騎士団発つ
少し内容を修正しました。
『私はあんな奴、死んでもらってもかまわんがな。誰も困らんだろ、権力に溺れた貴族共以上に嫌な物はない。』
団長の呟きはまたもマイクに乗る。
「早速だが明日出発だ荷物をさっさとまとめて出発の用意しろ以上」
ん?結局本題これだけ?なんか時間を損した。タイムマシンがあったら戻りたい。
「そうだ、忘れてた、さっきも言ったが居眠りしてた奴は残れ、部隊長達も面倒だから今言う。」
その瞬間、大広間には冷たい空気が流れる、帰ろうとする足音がほとんど全て止まる。
「よし。決めた。居眠りしてた奴らは今から。ここから街の中心にある噴水まで走れ!部隊長より遅くゴールした者は秒数×2分追加で走ってもらう。行って来い!私はここで見張っている。」
「「はい!」」
居眠りをしていた団員と部隊長達は一斉に走り出す。そして大広間に残された、将希とナナサはしれっとその団員達の中に紛れ込み外に逃げた。
「逃げましたか。後で現代アートにする必要がありますね。」
走り出した団員たちを追いかけるように、お立ち台を降り、歩きながら呟く。
●
リベリシュ滞在3日目 早朝 騎士団臨時宿泊施設の前にはカイブロスと馭者のアレクが既に準備万端という状態で騎士団員達を待っている。
前日、サンディは陛下からの手紙が来てすぐにアレクに連絡を取り、カイブロスの運行の用意をさせていた。
「昨日の今日でもう出発ですか。どうにか徹夜で間に合わせましたがもう少し時間が欲しいものです。」
アレクはカイブロスの額を撫でながらそう呟く。
「勇者の凱旋ですか。先代勇者は良い方でした。私も何度か勇者様を護衛した経験がありますがあの方以上に良い人は知りませんな。サンディ様も同じ気分でしょうな。」
アレクも先代勇者には好意的だが・・・
「それに比べて今代の勇者は嫌いですな。傍若無人でわがままで一昨年は『俺の爺様は魔王を倒した、だからカイブロスを運転させろ、』と訳の分からないことを騒ぎたして、サンディ様が剣を抜いてどうにか黙りましたが、後の清掃が大変でしたけど。今年もその季節が来てしまいましたか。嫌な季節ですな。
いつか殺されそうな気がしますが勇者という権力が邪魔して誰も止められないのが現状ですな。」
今代勇者にはサンディ同様嫌悪感を抱いているようだ。
騎士団内部にも何故こんな奴を護衛しないといけはないんだと言う雰囲気が流れている。
●
その頃騎士団臨時宿泊施設では出発用意が団長と副団長の檄が飛びまくり急ピッチで進められている。
「おい!早くしろ!」
「「はい!」」
湿った返事が大広間に響き渡る。
「はぁ、騎士団内にも相当今代勇者嫌いが出ているようね」
その筆頭はサンディさんでは?昨日と散々言ってたしよくそんなこと言えるの。俺は騎士団じゃないから手伝わないと宣言した将希は団長の隣に佇む。
「将希殿もその手足動かしたらどうですか?」
将希の心を読んだかのようにイライラの解消が将希に向く。
「俺別に騎士団員でも無いし」
「使わないのであれば斬り落としても良いのでは?」
鞘から剣がキリキリと抜ける音がすると将希の顔が青ざめる。
「冗談です」
ふふ、とサンディは笑う。
「将希殿は自分の荷物は纏めましたか?」
サンディもまだ将希に給料の支給がないとこを知りながら。わざと怒らせるようなことをする。
「俺ほとんど荷物ないんだけど、何でか知らないけど誘拐同然のように連れてこられて金もなくて何にも買ってない。」
「そうでしたか置き引きに会いましたか・・・それは、大変ですね」
辛気そうな空気を醸し出すが心の内そんなこと一切思っていない。
「そうですか、知らんぷりですか」
将希は腑が煮えくり返るがどうせ言ったところでサンディ相手には無駄なので顔には出さないで立ち去ろうとするがその際。
「くまちゃんからの貢物は?」
一瞬立ち止まったが無視して歩き出す。
「貰っているようですね・・・諸々」
将希の帰り際を目で追うが、その途中サボろうと画策している3人組が目に入る。
「サムウェル!カール!ブラッドリー!」
「ブラットリーです!」
ブラッドリーいや、ブラットリーはそう言い返すがそれは何の意味も持たない。
「どうでも良い!鳥だろうがなんだろうがサボるな!」
3人は荷物の段ボールの影に隠れサボろうとしたがちょうどその方向に将希が歩いて行き3人の決死でもないサボりがバレてしまった。
「はい!お前達のせいだ」
共犯でもあるサムウェルは逃げようとするがこの2人には効かない。
「サムウェルお前も共犯だ」
「そうだぜおれはやめろって言った」
「ブラッドリー、テメー、よくも抜け抜けと」
サムウェルとブラットリーは抱きつき揉み合いになりカールはそれを放置しどこかに逃げる。それを団長はもう諦めたかのように放置する。
