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将希の異世界日誌  作者: 雄太
リベリシュ編
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密談

 


 昨日朝、何があったか。ここに纏める。


 将希は騎士団宿泊施設の食堂で食べ物を探し物色していた。


「将希殿ちょうどよかった。」


 ギムレットが不自然な笑みを浮かべ前から颯爽と歩いてくる。一瞬嫌な予感を覚えたが何故か右から左へと抜けてしまった。


「あぁ、ギムレットさん。どうしたんですか?」


 将希は自分の犯行がバレていないか内心心臓バクバク出会った。その証拠に今、手の裏に隠した食料がごゾッと言う音を立て床に落ちる。


「それは?」


 将希は急いで拾い上げ、ギムレットに差し出す。


「やっと、チョコですかね?食べます?えへへ、」


 ギムレットにあからさまに共犯を進める将希である。だがそんな策略はすぐ潰れる。


「いえ、結構です」


 手のひらを向け、そう断りを入れる。


「そう、そうね、で話って何?」


 逃げ切れないならゴールを変える。使い古された手法だが今でもその効果は有効的である。


「そうでした、忘れるところでした。この後夜から新入団員の歓迎会を行おうと思うのですが、将希殿はどうしますか?、来られます?」


「サンディさんが知ったら殺されるよ」


「団長が寝た後にすれば問題ありません。団長は絶対に21時に寝て、翌朝6時まで絶対に起きる事はありません。」


 ギムレットは何故、団長の睡眠時間を知っているのか、不明だがギムレットの声はかなり自信があるようだ。


「そ、そう、何でそんなこと知ってるの?怖い。」


「以前一晩中聞き耳を立てていましたがその時間帯物音一つしませんでした。」


「たまたまじゃないの?」


「いえ、私も最初はそう思い何度か同じことをくりかえましたがやはり物音はしないのです。」


「トイレも行かないって事?」


 ギムレットは頷く。


「ええ。そうなんです時々団長の部屋の前でこっそり見てましたが部屋から出てくる事はありませんでした。」


 かなり気持ち悪いことをしているがギムレットにはその自覚はないようだ。

 将希も同じように気持ち悪い想像をしている。だがそれはギムレットの想像よりも酷い者であった。


 将希は顎で手を当て少し考える素振りを見せる。


「・・・そんな事ってあり得るの?」

「ええ。ほんとそうなんです、どんなにルーティンが決まっていても一度も起きないってことがあり得るのかとしかし現実一度も起きている姿を見ていることがないんです。」


 ギムレットは何度も何度も団長を観察していた経験で裏打ちされた情報を流すがまだ将希を押し切るには材料不足のようだ。


「でもあのサンディさんだよ、誰呼ぶのか知らないけど何人か消えて気づかないはずないよ」


 だってサンディさんだもん。サンディがって言うならみんな文句は言わないよ。


「大丈夫ですよ、夜中に三馬鹿達は外出してますから。そもそも深夜はの自由時間は節度さえ守れば完全な自由時間ですので。」


「ふーんそう、ならいっか。」


 三馬鹿が出ていると聞いて将希の不安は解消された。何かあったらあの三馬鹿を揺すればいいや。


「で、誰呼ぶの?」


 まぁ、三馬鹿は全員来るだろうな、こう言うこと好きそうだし。他ね、ワジルさんもあり得そう。あと名前も知らない人達も来そうだな。赤信号みんなで渡れば怖くないって事なのか?


