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将希の異世界日誌  作者: 雄太
リベリシュ編
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サンディの後悔 中編

「3!」


 ギムレットが叫ぶと群衆もカエルのように叫び出す。

『『3!!』』

「2!」

『『2!』』

「1!」

『『1ッ!!』』


「開始だ!!!」


 群衆と野次馬の歓声と罵声が入り混じった叫び声が会場を支配する。


 その声と共にウエイターが1人一づつ置いていく。


 置かれる前に3人はビール掻っ攫って飲み干しジョッキをテーブルに叩きつける。

 叩きつけた瞬間観客からの歓声が沸きあがる。


「まずは一杯!3人はまだ飲んでもいないと言う表情だ!もっと持ってこい!酒だッ!!」


 その声と共にウエイターが今度は台車に乗せどんどん3人の前に置来まくると3人はビールの水面以外どこも見ずに一心不乱ににジョッキを空にしまくる。


 ギムレットは部下に作らせた臨時解説席に座りマイクをスタンドに設置する。


「実況は私、副団長ギムレット・リクスそして、

 解説は前回大会を制覇し殿堂入りした2番隊隊長ワジルです。大会制覇の秘訣は?ワジルさん」


「飲む!飲む!飲む〜!ただそれだけでだ!それ以外は負けだ!」


 まだ飲んでもいないワジルだが場の空気に飲まれたようだ。


「まだ酒すら飲んでいないのにもう酔っているんですか・・・」


 そして一つの声がマイクに乗りそれをギムレットが拾う。


「そして今つぶやいたのは臨時解説員として解説に臨む将希殿です。将希殿はお酒は飲まれますか?」


「嗜む程度ですよー、ここに出るほどは飲みませんよ」


 そんな飲んだら死ぬって。すごいね、人たち


「この人達が大酒飲みと断定しましたね、団長の視線が怖い・・・今もほら睨んでる。」


 酒を飲みながら団長の視線が将希を射抜く。会場の熱気が一気に萎むがすぐ盛り返す。


「さて、途中経過ですかカールは今現在4杯、カブラが4杯飲みきり次のジョッキに手をつけ始めたところそして本命団長は5杯目のジョッキを飲み干しテーブルに叩きつける。そしてすぐさま次のジョッキを獲物として見た!その視線だけでジョッキが割れそうだ〜!カールが少し遅れているように見えますがどうですかワジルさん」


「カールも馬鹿ですからね、勝てもしない勝負に乗り。だけどたまに勝つのがこのカールという漢だと思いますぜ、」


 ワジルはそう解説する。カールの賭け癖はいつもの事だと。


「それでは将希殿、いつも三馬鹿と仲良くしていますが普段のカールはどうですか?」


 ギムレットはこの三馬鹿と将希を合わせ四馬鹿と裏では呼んでいるが封印した。


「うーん、見ている限りそこまで飲んでる印象はないかな、そろそろ限界が近そうな気がする。噛ませ犬感が否めないですね。」


 前々から仕組んでいたのか将希もそれ相応の解説をしている。酒飲み大会に出たことないと思うが?


「では。カールはもうすぐにでも脱落すると考えていると」


「ええ、そうですね下手したらもう限界でやめたい気分じゃ無いですかね。」


 将希の言う通りカールの目はもう酒なんか見たくないと言う目でビールの水面を見つめジョッキを握る手の握力が弱くなる。


「そうだ説明してなかったリタイアする時はお手元にあるジョッキ用の蓋を今飲んでいるジョッキに乗せてくださいそうしたらリタイアが認められます。又ジョッキに5分以上手をつけない場合もリタイア。そのほか我々が危険と判断したらリタイアとなります。」



