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将希の異世界日誌  作者: 雄太
勇者編
65/139

隠し部屋

 


 部屋に残ったサンディとマリアは今日の本題に入る。


 その本題とはパルク領主の警備費流用疑惑とリベリシュ領主の王家の封蝋偽造疑惑。


 今回の本題はどちらかと言えば後者だ。

 パルク領主の流用疑惑はここ最近警備の国家予算を減らされているため本当の話かもしれないとサンディが考え後日報告書の提出という事で決着。


「パルクの方はこの間の報告通り、報告書の提出でその後監査に入るってことにしたから」


 将希達が部屋を離れた事を確認してマリアは話し出す。


「ええ、パルクはそれでいいと思う本題はリベリシュの方ね。」


 サンディがそういうとマリアは立ち上がり壁のある部分に魔力を込め、押すと壁が回るように開く。



 マリアは何も言わずにそこに入っていく。

 サンディも立ち上がりその後を追う。

 真っ暗な通路を少し歩くと扉は勝手閉まり真っ暗になるとすぐ灯りがつく。



 煉瓦造りの隠し通路。人1人が横になって普通に歩けるほどの幅の石造りの通路はカタカタと靴の音が響く。その音は前からも後ろからも反響するようにずっと鳴り続ける。



 突き進むとT字路に突き当たる。マリアはそこを右に曲がる、サンディも同じように曲がると2本の螺旋階段が上まで続く。


 マリアは躊躇せず左の螺旋階段を選び、先ほどとはまた音の違う足音を鳴らしながら登っていく。



 ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。



 目が周り方向感覚を失うと思うほど周り上がると階段が終わりマリアはそのまま道なりに歩くとまた行き止まる。


 マリアはその壁を先ほどと同じように手を当て魔力を流し込むと扉が回転し陽の明かりが差し込む。


 そこは白を基調とされた部屋であり部屋一面を見渡しても扉が無い。窓はあるが曇りガラスで外は見えない。


「で、サンディここなら誰も来ないわ、本音で話せる」


 サンディは前にも来た事があるのか将希のようにキョロキョロする事なくいの一番に用意されているソファーに腰かける。


「だけどここメイド部隊にも秘密だから飲み物すら無いのよね。そこだけは不便だわ」


「結局ここ何の部屋なの?先代国王は一切説明してくれなかったけど、」


 珍しく不満を露わにするがサンディの納得する答えは得られない。


「さぁ?私も知らない。私も昔パパに連れて来られ、それ以降は入れてくれなかったの・・・」


 何か、隠してるように見えるけど、読めないわね。サンディの洞察力を持ってしても怪しい気配はあるがそれが何かまではわからないようだ。


「まぁ、いいわ、それでここに呼んだ理由は?何かあるのでしょう?」


 自分がここに呼ばれた理由。

 リベリシュでの王家の封蝋偽装疑惑の調査それについてという事まではサンディもわかっている。その先も薄っすらとだが見えている。


「サンディもわかってると思うけど王家の封蝋は 2つあるの ・・・・・これはお父様の遺言書」


 マリアは棚に魔力を流し込み棚の鍵を開け、その中から一枚の封筒を取り出す。棚にはまだ封筒が入っているがそれは出す様子はなく棚を閉じる。それをサンディに渡す。


「見て。」

「拝見します。」


『マリアへこの封筒の手紙を呼んでいるという事は私が死の淵を彷徨っているか死んだあと、という事だろ。この封筒は私が死亡又は死に等しい状態となったら封印魔法が解けるようになっている。ここには王家の秘密が全て書かれている。他にも何枚か封筒があると思うがそれも全て王家の秘密であったり、隠し資産など国家に必要な事が全て初代国王から代々引き継がれている。その内容は正当な理由なき場合他言無用である。