「全員です」


 将希の脳回路は一瞬だがフリーズする。そしてすぐリセットボタンが押される。


「は?全員?まじで」

「ええ、一部の部隊長は来ませんが呼べるだけ呼びます。そうすれば1人当たりかなり安く済みますから。」


 1人当たりね、良い言葉だ。金儲けには最適だな。えへへ。

 ある程度の額まで行くとそのあと何人でも呼べてそれは全部懐に入るって政治家さん達が言ってたってどこかの何とか砲が言ってたって言ってた。


「俺も幹事に入れてくれる?」

「お金、ですか?」

「そうでしょ、ある程度額が貯まったらそれ以上は全て懐に入る。それをギムレットは独り占めしようとしている。そうじゃないか。」


 俺の頭脳はそう言っている。そのギムレットは図星なのか少し目が泳ぐ。

 それ見た将希は更なる一手を仕掛ける。


「まだ他に気づいた人、居ないんだね。俺が初めてなんだね、このカラクリに気づいたのは」


 不敵に笑みを浮かべる。自分を胴元に入れ込め。そうすれば俺にも金が入る。イヒヒ。ジュルュ。おっと涎、涎。マネー、マネー。


「うぅ、そ、そうですね」


 突如として頭の回転が速くなった将希は調子に乗り金を強請る。俺を入れてくれ、俺を入れなければこの事バラすと言外に言う。


「どう?入れてくれる?」

「チッ、わかりましたよ、しかしひとつ条件があります。」

「俺は口が硬いからな大丈夫だ」


 そう言い将希は口にチャックする。素振りを見せる。


「団長に言わないでくださいよ。もしバレたら真っ先に疑われるのは将希殿ですので。バレたら全団員敵に回すと思っていてください。」


 ギムレットは将希にたっぷりと釘を刺す。 

 それだけこの飲み会に注いでいる本気度が窺われる。


「契約・・・」


 将希は左手を差し出す。その左手に重みが乗る。


「成立・・・ですね将希殿」


 ガッチリと握手を交わす。将希のその顔は表面こそ笑顔だがその裏には悪どい顔が時より浮かび上がる。対するギムレットは少し頬がピクピクしている。せっかく、自分だけの金になる計画が将希にバレ、将希胴元にしないといけなくなったし、本来自分の懐に入るはずだった金は半額。半額。10が5になったら誰もが嫌がるだろう。今のギムレットは泣きたい気分だろう。実際その目には光るものがじわじわと滲み出ている。


「それで、その計画って?」


 将希はガッチリと掴まれた手を解き、金の話をしだす、流石にギムレットも嫌な顔をしたが今ここで将希に逃げられたら全てがパーとなる。だから無理やり表情を戻す。


「まず第一に参加者を集めます。」


 うん、当たり前だわな、そうなしないと俺の取り分がなくなる。

 まぁ、その時はサンディさんにバラすぞって脅せば良いや。


「何人?」

「今ここいる騎士団員が約60名。そこから団長と一部の団長派の部隊長と反団長派と読んでも絶対に来ない団員には伝えないので来るのは40名前後ですね、それに加えて私たちと新入団員の3人も入れて。

 50を超えるか超えないかです。」


 うんうんと将希も頷いてはいるが一箇所解せない部分がある。


「団長派の部隊長はまだわかるけど何で反団長派まで?」


「後が厄介なので部隊長内で呼ばれた呼ばれてないとか言い出されると厄介なので呼ばないことにしました。中立派の部隊長は口が硬いので少しお酌してあげれば静かになります」


「ふーんそう、俺の金が減るのか。」


 解せない理由は何とも将希らしい馬鹿な理由であって。


「将希殿これはみんなのお金であり決して将希殿の私腹を肥やす為の資金ではありません。」


「ふーん、なら俺にも手段はあるな〜・・・」


 にっこり笑顔で団長に告げ口すると弱者なりにそう言ったニュアンスを含めてカードを伏せる。


 それをギムレットは少し考える急いで思考し最善手を探している。


「・・・ならば一層の事、団長を巻き込みましょう。」


「は?何でだよ!俺の金が」


 将希はタイムラグ無しの猛スピードで抗議する。


「団長も別にそう言ってことが嫌いなわけでありません。逆にそう言ったことが好きな方です。我々が黙ってやろうとしている理由は簡単です団長は団長なので下から文句を言われるのが面倒だからそう言った事は嫌いっていう雰囲気を出しているだけです。」


 ギムレットは団長も巻き込めば文句を言う奴、特に将希の芽を摘めると読んだ。


 団長が来れば部隊長達も黙って赤ん坊みたいに指をしゃぶることしか出来ない。文句を言ってきたら団長権限でねじ伏せられる。


 将希が後者まで考えているか不明だが、前者の方には将希の思考がたどり着く。


(サンディさんを組み込めば俺に金を払う必要が無くなる。それはギムレットさんも同じだけどただ単に俺に払うよりマシ、そう言うことが。それにサンディさんが居れば俺が文句を言う事は難しい。そこまで見越してか。嫌な奴だぜギムレット。俺の金がこの野郎。)


「なら団長も巻き込もう。そうすればギムレットさんだけが美味しい思いをする事はない。そうすれば会費全額飯代に使うことしかできなくなる。」


 先ほど握手は早くも消え去ったみたいだ。

 人間普通なら善意に基づく契約よりも悪意に基づいた契約の方が長続きすると思うが今回は別だったようだ。

 どちらも子悪党すぎて悪意が足りなかったとはようだ。


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