「ダメだ解雇でもしようか」
団長は3人にギリギリ聞こえるように呟くすぐ3人は仕事に戻る。
「ほらそこ!」
「武器は後だ!武器防具は各自だ!まだ置いとけ!」
団長も仕事に戻るとすぐに仕事が増える。
「ギムレット!」
手元に持つ紙と置いてある段ボールを見比べていたギムレットが急いで団長の元に向かう。
「団長!」
「何でこんな出鱈目になってんだ!」
戻ってきたらギムレットは明らかに不満そうな顔である。
「私は最終チェックの担当です。団長が馬鹿3人に手を焼いているからこうなるのでは?」
どうやらギムレットは最終チェックの担当のようだ段取りは団長の仕事であるそう言っている。
「私がいないならお前が全責任者だ、つまりお前が責任者だ」
団長はギムレットに人差し指を突きつける。そしてギムレットは何か思いついたのかニヤッと笑う。
「そうですか、では団長。この場の責任者は私なので指示します仕事に戻ってください」
「私に指図するのか」
「俺、責任者なので」
サンディの嫌いな権力を存分に振るうとすぐサンディは次の行動に出る。
「責任者解任だ」
「では団長、指示を」
「自分の仕事をしろ」
そう言われギムレットは元いた場所に戻る。
「私はアレクの所に行く」
その後カイブロスに荷物を積み込む方は大惨事となっていたところにサンディが鬼の形相で入ってくる。
「お前達!もっと効率的に運べ!書類がここにある!書類は奥だ!今すぐ直せ!武器なんか後だ!」
団長の檄が何度も飛びやっとここは立て直せそうだ
「ワジルはどこだ!」
「部隊長なら医務室です」
そこに今はワジルの仕事をやっているワジルの側近が来る。
「ワジル部隊長は落ちてきた荷物が頭にあたり医務室です冷やしています。」
「今ここ仕切ってるのはお前だなマスリー」
「え・・・ええ。」
ワジルの側近マスリーは危機察知が働いたが残念ながら耐性がなかった。
「ワジルを連れ戻せたとえ死んでようが無理やり動かせ」
「はい!」
マスリーは急いでワジルが居る医務室に向かう。
その目にはまた違う奴らが食料の入った段ボールを床に置いて帰ろうとしていた。
「食料は奥だ!冷蔵庫で冷やせ!」
そいつは急いで段ボールを拾い上げる奥に持っていく。
「まだ時間がかかりそうだ」
●
サンディはアレクのとこにわざわざ徒歩で向かいまだ時間がかかると伝えて大広間に戻ってくるとさっきの檄のおかげか仕事が回り始めていた。
「ギムレット後どれぐらいかかる」
サンディはギムレットのところまで歩いて行く。
「団長、見ての通りかなり片付きました、あとは団員の私物を運び込んで、武器と防具も持って行けばなのであと1時間程度で完全撤収出来るかと」
ギムレットの言う通り先ほどよりもかなりダンボールの数が減っている。
「わかった、あの三馬鹿はどうした」
先ほどから団長はあの3人を探しているが見つからない。
「邪魔だったのでサムウェルには荷物運びをやらせカールには掃除を無理矢理ですが押しつけブラットリーには各部屋に忘れ物がないか全員別々にさせています。」
「よくやった。あの3人をバラバラにしたか。今度からその手使うか。」
「ええ、あいつら単独では弱いのに群れると強くなりますから、厄介な事に。」
「そうだな厄介だ。私はここに居なくても大丈夫そうだな。」
サンディはそう言いどこかに歩いていく。
「団長どこに?」
「最終確認だ。」
それ以上ギムレットは何も言わずに仕事に戻る。長年部下としてサンディを支えているだけあって限界点がわかっている。
サンディはポケットから一枚の折り畳まれた紙を取り出し広げる。その地図はこの臨時騎士団宿泊施設の内部図であった。
2階は女性用なのか階段に当たる場所にはバリケードと物騒な言葉が赤ペンで書かれている。一個しかない階段を上がって突き当たりの1番大きな部屋が団長の部屋のようだ。団長と赤ペンでわかりやすくなっている。
男性陣は一階で3人1組で部屋が割り振られているようだ。それ以上の事は書いてない。唯一あるのは副団長の部屋が団長の部屋の下にあることがわかる。
今いる大広間を出ると男共の部屋が内側1つ外側1つ囲むように並んでいる。外側の部屋からAとBそして数字で振り分けされている。
「今、大広間かここを出れば一階の部屋だな」
団長は男共の部屋に続く通路を歩きながら一つ一つドアを開けて内部を捜査する。
「ここがA−5だな三馬鹿の部屋か嫌な予感がする。」
よくそう言った予感は当たることが多いが今回は珍しく予感は外れる。
「何にも無い。珍しい。」