 まず私は正当な王位継承者では無い。


 血は繋がってはいるが、私は養子である。私の先代の国王夫妻は子宝に恵まれなかった、先代国王が40を超え世継ぎの不安が出てきた頃。当時王城でメイドとして働いていたシュリカと言う女性が居た。当時39歳を過ぎた国王は当時子供ができず不満を募らせており世話人として国王の寝室に出入りしていたシュリカを妊娠させてしまった。それに国王が気付いたのはシュリカが休暇を取りたいと言った後であった、シュリカはその後実家に半年帰省をし、そこで私を産んだ。その後王城の仕事に復帰し私を育てながら仕事をしていたある日、国王夫妻はこう、母に言った。『その子を私たちの養子にしてくれ』と母は最初反対したが徐々に王宮内では母に対する風当たりが強くなっていった根も葉もない噂が広まり仕事も満足にすることもできなくなり。私を育てる事すら困難となり母は1人、身を投げた。

 その後それを発見した王様はゆりかごから私を取り上げ、国王夫妻の子供と世間に公表した。


 シュリカの存在は王宮内から完全に消され、シュリカの家族には金が積まれ口封じをされた。私はその後国王から王位を譲られその時、私が血の繋がった養子だと聞かされた。』



「これが何?」


 サンディは手紙を読み終え顔を上げる。内容的にはサンディにとっては既に知っている事実でありこの内容は百も承知である。

 だからこそマリアが何故これを見せたのか不自然に思う。


「それ、気にならない?」

「母が1人、身を投げたってところ?」

「そう、普通なら子供と一緒に心中を図ると思わない?」


 その当時サンディもそれは考えてはいたが決定的な証拠はなく、胸の奥に閉まっていた。考えてみればマリアの疑問は妥当だが、その時の精神状態ではまた違う結論が出るのであろう。


