団長室
3人を追い出した後団長は誰もいなくなった団長室でミーシャから預かった手紙をじっくりと読む。テーブルの上には陛下マリアから預かった本物の王家の封蝋と各領主のサインが置いてある。そして何個かのファイルも置いてある。
「紙質は偽物、本物であればもっと上質な物ねこれは粗悪品。
インクも掠れている。このサインもリベリシュの領主のものではない、かなり似せて作っているけど手書きの特有の微妙なズレがない。
知っている者が見れば一眼で偽物とわかるだけど知らない市民にとったら王家、領主と言うならそれだけで信じるに値する物ね。それが偽物だとして本物を見たことない市民がもしこれを見て領主の遣いだと説明されたら信じる他ない。もし信用しなかったら下手したらその一族皆死刑なんてあり得るかもね、そこまで行かなくても投獄なんてザラ。
そもそも居酒屋に王家の封蝋が流れることは無いんだけどね、王家の封蝋は各地の領主とのやりとりにのみ使われるし、それ以外は各領主の封蝋が使われるし。そこからおかしい。」
団長は手元の見本と比べながら考える。
「税収の帳簿が合わなくなったのが10年前」
団長はファイルを開きリベリシュの財務状況の欄に指を当てる。
「10年より前は正確に報告されている。が以降ズレが出ている。この時から偽装した封蝋が使われているのであれば前王の関与も頭にいてなければならないけど前王と当時のリベリシュの領主はそこまでの縁は無し。
妙なのよね、これ、鑑定魔法かけても本物って出るのよね本物を元に作った偽物であれば偽物になるはずだけどこれは本物って事。そして陛下より預かった見本も本物。つまり2つ本物は存在する。
そしてこれも偽物と断言できる理由ね、
陛下より預かった見本からはわたしの魔力が感じられる、これ作ったの私だし。確かその時の権力者、当時の国王と女王、私が偽造不可能にするために少しずつ魔力を流し込んで作ったからねでもそれならばなぜ偽物は鑑定では本物と出て私の魔力が感じられないのか不思議ね。」
団長はファイルを投げるようにテーブルに置き立ち上がる。
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そしてようやく話は騎士団が王都に戻る直前に戻る。
カイブロスに全ての荷物を運び込み、出発の準備が整った、あとは団長が宿舎に残された可哀想な忘れ物がないか確認し、すぐにでも信号弾を放ちアレクがカイブロスを動かす手筈となっている。
団長か宿泊から出てきて青色の包みに入った信号弾を専用銃に詰め込み、引き金を引く、信号弾は重力に逆らい青い煙を上げながら上昇を続ける。
それを見たアレクはカイブロスに指示を出しその巨体がゆっくりと動い出す。
団長は落ちてきた信号弾の筒を回収してカイブロスに向かって歩き出すと後ろからハシゴが降ろされる。
「団長!」
誰が発したその声は団長には届いていないが団長は手を上げそれに答えると落ちてきたハシゴに手をかけ登っていく。
ハシゴを登り切った団長の前に立つギムレット。先ほどハシゴを落としたのはギムレットである。
「団長、おかえりなさいませ、いつも通り凛々しかったです。」
上がってきて早々ギムレットが団長を持ち上げにかかる。ゴマをすれば給料が上がるとでも思っているのだろうか。しかしそれは永遠に叶わぬ夢であることはギムレットの知っている。
「持ち上げなくていい、どうせ心にも思っていないだろ。なら要らん、不要だ、不必要だ、そんなもんゴミ箱に捨てろ」
相当イライラが溜まっているのかいつもなら、前者だけで済んでいるが今日はいつも以上に罵詈雑言が増える
「いつも以上に罵詈雑言の嵐ですね、お肌に悪いですーー・・・」
「何か言ったか?」
ギムレットが女性の大敵である暴言を言った瞬間レイピアが首筋を捉え。鉄の冷たい感触が神経を通じて脳へと刹那、伝わる。
「お前の肌もこれでツルツルにしてやろうか?」
レイピアをゆっくりと首筋に触れないように撫でていく。
「どうだ?ツルツルになった?」
団長はレイピアが触れている首筋を見る。
「ん?鳥肌が立っているようだな。これではツルツルとは言えないな。まぁ良い面倒だギムレットの1匹や2匹簡単に調教できる。」
その声にはいつも以上の気迫が込められてギムレットの鎧の下は外からは見えないが湿り始めている。
「余計なことは言わぬように、」
団長はレイピアを鞘に戻し外に向かう。
「悪かったな、引き留めて」
団長は出る直前振り返り先ほどの声とは想像がつかないほど可愛いらしく、釘を刺す。
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ギムレットを躾けた後サンディはデッキに呼んでいた将希の元へ向かう。
「将希殿」
「どうしたんですか?サンディさんそんな改まって?」
将希はサンディの言葉に違和感を覚えたのか少し丁寧な口調になる。
「将希殿とのお付き合いもここまでです。」




