、


 ギムレットとワジルの2人で2列作ってその後ろを部隊長達がまとめる、足りないところは適当にやるけど、私は指揮所で監視にあたる。で。王宮内の警備は全て王立騎士団の管轄ってことで問題ない?」


「問題ありません」


 マリアの声とは違う低い声が背後から聞こえる。王立騎士団団長ブラムがやってくる、その後ろには副団長の姿も見える。


「我々の仕事は王宮内の護衛だ勇者の後追いなどしたく無いがな、」

「団長、そういう言い方はやめた方がよろしいかと」


 エリシアがブラムの言動を嗜める。


「まぁ、いい。我々は我々のやることをするのみだ」


「では、私は失礼する。」


 サンディはそう言い立ち去る。



「陛下。つかぬことをお聞きしますが、サンディと仲違いでもしましたか?」


「・・・そう、なのかもね、」


「なら、今すぐサンディの背中を追ってくだい。無礼を承知です処罰は甘んじて受けます。」


 ブラムは処罰を承知の上マリアの背後に周り、その背中を押し出す。


「サンディ!待って」


 サンディはそのの声に振り返る、とまた前を向きゆっくりと歩く。


「たまにはいいことをしますね団長」


 2人の背中を見ながらエリシアが言う。


「俺は何もしてない、あの2人の仲が悪いのはいい気分では無いだけだ。」


「いつもは口数少なくて無愛想だってよく言われるのに」


 2人はそんなことを言っているとゾンビ、いやギムレットがフラフラになりながら歩いてくる。


「あれ?うちの団長は?」

「うお!・・・驚かさないでくれ、ギムレット、久しぶりだな。顔色悪いなどうした?また道に落ちてた物でも拾い食いしたか?あはは、」


「してない!。劇物を食べさせられただけだ。あんなもん2度と食べない!」


 いつになく必死なギムレットの覇気にブラムはたじろぐ。


「団長は?」


「そこ、陛下と仲直り中」

「ならやめとくか、」


 まだ顔色の悪いギムレットは医務室に向かう。


「ギムレットさん大丈夫ですかね」


 それをみていたエリシアは呟く。



 ●


 その少し前、あるお二人は・・・


「・・・ま、不味い・・ウゥ・・・・グブ」


 ギムレットは口に手を当てゴミ箱を取り上げるとそこには虹が横ではなく下にドロっと流れる。


「うーん流石に合わなかったか・・・」

「将希さん、流石にこの組み合わせは不味いかと、」


「うーん、合うと思ったけどなーダメか」


 将希は顎に手を当てる。最初から失敗すると思っていたようだ、だが絶対失敗するとわかっていても作ってみたら以外に上手いかもと言う無駄な欲望に駆られ、不幸でも無いが被害者が出てしまった。


「わ・・・わかって・・たらな・・・や、やめてください」


 全部虹となり吐き出したギムレットは顔を青ざめながら起き上がるがまぁ顔色は悪い。


「一品目で、ハァハァ・・・こんなものが出るとは思いませんでした。将希殿」


 力を振り絞り最後の遺言を残す。


「じゃ。リナ、次は君が作ってみて、あはは」


 その、リナはギムレットの脇でギムレットよりかは顔色はいいが青ざめている。


「わ、わかりました」


 リナは立ち上がり奥に向かう、姿が見えなくなると将希の目が真っ黒く光る。その目はリナが座っていた椅子に注がれる。将希はそのまだ暖かい椅子に腰掛ける。


「あったかい。」

「・・・気持ち悪い」


 ギムレットはいまだに口を押さえている?。ように見える。


 キッチンから早速何か混ぜているのかカラカラからカラカラと言う小気味良い音が響いてくる。


 甘い香りがキッチンからここまで漂う。


「美味そうな匂いがする」

「・・・・・たとえ・・美味くても、い、今は無理です。」


「だろうな、悪かった次は合いそうなのでやってみるわ」


「っ!、俺はもう食いません。食いたくない。手が、手が食べるのを拒否する。俺の手が料理と言う料理全てを拒否します」


 ギムレットは譫言のように呟く相当先ほどの料理と呼ぶには烏滸がましいほどの劇物を食べさせられたギムレットは意識が遠のく自覚があり意識を保とうと必死だ。


「そ、そう、大変だな・・・」


 多少の罪悪感に飲まれ始めている将希だがどうでもいい使命感が湧き立ち罪悪をねじ伏せる。


 そんなぐだぐだな会話をしているうちにリナちゃんがリナちゃん手作り料理を持ってくる。


「将希さ〜ん、どうぞ」


 リナはそう言い2人の中心に皿を置く、


「甘いものが食べたかったので、シュークリームです。」


 リナはそう言い自分の分を口に運ぶ。


「シュークリーム。美味そう。」


 将希はリナお手製手作りお菓子を頬張る。


「美味い!美味い!心が浄化される〜」


 将希は頬が落ちるのほどの美味しさに衝撃を受けている、一方、テーブルに伏せているギムレットは目を覚ます気配はない。


「食べないならもらおうかなー」


 ギリギリギムレットに届かないような声で断りを入れ起きる前にしれっと拝借する。


「美味い!美味い、何千個でも食える。」

「ありがとうとございます将希さん。これ団長さんにも好評なんです!」


 将希の目が死ぬ。


「俺2番目?」

「いえ、私の実家がリベリシュでスイーツ店をやっててそこの1番人気がこれなんです。」


「行きたかった!そんな美味い店があるなんて誰も言ってくれなかった!チクショ!」


「まぁまぁ大丈夫ですよ将希さん、私が作れるものであればたまに作りますよ、それに食堂で出してますので」


 将希の目が輝きを取り戻す。

 食べ物の悪魔は己の心の中にいる。



「え?もう食堂に入っているの?」


 俺知らない。聴かされてない。俺同期。


「ええ、明後日から週に2回。食堂で提供します。一回試食を出してみたら騎士の方々やメイドさんたち、それに陛下にも好評でして。種類は多くは作れないので日替わりにはなりますけど。」


「うわー大出世じゃん、俺なんてここでギムレット殺害してるのに」

「生きてますよ、まだ、」


 リナは起きあがろうとしてるギムレットにもシュークリームを差し出す。


「私はまだ死んでない、」


 ギムレットはゾンビのように起き上がる。

 そしてそのシュークリームを勝ち誇ったかのように天に上げる。


「いひひ、将希殿に・・・勝ち、ました。私も一回試食しました。ロールケーキを、団長と陛下と一緒にあはははあははは!残念でしたね」


「そんな真っ青な顔して言うことか?それ。」


 勝手な自慢だろ。食べなくてもいいよ!・・・・・・・俺も食べたかったよ!なんで呼んでくれないんだよ!サンディさん!俺も呼べ!食べたかったよ!!


「言うことです!私は帰ります用事も済みましたし、そろそろ団長と明日の打ち合わせがあるので失礼します。うぅ、まだダメそう・・・だが行かないと殺される」


 ギムレットは団長の幻を見ながら無理やり歩きふらつきながらも出口に向かう。その手はシュークリームを握っている。


「ご大層なことだな団長の調教はすごいな。」


 その後も将希とリナの料理研究は続けられる。いつしか料理研究所と呼ばれ2人は弟子を抱えるようになった。


 

何事もきっかけが必要なんですね


ギムレットは可哀想に劇物を食べさせられて。



一部箇所で・・・と……の混在が確認しました。現在修正中です。


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