団長が三馬鹿が使っていた部屋のドアを開けるとそこには荷物の一つもないまっさらな部屋がある。まぁ、ベットのシーツと布団はぐちゃぐちゃになってはいるがゴミが散乱したり空いた酒瓶や飲みかけの酒瓶、割れた酒瓶、飲みかけの酒入りコップ、大量の飲み終わってゴミ箱に投げ捨てられた酒瓶。などなどそう言ったものは一切なかった。
「もしかしたら夜中に飲み歩いたのかもしれないな。」
団長の読みはあっていた。深夜ある団員が皆が寝静まった頃遊びに出かけてていたようだ。
●
団長は時間が空きリリサ、ギアラ、リナの3人を呼び出していた、そこにはなぜか将希の姿もあった。
「リリサ、ギアラは一応騎士団に入団は認めたけど本契約がまだだから警備や、戦闘に出る必要はない。細かい事は王都で説明する。リナも同じく、この内部であれば自由に見学してもらって構わない。将希殿は少しお話をしないといけないのでここで待っていて下さい。三人は付いてきて」
団長は将希に意味深な言葉を残し、3人を先導して中に乗せてギムレットに案内役を全部押し付け。借りてきた猫のように大人しく待っていた将希のところに団長はにっこりと笑い戻ってくる。
「将希殿ひとつ質問があります」
「な、何ですか急に」
忠告を受け身構えていた将希だが要らぬ心配だったようだ。どの道身構えても意味がなかった。団長の圧に将希は無意識に一歩後退する。下がった時点で犯行を自白しているようだ。
「将希殿今から言うことに全ていいえと言って下さい」
「は?」
完全に無視され団長は続ける。それから団長の尋問が始まる。
「では昨日は私も参加した飲み会がありました。その前に2日間なので飲み会の前日ですね。夜中に出歩いて酒を飲み歩いていましたか?」
将希の目が少し左に泳ぐ。それが意味するものとは。サンディの美貌に目が当てられなかったのか、何かやましいことでもあるのか。それとも単にサンディの差と目を合わせるのは恥ずかしいからなのか。いずれにせよ将希の目は動いた。
「・・・いいえ」
将希何故か時間をかけ答える。それで騙されると思うのかだが。
目が動いた時点で図星のような気がするがされたはそれを無視し尋問という名の心理実験を続ける。
「うん、そうですか。ではそれはカール、サムウェル、ブラットリーのいずれかですね?」
「い・・い、いいえ」
少し言い淀む。サンディはその目をじっと見つめるもう犯人はわかっているのだろうしかしまだ泳がす気だ。
「そうですか、あなたは居酒屋に行っていません。」
「・・うぅ・・い、いえ、」
「そう行ったのね」
「はいじゃなくて行ってませんよ!紛らわしい事言わないでください」
紛らわしくもないと思うが・・・。
まぁ、どのみち将希は犯行を自白した。
「そうですか行っていない。では次、昨日はどちらに居ましたか?」
将希にやっと笑うが
「いいえ」
「死にますか?」
またも撃沈。
「居ましたよ。紛らわしな」
「わかりました。やはり飲みに行っていたようですね。それも4人でそもそも請求書は通りませんから全額自腹で。」
「え?許してくれるの?」
「ええ、別に自由時間に節度を守った外出であれば認めない理由はありません。」
「ふうー、よかった・・・やばッ」
その瞬間。将希の目から光が失われた。
そしてサンディの目には輝きという名の炎がメラメラではなく轟轟と焚き上がる。
「やっぱり行ってましたか」
「いや、その、ですね、あれはあれじゃなくて、そのですね、かん、勘違いがありま、ました。」
「どこら辺が?」
逃げようと必死に言葉を紡ぐがそんなもの付け焼き刃であり、簡単にボロが出る。
「えっとー、そのみんなと行きました。」
問い詰められ負けが見えてしまったのか将希は参加者全員を巻き込むことにしたようだ。赤信号みんなで渡れば怖くない。無理だな。
「みんなとは?誰ですか」
言葉は優しい言葉だが言っている人の目は脅迫を優に超える。
「・・・三馬鹿とです。」
「いつ、飲みに行かれたのでしょう」
「お、一昨日。サムウェルさんが企画して」
「そうですか事実上2日連続飲んでいましたか。なら全て理由がつきますね。」
それから団長の将希に対する尋問とも呼べる取り調べが開始され、どっぷりと取り調べられた。
第一話 やはり三馬鹿は飲みに行く。 完
まぁ、サンディの予想通り酒の飲みに行ってたんですね、まぁ自由時間はハメを外さない限り問題はないけどね。三馬鹿ならハメ外して大惨事になる。
相当、サンディさんって勇者のこと嫌ってるんですね、そりゃね、力もないのに喚く奴らはうるさいし
過去の名誉が〜
父が〜
祖父が〜
先祖が〜
この地の権力者だ〜
ってうるさく言われたら殺意の一つやら二つ、湧くわな。
ただその権力という名の皮椅子にどっぷりハマってるだけだと余計ね・・・。
サンディさんも大変だなこんな奴らの相手したくないのしないといけないなんて。だから上は辛い、