「さぁね?、私は飛び降りようとは思った事ない、私にはその気持ちはわからない。それでマリアはなんでそんな事、聴いてくるの?聴くからには理由があるんでしよ?。」


 マリアが何を聴きたいのかサンディはわかっている、だからこそ今はまだ言わない。


「私はシュリカが自殺したと思ってない。」


 サンディの眼を真っ直ぐ見つめる。


「その理由は?」


「わからない。だからサンディに聴くの。」


「私はシュリカと言う女性が何者か知っている。だけど今のマリアには教えられない。」


 テーブルが思いっきり叩かれる。座っていたマリアは今にでも掴みかかりそうな勢いで立ち上がる。


「なんで!、・・・知ってるなら教えて!私のママかもしれないのに!サンディ!」


「・・・・私には契約があるの。」

「誰と何の?」

「言えない。」

 ゆっくりと首を振る。

「全て契約で言えないようになってる。その時が来るまで。」

「シュリカーーグュぅ!、・・・グハッ!」

「サンディ⁈」


 急に首を絞められ。椅子から転げ落ちる。

 首元を抑え、膝をつきどうにか起きあがろうとする。


「・・・こう・・いう事、もし契約が切れる前にシュリカの事を誰かに言おうとすれば首を絞め殺される。」

「誰がこんな事を・・・」

「私よ。私が自分で掛けたの。だからこの話はこれでおしまい。」


 サンディはそう言い強制的に話を終わらせる?。


 これは私が私に掛けた戒め、シュリカを助けられなかった私への罰。


 ●


 マリアはそれ以上シュリカについて聴く事はなかった。


 隠し部屋には殺伐とした空気がゆっくりとだが着実に流れている。



「・・・私を呼んだ理由はそれだけ?なら帰るわよ」


 花の入っていない花瓶の影が少し左に動く。

 サンディはそう言い立ちあがろうとするがマリアが止める。


「・・・・あと、2つの封蝋についても・・・話がある」


 マリアはサンディを座らせ立ち上がりまた、棚を開け、その中に入っている箱の中に厳重に保管された印璽を取り出す。

 それと同時に先ほどとは違う封筒を取り出す。


「サンディも知っていると思うけど、これが印璽の原本」


 マリアは丁寧に持ち上げサンディの前に置く。


 サンディは持参した白手袋を取り出し手に嵌める。


「うん。これからは私の魔力が感じられる。私の魔力が込められていない偽物がもう一本あるって事?」


「そう。この封筒に当時の国王が書き残した真実がある。」


 マリアは封筒を滑らすようにサンディの前に持っていく。


「また封筒?国王って何でこうも封筒が好きなのかしらね、」


 サンディは不満を露わをしながらも封筒の中身を読み始める。


『サンディの魔力は異質である。

 長年の研究の結果。サンディの魔力はサンディが生きている間永遠に効力を発揮する。これは善にも悪にもなり得る。だからこそ印璽を2本作ることにした。

 本物は一本しかないそう思わせる。そうすればサンディは原本が一個しかないと信じ込む。

 しかし、どの道サンディが偽物の印璽を見ればすぐわかるだろ、だがサンディはそれ以上に危険だ。

 4000年生きるエルフは悪そのものである。過去の悪事を証明する者となり得る。


 エルフの力は危険すぎる今すぐににでも絶滅させるべきだが、その力は強大である。

 エルフそのものの数は少ないが一人一人は騎士団長に匹敵する実力を兼ね備える。

 そしてその魔力は1人で軍に匹敵する。


 これは次世代への警告である。エルフに手を出すな自然に絶滅するのを待て。そうすれば合法的に我々人間は世界の王となる。』


 手紙を読み進めていくサンディの表情が険しくなる。

 読み終えたサンディは目を瞑り考える。


「・・・やはり、エドワードの仕業なのね、その当時から不審な点は多くあったわ、私は人間に干渉する気はなかったから放置していたけど。失敗だったわね。」


「その当時、私は要職を外される事が多くなった。それがこれなのね、エルフは危険、まぁ正しいと思うわ、人間は大人になってたった50年の視点でしか世界を見ていない、だけどエルフは500年1000年という長いスパンで世界を見ている人間にとっては5世代6世代重なるけどエルフは1人でそれを凌駕する。人間がエルフの事を危険視する理由はわかるわ。


 だからこそ印璽を2本作った、一本は私を惑わすために私の魔力を込めさせた。

 そうすれば本物はこれしか無いと思い込ませる事ができる。


 そして裏に隠した一本は不正な金を流すために作られた。いつかエルフに対抗するために、しかしその当時の理想は忘れられ、今では貴族の私服のために使われている。そんなところかしら?」


 サンディは目を開け目の前に女王を威圧する。


 そのサンディの読みは実際ほとんど当時の王が危惧して事と同じである。

 しかし間違っているところが一つだけある。


『人間は5世代6世代重なる』


 そこが間違っている、当時の国王はそこまで考えてもいなかった。ただ単にエルフの寿命が長いとゆっくりと着実に人間社会を破壊することを警戒していた。


 マリアが答えられず俯いていると。サンディは最初から答えなど期待していなかったように喋り出す。


「リベリシュの件は私が進めてあげる。どの道無知な市民から巻き上げる貴族、殺し甲斐がありそうね。それと今の王家が私の事をどう思ってるのか知らないけど私は敵意がない者に対しては敵対しない主義だから。手を取るなら取る。手を振り払うなら同じく振り払う。敵対するなら敵対する。


 リベリシュの件は私に一任してもらえらうから」


 サンディはそうマリアに言い、立ち上がると先ほど通って来た道ではなく、マリアの後ろの壁に魔力を込めると、扉が開きその中に入っていくと扉が閉まり駆動音が地鳴りのように体に響く。


「さて、私はどうするべきなのか」


 薄暗い箱の中でサンディは1人呟く。

 陽が差し込む暖かい部屋に残されたマリア。



先代国王は養子でって事は


先ケ代の国王が世話係を妊娠させてその子供が先代国王つまり隠し子。


サンディはそれを知っている。

マリアもそれを知っている。


だが誰も真実を知らない。

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