 ギムレットがそう言い切るとすぐさまカールは蓋をジョッキに叩きつけるように乗せる。


 カールにとっては願ってもないチャンスである。ギムレットのリタイアという甘い言葉に飲まれすくざまリタイアを宣言。


「おっ!ここでカールがリタイア!」

「今のはギムレットの誘導にまんまと乗りましたね」

「そうですね、辛い時にリタイアできるって言われたらそりゃすぐリタイアしますよ」


 ワジル、将希の不満が飛ぶそして会場からも不満の嵐が渦巻く。


「おい!吐くまで飲めや!」

「チキン野郎!」

「ギムレット!テメー、普通吐かせるまでリタイアはなしだ!」

「せこい誘導だ!ヤラセだやり直せ!ギムレット!」


 時々、ギムレットに向かってゴミが投げつけられるがギムレットは全て切り捨てる。


「リタイアは正式なルールです。たとえそれが誘導であろうと、最後に選択したのはカール本人であり。ここにカール以外の意思は入っていません。」


 うるさい野次馬を上から目線でピシャリとシャットアウトする。


「もしそれ以上文句を言うようでしたら退場にします。なおその場合賭け金は戻りませんのでご注意を。」


 その声で会場内は冷や水を浴びせたように静かになる。とある声が鮮明に聞こえる。


「情けないな〜カール」


 出場者席から1人の声が聞こえるが本人に言い返す余裕はないようだ。

 そもそも飲みながらカブラはカールに対して小言を永遠といっていたようだ。


「相手選手に対する妨害行為も認められません。カブラ選手。」


 それに気づいていたが黙認していたギムレットは今更ルールを増やす。


「わかったよ、口なら良いんだろ」

「ええ、言葉であれば」


 カブラとギムレット、少し解釈が違うようだ。なんの解釈が違うのか知りたくはないが。


「さて気を取り直して」


 ギムレットは先ほどまでの本気の口調から実況用の砕けた口調に様変わりする。


「団長が今赤コップに手をつけました!10杯目の赤コップに手を伸ばす!」


 団長は3人がリタイアだとか騒いでいる間飲み続け。カブラとの差を3に伸ばす。

 そして団長を9杯目を飲み終え、コップにぐるりと赤いテープが巻かれたコップを手に取る。


「これを飲み終えたらプラス5ポイント入ります!通常コップは1点この赤コップはポーナスポイント5点です。


 現在のポイントは

 カブラ選手7点

 団長はまだ赤コップを飲み切っていないので9点となります。」


「解説のワジルさん赤コップどう思いますか?」


 ギムレットは用事していた名前入りの赤コップをワジルに手渡す。


「懐かしいですな。殿堂入りなどなければ私もあっち側にいたと思いますが、そんなことは愚痴は置いといて。去年私は団長に勝って2連覇を果たし殿堂入りし今ここに解説として参加してます。」


 ワジルはそれを受け取り懐かしそうに思い出を呟く。


「ではさぞかし団長は悔しいと言うところでしょうか?」


「そうだと思いますよ、今まで絶対に負ける事がないと陰で言われ続けた団長が実質初めて敗北を喫したのがこの大酒飲み大会です、そのせいもあり今年は絶対に勝とうと意気込んでいるのでしょう。」


「去年1杯差で勝ちましたがその理由は?」


「うーん、今思えば心理戦ですね。飲んでいる間にも心理戦は始まっています。急いで飲んだら相手はこう思います。このペースで飲んで大丈夫なのな自分もペースを上げた方がいいのではと。そうして自分もペースを上げることでペースを乱され本来飲めるはずでも飲めなくなります。そのおかげで私は勝ちました。」


「そうですか、では去年の戦法は?」


 ギムレットがそうぶっ込んできて。ワジルは少し悩み団長の方を見て決断する。


「・・・企業秘密ですがちょっとだけ

 去年、私はわざと最初の3杯をハイペースで飲みました、そうすれば団長は先ほど言ったことを考えるはずだと、たとえ考えなくても一瞬でも考える間を開かせる事ができる。そしてその一瞬ですが団長が考えたのでその瞬間団長を引き離しました。最後は追い上げがきつかったですがその一瞬の駆け引きが勝敗を決めたと言うことですね。」


「では将希殿これを」


 ギムレットはマイクを将希に手渡す。


「ん?これは?」

「団長にインタビューを」

「ヤダ!殺される!」

「そうですか・・・良い案だと思いましたが」


 ギムレットは残念そうな表情で将希の手からマイクを取る。


「では出場者にした事前インタビューを読ませてもらいます。」


 ギムレットは手元に用意した紙の内容を読み上げる。


「まず、先ほど敗退が確定したカールから。


 カブラに絶対勝つ、賭け金は全て俺ものだ、ついでに団長なんかコテンパンに潰してやるまとめてかかってこいと、力強いお言葉を貰いましたが、残念ながら今現在、医務室で治療中です。飲みすぎて裏で虹となっていました。」


「続いてその宣戦布告を受けたカブラです。


 カールになんか負けない。そう一言言われ暴行を受けたため取材は中止となりました。」


「そして最後飛び入り参加の団長のインタビューを今もらいましょう現場リポートには新入団員ナナサ・ソーラどうぞ」


 ギムレットは将希がインタビューを拒否することを織り込んでナナサを確保していた。


「では団長、意気込みは?」


 ナナサは団長の左隣に向かい用意された原稿を読み上げる。


「黙ってろ」

「・・・との、お言葉をもらいましたこちらからは以上」


 そしてナナサは逃げるようにその場を直ぐ後にする。


実況 ギムレット・リクス

解説 ワジル

臨時解説員 将希

現場リポート ナナサ


以上の4人でお送りしています。


団長もノリノリで参加してますが終わった後にある種の羞恥心が湧き上がってくるパターンですね。場に飲まれハイになり後々痛くなる。


実況と団長は裏で繋がってます。なのでこの試合はヤラセです。結果は決まっています。


この2人にかかれば正々堂々は悪ヶ堂々に変わります。

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